タネから育てる大玉スイカは、まるで我が子のよう。量より質を求めての栽培が美味しさの決め手
熊本県熊本市のスイカ農家の家庭に生まれた中山譲次さん。幼い頃から祖父母や両親の働く背中を見て、「いつか自分もスイカ農家になろう」と自然に考えていたそうです。
その思いに沿い、福岡・久留米にある「九州沖縄農業研究センター」を卒業後、20歳で新規就農。それから27年間、スイカと向き合い続けてきました。
「やっぱり美味しいって言ってもらえるのが嬉しいですね」。
そう話しながらスイカの手入れをする中山さんの眼差しは我が子を見つめるようなあたたかさで、スイカへの思いの強さがにじんでいます。
春と秋の2回、旬を迎えるスイカ栽培は、まさに1年中大忙し。春は1.9ha、約1万玉。秋は50a、約2500玉をご両親と中山さんご夫妻の4人で栽培・出荷しています。
スイカ栽培は、タネまきから育苗、定植、つるの整枝などが行われ、中山農園では、最終的に1株からスイカ1個のみを育てています。
私たちの食卓に届く大玉スイカは、手間暇と時間をかけて1つ1つ丁寧に育てられているのです。
終わらない害虫との戦い。ベテラン農家がたどり着いた病害虫対策とは
1玉を収穫するのに大変な手間のかかるスイカ。出荷まで少しの気も抜けません。
そしてどの作物にも共通する害虫による被害は、スイカの栽培においても悩みの種。
「ヨトウムシが花や果皮を食べると、その傷はずっと残ってしまい、等級が落ちてしまいます。それとコナジラミによる退緑えそ病。いかに防除するかが課題でした」と中山さん。
中山さんは、3年前のことを振り返ります。
それまで使い続けていた薬剤の効きが落ち、一つの圃場で食害が目立つようになりました。
そこで、JA熊本市の指導員さんに相談すると、『グレーシア乳剤』を薦められます。早速使用すると、食害は大幅に減少。その年の被害を最小限にとどめることができ、その効果に驚いたと話します。
「散布回数は2回までなので、どのタイミングで使うか、見極めが大事です」と中山さんは力を込めます。「交配中は殺虫剤の散布ができないので、交配前の剤の選定はとても重要。私は交配前と摘果の際にグレーシア乳剤を散布しています」。
ミツバチへの影響がなく、効果が2週間ほど続く点も、使い続けるポイントのよう。
害虫が活性化する秋スイカの栽培では特に、「グレーシア乳剤はスイカ栽培の救世主のようなもの。いま一番効果が実感できる、「ここぞ」というときに使う剤です」と絶賛します。
後継者問題、省力化…働く環境の変化が、日本の風景を守ることにつながる
後継者の少ないスイカ栽培。ご両親の引退も、近い将来、必ずやってきます。
「いかに生産効率と品質を上げるかが課題だと考えています。温度や光の管理に加え、熊本の寒暖差が甘いスイカの決め手。株にいくつも実らせることはできますが、品質が安定しないので私たちは行いません。美味しいって言ってもらえるように、量より質を求めることが、結果的に私たち生産者の働き方も向上するのです」。
ほとんどの工程を手作業で行うため、作業効率を高めるアイデアは、どんどん取り入れていきたいと話します。
機械化や仲間との共同経営など、チャレンジすることは山のよう。一つでも作業や悩みを減らすことは、品質の向上につながるのです。その一手が「グレーシア乳剤」。品質向上のためにはヨトウムシの食害やコナジラミによるウイルス媒介をできるだけ防がなければなりません。
「グレーシア乳剤を薦められて、最初は価格が高いなと感じましたが、何より重要なのは効果。効くのであれば多少値段が高くても使う価値はあるという考えなので、採用しました」。
最後に、「日本で昔から愛されてきたスイカの生産者であることは、大きな誇りです」とまぶしい笑顔を見せてくれた中山さん。
中山さん一家をはじめ、JAや資材メーカー、そして薬剤メーカーなど、美味しいスイカの背景には、数えきれない人の努力があるのです。
(取材協力)
熊本市農業協同組合
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