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農業を始める年齢は若者が中心に?年齢よりも大切なのは「農地・技術・資金」

農業を始める年齢は若者が中心に?年齢よりも大切なのは「農地・技術・資金」

農業を始めたいと思う人は、「期待できる年収はどの程度か」「労働時間はどのくらいになるのか」といったさまざまな疑問を持つことでしょう。

そのなかでも、よく挙がる疑問の1つが、就農のタイミングです。仕事として主に自営農業に従事する、「基幹的農業従事者」は令和4年時点で122万人に上りますが、うち65歳以上の高齢者の占める割合は86%。

ベテランが大多数を占める農業の世界に入るのに「遅すぎるのでは?」と不安に思うのは当然のことでしょう。

本記事では、そんな就農のタイミングについて解説します。また、「未経験で飛び込んでもよいのか」「初期費用はどれくらいかかるのか」といった不安についても解消し、憧れの農業の現場に飛び込みましょう。

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農業を始める年齢は何歳くらい?

コンテナを持つ男性と女性

まずは、農業を始める人が多いのはどの年齢層なのか、どんな人が新規就農をしているのかについて確認しましょう。

新規就農者の65%は、50歳以上

農林水産省は、新規就農者を対象にした調査を毎年行っています。

令和3年の調査結果によると、新規就農者のうち約65%は50歳以上で、比較的年齢の高い層が就農の道を選んでいることが分かります。

新規就農者のうち、70%は「新規自営農業就農者」

新規就農者のうち、約70%が新規自営農業就農者である点にも注目です。

新規自営農業就農者とは、「学生から自営農業への従事が主になった者」および「他に雇われて勤務が主から自営農業への従事が主になった者」を指します。

つまり、農業高校や農業大学校から就農した人、または会社員から就農した人(いわゆる脱サラ)が新規自営農業就農者にあたります。

新規就農者の多くは50歳以上であるため、新たに就農する人の多くは「脱サラした人」ということが分かります。

新規就農者のうち、30%の「新規雇用就農者・新規参入者」は若者が主役

新規就農者を構成する分類は、「新規自営農業就農者」の他、「新規雇用就農者」と「新規参入者」に分かれます。

「新規雇用就農者」は法人などに長期契約で雇用されることとなった人を、「新規参入者」は土地や資金を独自に調達して農業経営を開始した人を指します。

新規雇用就農者の約74%新規参入者の約70%は49歳以下であることから、法人などに雇用されたり、未経験から農業に参入したりする人は、比較的若い層が多いことが分かります。

未経験から農業を始めても問題ない?農業に必要な3つのポイント

農家の老若男女

続いて、未経験で農業を始める人にとって大事なポイントを3つ紹介します。

農業をするための「農地」

まず必要になるのは農地です。作物を育てるためには土地が欠かせません。しかし、農地の取得はハードルが高いことをご存知でしょうか。

全国農地保有合理化協会では、一般的な農地の権利移動の要件を5つにまとめています。

  • 農地の全てを効率的に利用して耕作を行うこと
  • 周辺の農地利用に悪影響を与えないこと
  • 経営面積の合計が原則50a以上であること
  • 個人の場合は農作業に常時従事すること
  • 法人の場合は農地所有適格法人であること

こういった要件を全て満たすとともに、農業委員会の許可を受けるなど、売買にはさまざまな条件が必要です。

借りる場合も同様に農業委員会の許可が必要になるため、就農を目指す人のハードルの1つは農地の確保といえるでしょう。自治体やJAが実施する就農窓口に相談し、農業法人で働いたり、研修を受けたりして、信頼を得ていくのが近道です。

なお、農地の確保については、以下の記事でも紹介しています。

関連リンク:農地を借りるには? 新規就農者の最初にして最大のハードル「農地の確保」の方法

作物を育てるための「技術」

農業で安定して収入を得ていくためには、作物を育てるための技術が必要です。農業大学校に通う、農業法人で働く、就農を希望する地域の農家に師事を仰ぐなど、技術の習得にはさまざまな方法が考えられます。

近年ではオンライン講座も充実し始めているため、本業の合間に基礎的な知識を身につけることもできるでしょう。

実際の農地で研修を受けられる機関に入学するのも1つの方法です。たとえば農業大学校は入学料・授業料・教材費・食事を含む寮費を合わせて年間80万円前後と比較的高額な費用はかかりますが、体系的に経営も含む農業の知識を学べるのは強みです。

資機材を購入するための「資金」

農業を行ううえで、資機材や肥料、苗、燃料費といった先行投資は欠かせません。

トラクターや草刈り機などの機械や施設は、1年目以降はメンテナンス費程度の支出ですが、肥料をはじめとする営農資金は2年目以降も継続してかかります。

農作物を安定供給して販路を確保できるまで、どの程度の期間を要するかは分かりません。

1・2年目は収入がなくても乗り切れる程度の資を準備しておくことが大切です。

農業を始めたい!どのくらいの費用がかかる?

野菜に囲まれた電卓

具体的に、農業を始めるにあたってどの程度の費用を要するのか、全国新規就農相談センターが実施した調査をもとに確認しましょう。

初期投資費用はどのくらい必要?

はじめに、初期投資にかかる費用から紹介します。一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターの調査によると、新規参入者が就農1年目に要した費用の平均額は、機械施設等の411万円種苗肥料燃料等の費用158万円を加えた569万円です。

一方で同調査によると、就農1年目の農産物の売上高は259万円で、平均的な新規参入者の1年目は310万円の赤字が出ているようです。

運転資金はどのくらい必要?

2年目以降の運転資金としては、種苗肥料燃料等の費用158万円が必要です。2年目も1年目と同等の売上が見込めるなら、101万円ほど黒字になります。

それでも会社員の平均給与には及ばず、2年目以降は農産物売上の拡大と費用の削減が求められます。ただし、農作業を行いながら収支の改善を図るのは素人の手では難しいでしょう。

そのため、家計・事業両面のお金に精通したプロに相談するのがおすすめです。毎年の売上が不安定な農家は、いざという時に総合的な判断ができる相談相手がいると安心できるでしょう。

 

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FPに相談する際の注意点や農家こそFPに相談すべき理由についてはこちらの記事も参考にしてください。
関連リンク:FPに相談する際の費用はどのくらい?農家こそ相談すべき理由や注意点も解説

農家に転職するためのおすすめの手順をご紹介

ここまでの解説で、就農するうえでは農地の取得や資金面で苦労する可能性が高いことが分かりました。それでも農家の仕事には、丹精込めた作物を収穫できる満足感や、食料自給率への貢献などさまざまな魅力があります。

苦労を避けつつ、軌道に乗せるためには、効率的に技術を身につけるのが近道です。ここでは農家に転職するための手順としておすすめの方法を紹介します。

なお、新規就農後の実態については、以下の記事でも紹介しています。

関連リンク:新規就農して3年は、とにかく「失敗」を繰り返そう

農業法人に転職して技術を身につける

1つ目の道は、農業法人に転職して技術を身につけることです。

農業法人は、比較的大規模集約的な農業形態を取っています。農業法人に雇用されるかたちで就農すれば、給与をもらいながら農業の技術を学べます。加えて経営に関する知識も学べるため、将来独立することを前提に就業するのもよいでしょう。

初期投資ゼロで収益が出る農業を体感できるため、「本当に自分は農業に向いているのだろうか」と不安に思う人が自身の適性を計る場としてもおすすめです。

農業の技術を学べる学校に通う

2つ目の道は、農業の技術を学べる学校に通うことです。

全国41道府県に設置されている農業大学校では、各種農業のスキルや機械操作、経営管理などの技術を学べます。実地研修も多いため、卒業後は即戦力として農業に携わることができるでしょう。

実際、農業大学校生徒の約半数は卒業後に就農しているというデータもあり、農業で収入を得ることを目標としているなら、選択肢の1つに数えられます。

農家に弟子入りする

3つ目の道は、農家に弟子入りすることです。

農家に弟子入りできれば、生活が成り立つレベルの農業を直接教えてもらえます。機械や設備関係もそろっているため、初期投資を気にせずに農業のスキルを身につけられるでしょう。

場合によっては、農地や設備、販路をそのまま継承できることもあります。実は農家も後継者不足に悩んでいるケースが多く、信頼できる若者の就農を待っていることがあります。

農家と新規就農者のマッチングを自治体が行うこともあるため、就農したい地域や作物が確定しているなら、相談窓口に行ってみましょう。

農業を始める年齢は気にしない!

農家の3人組

農業を始めたいと思ったときに、気になってしまう年齢。しかし、年齢を気にしなくても、若い人から高齢の人まで幅広い人が農業の道を歩んでいます。

年齢よりも新規就農の道を阻むものは、「農地・技術・資金」といった要素です。具体的な道筋を立てて、障壁となるものを取り除くべく行動を始めましょう。

農業に従事したいと考えるなかで、お金についての悩みを抱えているなら、専門家の力を借りるのが得策です。家計から経営まで、お金の扱いについて頼れる人を見つけるのが成功への近道です。

 

お金に関して幅広く相談できるファイナンシャルプランナーをお探しなら、保険チャンネルへの相談がおすすめです。資産運用や保険、家計のことまで、「お金のプロ」に無料で相談できます。

現状のヒアリングをもとにお金の出入りを具体的に算出してくれるため、農家として生計を立てるためのプランを設計できるでしょう。

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