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ぺんぺん草って何? ナズナとの違いは?花言葉や名前の由来、おいしい食べ方まで紹介

ぺんぺん草って何? ナズナとの違いは?花言葉や名前の由来、おいしい食べ方まで紹介

土手や歩道の片隅などに生えている「ぺんぺん草」。白く小さな花を咲かせる様子がかわいらしく、子供の頃に採って遊んだという人も多いでしょう。身近な草でありながら、ぺんぺん草については意外と知らないことも多いもの。名前の由来やナズナとの違い、遊び方からおいしい食べ方、七草粥に入っているかなど、ぺんぺん草について気になる疑問をまとめて解説します。

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ぺんぺん草とは

ぺんぺん草の基本情報
科・属名  アブラナ科・ナズナ属
和名 薺(ナズナ)
別名 ぺんぺん草(ペンペングサ)、三味線草(シャミセングサ)
英名 Shepherd’s purse
原産地 東ヨーロッパ、西アジア
国内の分布 北海道から九州にかけて広く分布
開花期 2月〜6月頃
草丈 10〜50cm

ぺんぺん草は北半球に広く分布する越年草で、春になると小さな花を咲かせます。ひとつの花に、白い花びらが4枚つきます。土手や野原、荒地にもよく生えるため雑草のように扱われることもありますが、日本では昔から食用にされてきた歴史があり、子供の遊び道具としても身近な草です。
花が咲く時期は、地域にもよりますが2月から6月頃です。関東地方以南であれば、最も多く見かけるのは4月、5月頃。夏になり気温が高くなるにつれて花は見られなくなります。越年草であるため、花がなくなっても緑の茎や葉をつけたまま冬を越します。

「ナズナ」と「ぺんぺん草」の違いは?

ナズナとぺんぺん草は同じものを指しており、両者の間に特別な違いはありません。ナズナの愛称あるいは通称として、ぺんぺん草が使われます。三味線草と呼ばれることもあります。

ナズナは漢字で「薺」と書きます。あまり馴染みのない字ですが、中国でナズナを表すのに使われている漢字をそのまま用いています。

ぺんぺん草の花言葉

ナズナ(ぺんぺん草)の花言葉は「I offer you my all」。日本語では「あなたに私のすべてを捧げる」という意味になります。花言葉の由来は、実(種)の部分が三角の財布の形に見えることにちなんでいるとする説が有力です。
ぺんぺん草の英語名である「Shepherd’s purse(羊飼いの財布)」も、実の部分が財布のように見えることから名付けられたという説があります。羊を追って動き回る羊飼いは、持ち運びやすい小さな袋状の財布を使っていたという事情があるようです。
また、ぺんぺん草は1月17日の誕生花でもあります。

「ペんぺん草」と呼ばれるのはなぜ?名前の由来について

「ぺんぺん草」というちょっと不思議な名前の由来には

1 実(種)の部分が小さな三角形をしており三味線のバチに似ているから
2 実(種)の部分を引っ張って伸ばし、振り回して遊ぶとペンペンという音がするから

という説があります。三味線草という別名も、実が三味線のバチに似ているためと考えられます。

また、ナズナという名前の由来にも諸説あります。主なものでは

1 春に花を咲かせた後、夏には枯れてしまうため「夏無(なつな)」
2 愛らしい小さな花が咲くため撫でて愛でる「撫で菜」

からついた呼び名であるとされています。

ナズナ(ぺんぺん草)の種類と品種

ナズナ(ぺんぺん草)には多くの種類がありますが、私たちの身近にある品種を紹介します。

グンバイナズナ

科・属名 アブラナ科グンバイナズナ属
和名 グンバイナズナ(軍配薺)
英語名 Field penny cress
草丈 10〜60cm

ユーラシア大陸原産です。種の形が一般的なナズナのような三角形ではなく、相撲で行司が用いる道具である「軍配」に似ていることから「グンバイナズナ」の名が付きました。

ウロコナズナ

科・属名  アブラナ科グンバイナズナ属
和名 ウロコナズナ(鱗薺)
英語名 Field cress・Field pepperweed・Field pepperwort
草丈 20〜60cm

原産はヨーロッパで、アメリカや日本などにも広く分布しています。種の部分に突起があり、鱗のように見えるため「ウロコナズナ」と呼ばれます。

イヌナズナ

科・属名 アブラナ科イヌナズナ属
和名 イヌナズナ(犬薺)
英語名 Wood whitlow-glass
草丈 10〜20cm

花びらは4枚でナズナに似ていますが、白ではなく黄色い花を咲かせます。やや涼しい地域に多く分布しています。食用にならないため「イヌナズナ」の名が付いたとも言われています。

ベンケイナズナ

科・属名 アブラナ科マメグンバイナズナ属
和名 ベンケイナズナ(弁慶薺)
英語名 Perennial pepperweed・Broadleaved pepperweed
草丈 30〜100cm

密集して多くの白い花を咲かせ、ベンケイソウに似ているためベンケイナズナと呼ばれます。背の高いものでは1メートルほどまで伸びることがあります。ユーラシア大陸原産です。

マメグンバイナズナ

科・属名 アブラナ科マメグンバイナズナ属
和名 マメグンバイナズナ(軍配薺)
英語名 Virginia pepperweed
草丈 20〜60cm

北アメリカが原産で、多くは群生しています。グンバイナズナよりひと回り小さい楕円形の種をつけることから、マメグンバイナズナと呼ばれます。

春の七草|ナズナ(ぺんぺん草)

ぺんぺん草(ナズナ)は春の七草のひとつです。春の七草を「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」と数え歌のようにして覚えている人も多いかもしれません。鑑賞して歌に詠むことなどを目的とする秋の七草とは異なり、春の七草は食用の野草です。日本のハーブとも言えるもので、縁起を担ぎ、さまざまな願いを込めて食されてきました。

名称 別名・現在の呼び名 意味・由来
せり セリ 競り勝つ
なずな ナズナ・ぺんぺん草 撫でてケガレをはらう
ごぎょう ハハコグサ 仏様の体
はこべら ハコベ 繁栄がはびこる
ほとけのざ コオニタビラコ 仏様の円座
すずな カブ 神を呼ぶ鈴
すずしろ ダイコン ケガレがなく清廉潔白

「七草がゆ」とは?作り方は?

1月7日に作る七草粥(ななくさがゆ)。縁起物である春の七草を入れたお粥を食べて災厄をはらい、新しい年を健康に過ごせるようと願います。日本に古くからある五節句のひとつである「人日の節句(旧暦1月7日)」の朝、七草を入れた粥を食べる風習が現代まで伝わったもと言われています。

七草粥の由来は正確には分かっていないものの、日本に古くからあった「若菜摘み(わかなつみ)」と中国の「七種菜羹(しちしゅさいかん・ななしゅのさいかん)」が結びついて生まれたものとする説が有力です。

百人一首に収められた光孝天皇の歌にも出てくる「若菜摘み」は、春の野原で摘んだ野草を食べて邪気をはらい、長く健康に過ごせるよう願ったもの。「七種菜羹」は唐の時代に、7種類の野菜が入った羹(あつもの)、とろみのあるスープを飲んで無病息災を祈るものでした。

現代では、年末年始の飲食に疲れた胃腸を休め、体調を整える目的でも好まれています。なお、もともと野草であるとは言え、野原で七草を集めるのは至難の技。旧暦の1月7日は春になりつつある頃ですが、現在の暦では真冬のため、まだ生えていない草もあります。七草粥用に栽培され、セットで販売されている七草を使って作るのが確実です。ちなみに筆者は野原に自生していたセリやゴギョウなどを入れた七草粥もどきを作って食べたことがありますが、味は完全に「草!!」という感じでした。おいしく食べたい人はぜひ市販の七草粥キットを使ってください。

ナズナ(ぺんぺん草)のおいしい食べ方や気になる味について

ナズナ(ぺんぺん草)には、鉄分やマンガンなどの栄養素も含まれています。食用にする場合は七草粥の具材として食べるのが一般的ですが、使いみちはそれだけではありません。野草らしい野性味を生かして、ハーブや薬味のような感覚で使うと良いでしょう。刻んでチャーハンに入れる、天ぷらの衣に加えるなどして風味を楽しむのがおすすめです。

生のまま食べる場合はサラダにトッピングしたり、他の香味野菜と一緒にタレに漬け込んだりして活用する人もいます。上級者はキャンプやトレッキングに出かけた先でナズナなどの野草を採取し、その場で料理に使います。

また、そのまま食用にするだけでなく、開花期のナズナを根をつけたまま乾燥させたものは生薬「薺菜(せいさい)」として使われてきました。止血、高血圧、便秘、肝臓病などに効果があるとされています。

ぺんぺん草の遊び方「ペンペン」鳴らすためには?

子供の頃に道端のぺんぺん草を採って、ペンペン鳴らして遊んだ、という人も多いかもしれません。ぺんぺん草を楽器に見立て、実(種)が茎にぶつかる小さな音を楽しむ遊びは、素朴でどこかノスタルジックでもあります。
遊び方はとても簡単です。茎から突き出している種をやさしく下ろすようにして下へ向かって引きます。強く引きすぎると取れてしまうので要注意。複数の種を同じように引いて下ろします。茎にたくさんの種がぶら下がっている状態になったら茎の下の方を持って、でんでん太鼓の要領で左右に振って遊びます。種が茎にぶつかって小さな音をたてますが、ペンペンと聞こえるかどうかは個人差がありそうですね。ブンブンあるいはカサカサ、そんな音にも聞こえます。

「ぺんぺん草も生えない」の意味と使い方

「ぺんぺん草も生えない」という慣用句があります。ぺんぺん草はとても丈夫で、あまり肥えていない土地や荒地でも育ちやすい草です。そのため、どんな場所でも育つぺんぺん草ですら生えない=ひどく荒れたり痩せたりしている土地という意味になります。
転じて「ひどく荒らされて何も残らない」様子を表す言葉になりました。すべてを持っていってしまう、根こそぎ奪われるという意味で「あの人が通った後はぺんぺん草も生えない」などと言われます。

ちなみに筆者は熊本県に住んでいた頃に「佐賀んもんが通った後はぺんぺん草(草)も生えん」という言い回しを聞いたことがあります。これは鍋島藩の時代に質素倹約を重んじた佐賀人の気質を例えたもの。道端の小さな草も食用として大切にした佐賀の人々が通った後は、ぺんぺん草もすべて採られて何も残らないほどだ、という意味があるようです。

ぺんぺん草を知って楽しもう

日本各地に広く分布し、身近な草であるぺんぺん草(ナズナ)。子供たちにとっては素朴な遊び道具となり、お正月明けには七草粥の具材としても登場するなど、古くから日本人の生活に深く関わってきました。
小さな白い花はかわいらしく、春先に道を歩いていて、ぺんぺん草の小さな花が咲いているのを見つけるのは楽しいものです。春の訪れを告げる花のひとつであるぺんぺん草を、ぜひ探してみてくださいね。

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