作業負担や精神的不安を軽減 導入後すぐに効果が分かる
KDDIウェブコミュニケーションズが提供する農業ⅠоT『てるちゃん』は、ほ場に設置したセンサーが畑やハウス内の温度、湿度、照度を監視し、異常を検知すると電話またはメールで知らせるシステムだ。
機器の設置は、子機をほ場に置いて、親機を電源に接続すれば完了。知らせて欲しい測定値をあらかじめブラウザで設定し、設定した値になると通知が届くシンプルな仕組みだ。
ほ場から離れていても自動的に通知されるので、作物の品質管理に関わる異常を検知し、危機を回避することができる。また深夜、早朝でもほ場の様子が分かるので、移動の手間を省き、精神的負担も軽減することができる。
生産者の課題や悩みに耳を傾け 本当に必要なスマート農業を提案
『てるちゃん』誕生の原点は2017年。沖縄県の地域課題を解決するプロジェクト『Cloud On OKINAWA』に同社が参画したことによる。このプロジェクトは沖縄県の市町村と IT企業が連携協定を結び、沖縄県内の課題をITの力で解決することを目指すものである。
数ある地域課題の一つとして、糸満市の小菊とマンゴーの生産者から農業分野の悩みを知った。その一つが施設栽培における温度管理の苦労であり、特にマンゴーは、春先は新芽が枯れないように、夏の収穫直前は実が日焼けして腐らないように、温度管理に常に目を光らせている実態だった。
沖縄の強い日差しにより春先でもあっという間に室温が40度以上になるため、作業者は温度計を頻繁に確認し、ハウスのビニールを開閉しながら室温を調整。温度計の場所まで移動を繰り返す労力や、精神的負担が作業効率を著しく低下させていることが長年の課題になっていることが分かった。
一方で、作業効率向上にはスマート農業やⅠоT技術の導入が有効であることは理解しつつも、高額な導入費用や複雑な操作性などから導入に踏み切ることができない生産者も多いことを知った。
こうした経験から作物の生育や品質に大きく関係する温度、湿度、照度に特化したシステムは、マンゴーに限らずさまざまな作物の栽培管理に役立つと確信した同社はシンプルな機能性、見やすい画面デザイン、高齢者でも容易に操作できることをポイントに開発に着手。更に、導入費用やランニングコストを抑えることでスマート農業導入のハードルを下げ、すぐに生産者の役に立つようにと、『てるちゃん』のリリースに至った。
地域農業の活性化は 自治体、JAが連携することが大切
試作を繰り返し、2021年3月に正式リリースされた『てるちゃん』。実証実験を担った糸満市は『スマート農業機器導入事業』として補助金予算化、JAなどが導入申請の取りまとめを行ったことで、同市にスマート農業が普及するきっかけとなった。
「今後、生産性や品質の向上に不可欠なスマート農業の普及には、生産者さんが信頼を寄せる自治体やJAの力添えが必要だと、糸満市の事例でよく分かりました。また、機器の開発も導入プロセスも、生産者の声に真摯に耳を傾けることが何より大切と実感しています」と、話すのはKDDIウェブコミュニケーションズ プロダクトマネージャーの小出範幸さん。
実例として、山北みかんで知られる高知県香南市では、JA高知県香美地区果樹部温室みかん部会が主催者となり、『てるちゃん』の使い方や効果についての勉強会を開催、生産組合全体での普及を呼びかけている。
『てるちゃん』をきっかけに一般生産者にもスマート農業の理解が深まり、次のステップに進むことも期待される。また、本体価格1組2万7500円(税込)、ランニング費用は月あたり約1000〜4000円(利用状況による)というリーズナブルな価格は導入ハードルを大きく下げたと言える。
いきなり難しい機器を導入するのではなく、目の前にある課題解決のためのツールを提供することがスマート農業普及の近道であることを示した『てるちゃん』。生産者のみならず、地域農業の活性化を担う自治体、JA、生産組合にとっても『てるちゃん』は良きパートナーになることだろう。
『てるちゃん』導入者の声
スペック情報
商品名:『てるちゃん』
価格:機器費用27,500円〜(税込)、月額990円〜(税込)
▼『てるちゃん』の詳細、ご利用のお申し込みはこちら
https://www.tel-chan.com/
問い合わせ先
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 農業IoT『てるちゃん』
〒107-0062 東京都港区南青山 2-26-1 D-LIFEPLACE 南青山 10階
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