酪農とは? 畜産との違いや草地酪農が盛んな地域、業界の現状について解説|マイナビ農業

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酪農とは? 畜産との違いや草地酪農が盛んな地域、業界の現状について解説

酪農とは? 畜産との違いや草地酪農が盛んな地域、業界の現状について解説

乳牛を飼育し、牛乳や乳製品を生産する酪農。乳牛からの搾乳は毎日行われるものの、生乳は貯蔵ができないために飲用と乳製品用への振り分けなどの生産調整が必須であるなど、難しい面もあります。本稿では、近年の牛乳や乳製品の受給量のほか、あらゆる農業で課題となっている資材の高騰などを含めた酪農を取り巻く現状についてまとめました。

牛乳や乳製品を生産する酪農

酪農は農業の分野のひとつで、牛を飼育してその乳を搾り、牛乳や乳製品を生産することです。日本の酪農では牛が一般的であるものの、山羊や羊を飼う場合もあります。
酪農の「酪」は普段の生活ではあまり見慣れない漢字ですが、「乳製品」を意味しています。明治政府が北海道の開拓に酪農を取り入れたことにより酪農が産業として始まり、庶民の食生活に牛乳が広まっていきました。

酪農と畜産の違い

牧場のホルスタイン

酪農に似た言葉に「畜産」があります。「畜産」は牛や豚、鶏、羊などの家畜を飼育し、肉や卵、乳製品などを生産するもの。毛や皮、骨などを利用することもあります。

さまざまな畜産業のうち、乳用牛を飼育し、乳製品を生産する農業が「酪農」です。酪農は畜産の一部門にあたります。

酪農で飼われる乳用牛と肉用牛では、一般的に牛の種類が異なります。肉用牛では在来種に外国種をかけ合わせて改良された和牛などが好まれます。また乳用牛のオスは種付けに使われるほか、多くは肉用牛として出荷されます。

酪農が盛んな地域

日本国内では北海道・岩手県・栃木県・千葉県・長野県・熊本県などで酪農が盛んに行われています。中でも北海道は国内の生産量の半分以上を占めており、平成30年度の生乳生産量729万トンのうち、北海道産が全体の54%、397万トンにものぼります。令和3年のデータでは、全国で135万頭の乳牛のうち北海道内で82万頭が飼われています。

生乳は傷みやすく貯蔵のきかないため鮮度の良いものが求められます。このため、消費人口の多い大都市圏の近くでも酪農が盛んに行われています。

一般には乳牛の飼育には比較的涼しい高地が適しているとされ、またエサとして大量の牧草を確保する必要があります。特に酪農が盛んな北海道の道東地方や熊本県の阿蘇地方などは、比較的広い土地があり牧草が手に入りやすく放牧しやすいなどの地理的な条件に恵まれていると言えます。

草地酪農とは

こうした広大な牧草地で、飼料の大半を自給しながら牛を育てる酪農の形を草地酪農といいます。
草地(そうち)は日本ではあまり使われない単語ですが、主に家畜の放牧や飼料となる牧草の生産に利用される土地のこと。
かつてこのような土地では人が家畜と移動しながら飼育する「遊牧」が行われており、近年は草地に家畜を放して草を食べさせる「放牧」の買い方も注目を集めています。

酪農の現状

子牛

昭和の終わり頃には国内で200万頭ほど飼育されていた乳牛は、平成以降は生乳の生産調整などにより減少傾向にあります。近年になって再び乳牛の頭数は増加傾向が見られますが、資材の高騰などによる生産コストの上昇や酪農家の減少などにより、酪農を取り巻く環境は厳しさを増しています。

全国の酪農家の数

昭和38年のピーク時、国内の酪農家は41万7,600戸にものぼりました。その後は乳牛の飼養戸数は減少しており、現在は年に4%ほどの割合で減少傾向が続いています。令和4年では全国で1万3,300戸となっており、前年に比べ500戸(3.6%)減少しています。

全国の乳用牛の頭数

飼養頭数は15年以上にわたって減少傾向でしたが、平成30年から増加しています。令和4年の乳牛の飼養頭数は137万1,000頭で、前年比で1万5,000頭(1.1%)増加しています。
また、酪農家の数が減少している一方で大規模化が進んでおり、一戸当たりの飼養頭数は増加傾向となっています。1戸当たりの飼養頭数は103.1頭です。

なお、国内で飼育されている乳牛の約99%が白と黒のまだら模様で知られるホルスタイン種です。そのほかに岡山の蒜山高原などではジャージー種、北海道や九州ではブラウンスイス種も飼われています。

全国の生乳生産量

令和3年度の生乳の生産量は、2.9%増の765万トンとなっています。
平成28年度以降は頭数の減少などにより減少していた生産量ですが、令和元年度からは増加傾向にあります。牛乳等に向けた処理量は減っている一方で、チーズ等の乳製品向けの処理量が増えています。令和4年度(4-7月)の用途別処理量では、乳製品向けは前年度に比べ3.3%増加しました。

全国の牛乳・乳製品の消費量

牛乳の消費量は、平成8年をピークに減少傾向にあります。これは国内の人口増加が止まり少子高齢化が進んでいることや、飲料市場の多様化に伴う競合の増加などが要因として考えられています。

一方で独立行政法人農畜産業振興機構が平成28年に行った調査では、牛乳類をほぼ毎日飲む人は 44%で、前回より上昇傾向が見られました。

また日本人の食生活の多様化により、長期的にはチーズや生クリームなど乳製品の摂取量が増えています。令和3年の乳製品の生産量は、バターは7万3,317トン、クリームは11万9,710トン、チーズは16万7,910トンで、前年に比べそれぞれ2.5%、8.7%、2.0%増加しました。

ただ、令和元年度以降はチーズの消費量の増加は足踏み状態となっています。これは新型コロナウイルスの感染拡大により外食需要が低調だったことなどが影響していると考えられています。

参考:農林水産省「畜産・酪農をめぐる情勢

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酪農のこれから

資材の高騰や少子化に伴う給食需要の減少、最近では新型コロナウイルス感染拡大による外食需要の減少など、酪農を取り巻く環境には厳しい面も多くあります。

一方で、日本人の食生活の多様化により、長期的にはチーズや生クリームなど乳製品の摂取量は増えています。また乳牛の改良や飼育技術の発展などにより、乳牛1頭あたりの乳量は増えてきました。

日本人の暮らしに欠かせない牛乳や乳製品を生産する酪農は、重要な産業のひとつであることに変わりありません。牛乳や乳製品の安定的な供給が、これからも継続して求められています。

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