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マリーゴールドのコンパニオンプランツとしての効果とは? 代表的な品種や相性の良い野菜の組み合わせを紹介

マリーゴールドのコンパニオンプランツとしての効果とは? 代表的な品種や相性の良い野菜の組み合わせを紹介

他の野菜と一緒に栽培することで、成長を促したり病害虫を抑えたりするなど双方にメリットをもたらす植物である「コンパニオンプランツ」。共生植物、あるいは共存作物などとも呼ばれています。肥料や農薬を減らし、病気や害虫を防いで生育を促進する働きを担う存在として、気になっている人も多いことでしょう。
コンパニオンプランツとしてさまざまな植物が用いられていますが、代表的なもののひとつがマリーゴールドです。今回はコンパニオンプランツとしてのマリーゴールドの効果や使い方、代表的な品種、相性の良い野菜なども分かりやすく解説します。

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コンパニオンプランツとは?

「コンパニオン」とは、「仲間」や「伴侶」を意味する英単語です。植物を表す「プランツ」と合わせて、コンパニオンプランツは「相性のいい植物」や「伴侶となる植物」といった意味合いを持ちます。

野菜だけを単体で栽培するのに比べて、コンパニオンプランツを一緒に植えることで双方に良い効果をもたらし、野菜の成長を促進することができます。
一定の病気や害虫を防ぐ効果があるほか、従来の肥料や農薬の使用を減らせるとして注目を集めています。また、コンパニオンプランツが受粉を助けるため、実がつきやすくなるというメリットもあります。

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「マリーゴールド」はどんな花?特徴や開花時期

こんもりとした丸みのある花が愛らしく、ガーデニングでも人気のマリーゴールド。コンパニオンプランツとしての役割だけでなく、華やかでボリューム感のある花が咲くことで畑全体の雰囲気が明るくなる効果もありそうです。

マリーゴールドの基本情報

園芸分類 草花
科・属名 キク科・コウオウソウ属
形態 一年草(一部は多年草)
英名 marigold
原産地 メキシコ
開花期 4月~11月
草丈・樹高 20~100cm
花の色 オレンジ、黄、白、赤、複色
耐寒性 弱い(一部半耐寒性)
耐暑性 強い

マリーゴールドの特徴

マリーゴールドはメキシコ原産で、スペイン人が持ち帰ったものがアフリカを経由してヨーロッパでも広まったと言われています。メキシカン・アフリカン・フレンチなどの品種があるのはそのためです。

マリーゴールドには独特の香りがあり、土質はそれほど選びません。丈夫で初心者でも比較的簡単に育てられるため、ガーデニングでも人気の花です。センチュウなどの虫除け効果を持つことから、コンパニオンプランツとしての側面も注目を集めています。

種まき、植え付けに適した時期は4月〜5月ごろ、発芽適温は15~20℃とされています。花が咲く期間が長く次々に開花するため、咲き終わった花が枯れたまま残って腐ったりかびが生えたりすることがあります。枯れた花(花がら)はすみやかに取り除きましょう。

マリーゴールドのコンパニオンプランツとしての効果について

マリーゴールドが属するキク科の植物は、その多くが防虫効果を持っています。中でもマリーゴールドは、強いアレロパシー効果を有するとされています。アレロパシー効果とは植物が自ら分泌する化学物質を利用して、他の植物の生育を抑制したり、他の動物や虫、微生物を引き寄せたり遠ざけたりする効果の総称です。他感作用とも呼ばれています。

農薬のような働きをすることから、生物農薬として活用しようという動きが盛んです。マリーゴールドはその高いアレロパシー効果により、虫除けなどに力を発揮するコンパニオンプランツとして注目されています。

効果①:センチュウを駆除し、土の中もきれいにする

コンパニオンプランツとしてのマリーゴールドには、根に寄生する土壌害虫であるセンチュウを駆除する働きが期待できます。マリーゴールドの根から分泌される「α-ターチエニール」という成分は、センチュウにとって毒性を持っています。このため、野菜と一緒にマリーゴールドを植えておくことでセンチュウを遠ざけ、土壌をきれいにしてくれます。ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウに効果があると言われています。
また、花が咲いている時期にマリーゴールドの花、茎、根を緑肥として土にすきこむと、さらにセンチュウ防除の効果が高まります。

効果②:害虫を遠ざける(害虫予防)

マリーゴールドの花が持つ独特の香りには、一部の害虫を遠ざける効果があります。香りに含まれるリモネンという成分がコナジラミを遠ざけるとされるほか、一部のアブラムシや蚊などもマリーゴールドの香りを嫌うと言われています。駆除するほどの強い力はありませんが、害虫を寄せ付けない効果が期待できます。
特にコナジラミの被害にあいやすいアブラナ科、ナス科、ウリ科の野菜を栽培する際には、コンパニオンプランツとしてマリーゴールドを採用してみてもいいかもしれません。

マリーゴールドの品種選び|コンパニオンプランツにおすすめの品種3選

アフリカン種

和名:センジュギク(千寿菊)、サンショウギク(山椒菊)
品種名:アフリカントール
クリーム色や黄色、オレンジ色の花が中心です。日本に最初にやってきたマリーゴールドがアフリカン種であると言われています。
メキシコあるいは中米からアフリカ大陸に持ち込まれ、アフリカで広まりました。草丈は30~100センチほどで、2メートルを超える大きさになる品種もあります。開花の時期は5~11月頃で、大きな花を咲かせます。暑さには比較的強いものが多いとされています。
センチュウにはフレンチ種以上に効果があるとされ、コンパニオンプランツとして取り入れるのに最もおすすめの品種です。

フレンチ種

和名:コウオウソウ(紅黄草)、クジャクソウ(孔雀草)、マンジュギク(万寿菊)
品種名:グランドコントロール
花の色は黄色や赤、オレンジ色が中心です。アフリカン種と同様にメキシコ原産ですが、フランス王室の庭で育てられていたものがヨーロッパ各地に広がったため「フレンチ種」と呼ばれています。開花期は5~7月、9~11月頃。草丈は20~30センチと比較的小さめ、花の大きさも5センチ程度と小ぶりです。ヨーロッパの冷涼な気候に適応しており、夏の猛暑にはそれほど強くないのも特徴です。一般的にアフリカン種に比べて生育速度は速めであるとされています。

メキシカン種

和名:ホソバコウオウソウ、ヒメコウオウソウ
花の色は黄色またはオレンジ色です。草丈は40センチ程度ですが、花の大きさは小さめです。ハート型の花びらなど可憐な印象が愛らしい花ですが、アフリカン種に比べ暑さには強くありません。冷涼な土地に適した品種です。

マリーゴールドの病害虫と対策について

優れた防虫効果をもつマリーゴールドですが、一部の害虫に悩まされることがあります。生育期にはハダニ、ヨトウムシ、アブラムシといった害虫に注意しましょう。また、梅雨の季節には灰色かび病が発生しやすくなります。

マリーゴールドの栽培で気をつけるべき害虫

ハダニ

気温が高く乾燥している時に発生しやすい害虫です。葉にクモの巣状の巣を作り、葉から栄養を吸収します。数が増えると葉緑素が不足して光合成ができなくなり、弱っていきます。霧吹きで葉の表裏両面に水を吹きかけるなどして乾燥を防ぐことで、ハダニの防虫につながります。

【関連記事】畑の害虫図鑑〜ハダニ類〜【畑は小さな大自然vol.48】

ヨトウムシ

夜に活動するため「夜盗虫」と呼ばれるヨトウムシはヨトウガの幼虫です。3~10月、特に4~6月と9~10月に多く発生します。群生して葉や茎部分を集団で食害するため、一気に食い尽くされてしまうことがあります。葉の裏に大量に卵を産み付けるため、卵を見つけた場合は孵化する前に葉全体を処分することが大切です。

【関連記事】畑の害虫図鑑〜ヨトウムシ編〜【畑は小さな大自然vol.40】

アブラムシ

さまざまな作物につくアブラムシは、マリーゴールドも被害を受けることがあります。4~6月と、9~10月頃に特に多く発生します。新芽や茎、新しい葉の裏にくっついて汁を吸い、株を弱らせてしまいます。見つけたらすぐに駆除しましょう。

畑の害虫図鑑〜アブラムシ編〜【畑は小さな大自然vol.26】

マリーゴールドの栽培で気をつけるべき病気

灰色かび病

花びらや茎、葉に灰色のかびが生えるほか、花びらに褐色の斑点が出る場合もあります。長雨や湿度が高い状態の時に発生しやすいため、梅雨の時期には特に注意が必要です。できるだけ日当たりや風通しをよくしておくことが予防につながります。ボトリチス病とも呼ばれます。

立枯病

葉が黄色くなり、弱って枯れてしまう立枯れ病にかかることがあります。土の中や空気中にある病原菌から感染します。立枯病が見られた場合は、変色して弱っている部分をすぐに取り除いてください。

マリーゴールドと相性の良い野菜の組み合わせを紹介

多くの野菜と相性が良いマリーゴールドですが、特におすすめの組み合わせを10種類紹介します。

組み合わせ 期待できる効果
①マリーゴールド×大根 根菜類につきやすいセンチュウを駆除してくれる
②マリーゴールド×カブ 根菜類につきやすいセンチュウを駆除してくれる
③マリーゴールド×キャベツ 青虫などがマリーゴールドの香りを嫌う/アブラナ科の野菜に多いコナジラミの発生を抑える
④マリーゴールド×ブロッコリー 青虫などがマリーゴールドの香りを嫌う/アブラナ科の野菜に多いコナジラミの発生を抑える
⑤マリーゴールド×きゅうり ウリ科の野菜に多いコナジラミの発生を抑える
⑥マリーゴールド×トマト アブラムシがマリーゴールドの香りを嫌う/ナス科の野菜に多いコナジラミの発生を抑える
⑦マリーゴールド×ナス ナス科の野菜に多いコナジラミの発生を抑える
⑧マリーゴールド×ピーマン ナス科の野菜に多いコナジラミの発生を抑える
⑨マリーゴールド×じゃがいも 根菜類につきやすいセンチュウを駆除してくれる
⑩マリーゴールド×オクラ オクラにつきやすいセンチュウを駆除してくれる

 

コンパニオンプランツにマリーゴールドを取り入れる”デメリット”はあるの?

マリーゴールドに限らず、コンパニオンプランツは植物であるため、栽培に手間がかかります。野菜だけを植えているのに比べ、間引きや収穫の際にも手間が増えてしまうことはデメリットのひとつです。適切な距離をとり、作業しやすいスペースを確保して植えると良いでしょう。
また、マリーゴールドは花が咲いている状態で購入すると高価です。種の状態で購入して育てることで費用を抑えられます。4~5月頃がマリーゴールドの種まきに最適な時期です。

【要注意】相性の悪い組み合わせとその理由

良い効果をもたらすコンパニオンプランツとは逆に、一緒に植えることでマイナスに作用してしまう相性の悪い組み合わせも存在します。代表的な例として、下記のような組み合わせに注意しておきましょう。

組み合わせ 理由
①キャベツ×ゴマ キャベツの生育が悪くなる
②トマト×ジャガイモ トマトの生育が悪くなる
③ナス×トウモロコシ トウモロコシの影になるナスの生育が悪くなる
④ダイコン×長ネギ ダイコンが曲がったり二股に分かれたりする
⑤キュウリ、スイカ×インゲン ネコブセンチュウ等の被害が大きくなる
⑥レタス×ニラ レタスの生育が悪くなる
⑦イチゴ×ニラ 肥料を奪い合ってしまい、イチゴの生育が悪くなる
⑧エダマメ、インゲン×ネギ エダマメの根に共生する根粒菌の働きが悪くなり、生育が悪くなる
⑨トマト、ナス、ジャガイモの混植 ナス科を集めて育てると生育が悪くなる
⑩カボチャ、スイカ、メロンの混植 ウリ科を集めて育てると生育が悪くなる

 

マリーゴールドは手軽で優秀なコンパニオンプランツ

丈夫でそれほど手間もかからず、初心者でも育てやすいと言われるマリーゴールド。
多くの野菜が被害を受けやすいセンチュウなどの防虫効果に優れ、農薬の使用を減らすという点でも貢献してくれます。
さまざまな野菜と相性が良いので取り入れやすく、開花時期が長いため防虫効果も長く続きます。さらには華やかな色合いで畑を明るい雰囲気にしてくれる、うれしい副次的効果もあります。多くのメリットがあるマリーゴールドを、コンパニオンプランツとして取り入れてみませんか?

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