都市の人々と農村の新たな関係性。コロナ後の地域の未来を語る【日本総研×マイナビ農業対談】|マイナビ農業

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都市の人々と農村の新たな関係性。コロナ後の地域の未来を語る【日本総研×マイナビ農業対談】

都市の人々と農村の新たな関係性。コロナ後の地域の未来を語る【日本総研×マイナビ農業対談】

コロナ禍によってオンラインの活用が進んだことにより、人々の働き方やコミュニケーションのあり方は大きく変容した。生活様式や価値観の変化によって、最近では都市から農山村への田園回帰の動きも徐々に見られている。農村地域は、こうした動きをどのように地域創生、地域振興に結びつけていくべきか。ターニングポイントとなる今、日本総合研究所の山崎香織(やまさき・かおり)さんとマイナビ農業編集長の倉石真理(くらいし・まり)が意見を交わした。

山崎香織さんプロフィール

株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)創発戦略センターマネジャー。京都大学大学院農学研究科修了。2007年に日本総研へ入社し、超高齢社会を見据えた新規事業開発、地域マネジメント、人材開発などのプロジェクト・政策研究に従事している。

倉石真理プロフィール

マイナビ農業編集長。2004年に株式会社毎日コミュニケーションズ(現、株式会社マイナビ)に入社し、人材紹介や若年層のキャリア支援事業を経て、2017年より現職。これまでに約6000記事のコンテンツ制作・編集に従事する。

オンラインの進展により、農村が身近な存在に

──コロナ禍によって人々の生活が大きく変容して3年がたとうとしています。自身や周囲の人々の暮らし・働き方の変化をどうとらえていますか。

山崎さん:職業柄出張が多く、旅行が好きなことも相まって、これまでいろいろな地域へ頻繁に足を運んでいました。それが新型コロナウイルスの感染拡大によってリモートに切り替わり、会社へ出勤せずに働くスタイルが普及していきました。そうした影響もあって、当社内ではアウトドアやワーケーションに関心を持つメンバーが増え、自身としても都会と農村を気軽に行き来できるのは貴重であると、改めて感じているところです。

倉石:我々はメディアの運営以外にも、地域と人をつなぐマッチングイベントを定期的に開催してきたのですが、これがコロナ禍によって中止もしくは延期の対応を余儀なくされました。コロナによる影響がいつまで続くかわからない状況の中、初めてWebを活用したオンラインイベントへ切り替えたところ、想像を超える反響がありました。農村地域へ興味関心を抱く方がより増えたことを実感するとともに、家に居ながらでも地域の方と話ができるオンラインの利点を強く感じるきっかけとなりました。

ハードルが高かった農村との関わり。今は

──都市部在住のお二人は、農村地域にどのようなイメージを持っていましたか。

倉石:これまでは実際に現地へ行かなければ、その地域を知ることができないと思っていました。まず地域の方が東京でイベントをして、来場者と接点を持ち、次のステップとして現地へ来てもらうための施策を行うのが関係人口づくりの常とう手段でしたが、これにはよほど移住の気持ちが強くないと参加しにくいというハードルがありました。こうした施策の中にWebを介してあげることで、参加のハードルはグッと低くなり、次のステップにも進みやすくなると実感しています。

山崎さん:よくわかります。私自身もたまに民泊をすることがあり、特に日本では雰囲気に慣れるまでに時間がかかったり、お互いの距離感もなかなか詰めきれないと思う場面がしばしばありました。今では現地に赴く前にオンラインを活用しながら、地域のいろいろな方と気軽に話せるようになるなど、良い変化も生まれてきたと感じます。

私自身、Instagramで知り合いの農家さんをフォローしていますが、畑や農作業の様子を見ているとだんだん距離感が近くなって「じゃあ、今度収穫のときに行ってみよう」という気持ちになります。オンラインで接点を持ちながら、どこかのタイミングで足を運んでもらえるのは、農村地域にとってもいいことですね。

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コロナ禍による生活の変化を振り返る山崎さん

デジタルで進む交流、増える関係人口

──オンラインを通して農村と関わる機会が増えているのですね。こうした動きが進むことによる農村の未来像について、考えを聞かせてください。

倉石:いまでは在宅ワークなども増え、必ずしも都心部に住む必要はなくなりました。最近では、都心の仕事を持ちながら週末農業にいそしむ2拠点生活の場としても注目されつつあり、これまで以上に農村の可能性は高まりを見せています。かつて地方移住は、それまでの生活と仕事を捨て、縁のない地域で暮らしていく覚悟を持ってするものでしたが、そうした固定観念も徐々に払拭(ふっしょく)されつつあると感じています。

山崎さん:地方に飛び込むか、都心を離れるかの2択だけではなく、「農村は時々行く場所」、「オンラインなどを活用しながら少しづつ地域になじんでいく」というスタイルが加わると、関係人口づくりの観点でもよりよい効果が見込めるのではないでしょうか。今はワーケーションを行うとなると、設備などでやりにくい面もありますが、お互いのニーズを知って環境が整うと、もっと気軽に往来できると思います。

倉石:最近では、Webツアーを旅行の下見に使う人も多いようです。観光地から離れた畑やワイナリーなどは、なかなか旅のルートに入りにくいものですが、事前にWebツアーで見て解説を聞いておくとその土地の理解が深まり、自分の興味に合わせたプラン立てや楽しみ方ができ、旅行の選択肢の幅が広がるのではないでしょうか。

山崎さん:海外から日本へのインバウンド需要も徐々に戻ってきつつあるので、日本のワイナリーや酒蔵などもWebツアーできっかけをつくってくれるといいですね。

仕事・学び・遊び。農村地域の可能性に注目

──今後、農村地域はどのような形で都市部の人とつながる方法がありそうでしょうか。

山崎さん:最近では農業体験など「学び」のために地域へ赴くことが増えているので、それをもっと生かしていければいいと思います。都心のオフィスから出て、農村地域で普段会わない方たちと一緒にその地域のことを考えたり、体験や学びを得たり、少し働いてみたりすることで、まったく異なる情報が入り、新しいことを考えるきっかけになります。地域にとってもポジティブな側面があります。新たに就農した方が畑の近くにグランピング場を作り、農村での新たな滞在方法を生み出す動きも見られます。このように、新しい人やアイデアが地域に入っていくことを期待したいです。

倉石:日々住んでいると気が付かない地域の魅力を都市部から来た方に発見してもらえるといいですね。私自身、農村地域には健康維持など福利厚生面でも多くの可能性があると思っています。また、昨今の世界情勢から食料自給率への関心が高まり、日本で生産して日本で消費することの大切さを国民一人一人が実感しつつある時だと思います。都市部から来た人が農作物を育て、収穫して、食べる機会を提供するなど、食育プラス自給率を上げる取り組みなども面白いかもしれません。

オンラインとオフラインを融合させたハイブリッドなコミュニケーションが取れるようになった今、オンラインを入り口にオフラインの体験を通じて、地域を“稼ぐ場”や“学びの場”にできれば、農村の価値はますます注目されることでしょう。

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