近年、日本企業では副業を解禁する動き が強まっています。実際に、収入を増やすため副業を始める予定の人もいるのではないでしょうか。副業にはさまざまな方法がありますが、本記事では「農業」を副業として取り組むサラリーマンに向けて、節税方法を解説します。
収入を増やすだけではなく、同時に支出を減らす方法も考えて、収支改善を図りましょう。
兼業農家のサラリーマンの節税方法5選
まずは、兼業農家のサラリーマンが節税する方法のなかでも、節税効果の高いものを5つ紹介します。
1.経費を可能な限り計上して所得を下げる
1つ目の節税手法は「可能な限り経費を計上して所得を下げる」ことです。
税金は収入全体に対してかかるわけではありません。収入から、収入を得るために使った経費や後述する各種控除を差し引いて、得られた金額に一定の税率をかけることで算出されます。
つまり、経費や控除の金額が増えるほど、税額の計算の元となる「所得」は低くなり、支払うべき税金も安くなるのです。
農業を営むために必要と認められる経費は多種多様です。たとえば農作業を手伝ってもらうための人件費、農地の購入・賃貸費用、農作業用の機械などの購入費を償却期間で割り戻した減価償却費、農業のための借り入れにかかる利息も対象になります。
この他にも、経費として認められる出費は数多くあるため、余さず経費として計上することで大幅に節税できるでしょう。
2.家事按分を利用して更に所得を下げる
2つ目の節税方法は「家事按分を利用して所得を下げること」です。
家事按分とは、プライベートで使用している車を事業用としても利用する場合などに、一定のルールを決めることで費用の一部を経費として計上することが認められるものです。
車以外でも、自宅の一部を事務所として利用している場合には、面積で割り戻した分の家賃や電気料金、水道代などが経費に含められます。携帯電話や自宅光回線などの通信費も対象です。
このとき気をつけたいのは、ルールの決め方です。明確な算出方法はありませんが、税務調査が入った際にルールの決め方を説明できなかったり、経費を過剰に申告していると指摘されたりした場合は、追加で税金を支払うことになる可能性もあるため注意しましょう。
3.農業所得が赤字なら給与所得と損益通算する
3つ目の節税方法は「農業所得が赤字になった場合に、給与所得と損益通算すること」です。
損益通算とは、農業所得で赤字が出た場合に、給与所得の黒字分と相殺できる仕組みです。結果として全体の所得が減るため、税金を減らせる可能性があります。
農業を始めたばかりのときは、農業用機械の購入や土地取得などの経費がかさみ、赤字になりやすいです。経営を始めてお金に余裕がないときこそ、税金が安くなるよう損益通算を検討しましょう。なお、後述する青色申告特別控除を利用すると、赤字を3年分繰り越せるため、翌年以降の節税も図れます。
4.青色申告特別控除を利用する
4つ目の節税方法は「青色申告特別控除」を利用することです。
青色申告特別控除とは、不動産所得や事業所得(農業所得は事業所得にあたる)が生じる事業を営んでいる人が、複式簿記で経理業務を行い、必要な書類を添付して確定申告した場合に最大65万円の控除が受けられる制度です。
所得の金額にもよりますが、たとえば20%の所得税率の人が65万円の控除を受けると、10万円を超える節税になる場合もあるほど、効果の高い制度です。複式簿記は初めての人にとっては簡単ではありませんが、節税のために習得するのをおすすめします。
5.その他の控除も活用する
ここまで紹介した節税策は、実は利用できるものの一部に過ぎません。他にも経費に含められる出費や、利用できる控除制度は多くあります。たとえば国民健康保険料や国民年金保険料で支払った金額が控除される「社会保険料控除」、生命保険や介護保険で支払った分の一部が控除される「生命保険料控除」といった制度です。
対象となる経費や制度を知らなければ、節税を図ることはできません。また、経費に含まれる、含まれないの判断が難しいグレーゾーンの制度もあるため、節税対策はお金に強い専門家と一緒に考えることをおすすめします。
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FPに相談する際の注意点や農家こそFPに相談すべき理由についてはこちらの記事も参考にしてください。
関連リンク:FPに相談する際の費用はどのくらい?農家こそ相談すべき理由や注意点も解説
兼業農家の確定申告における5つの疑問
サラリーマンの兼業農家にとって、確定申告に関する事務作業の時間はなかなか確保が難しいもの。慣れない作業のうえに、疑問点があり思うように進まないということも起こり得るでしょう。
そこで、ここからは兼業農家が直面しやすい確定申告の疑問に回答します。
1.農業所得が20万円以下なら確定申告は不要?
給与・退職所得以外の、農業所得を含む所得の合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
農業を始めたばかりで規模が小さい、もしくは赤字の場合は、確定申告を行う必要はないといえるでしょう。ただし、給与所得などとの損益通算を行いたい場合は、確定申告が必要になるため注意が必要です。
2.雑所得として取り扱う収入もある?
農業に関係する収入では、雑所得として取り扱うものは基本的にありません。農業に関係するなら、農業所得に含めるべきです。
総所得を計算するための「雑所得」と、農業所得を計算するための「雑収入」があるため、混乱することもあるでしょう。しかし、農業に関連する各種補助金や給付金、他の農作業を手伝った受託収入なども含めて、農業所得に含めて問題ありません。
3.自分で生産した農作物を自分で食べた場合は?
自分で生産した農作物を自分で食べる場合も、収入に含めて確定申告をしましょう。自分で作ったものであっても、所得の計算に含める必要があります。
計算するときは原則、生産者が販売するときの価格に家事消費分の数量をかけて算出します。しかし、自治体によって取り扱いが異なることもあるため、管轄の税務署や周囲の農家に確認することをおすすめします。
4.副業で兼業農家、問題になる?
副業禁止の会社での農業は、問題になる可能性があります。そもそも会社が副業を禁止している理由は、副業を含めたときに長時間労働になることで疲労が溜まり、本業に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
ただし、先述した20万円以下の範囲内や自宅で消費する分だけの小規模な農業の場合は、確定申告の義務が生じず会社にバレる心配もないため、事実上問題にはならないでしょう。
※本記事は副業禁止の会社に所属しながら副業を始めることを推奨するものではありません。副業で生じた問題について、当社は責任を負いかねます。
5.家族を従業員にすると節税できる?
家族を従業員にすると、節税になります。
事業に家族が参画し、なおかつ青色申告を行っている場合には、「青色事業専従者給与」として、家族への給与を経費として計上できます。
ただし、働いている実態がない場合や、労務の対価として著しく高い金額が計上されている場合、税務調査によって指摘されたとき追加で税金を支払うことになる可能性もあります。あくまでも実際に家族が農業に従事する場合に活用しましょう。
サラリーマンで兼業農家をするなら、節税も一緒に考えよう
サラリーマンとして勤めながら、兼業で農業を営む場合の節税対策について解説しました。
経費や控除など、支払う税金を減らすための制度は多岐にわたります。しかし、申告して利用しなければ恩恵を受けられません。適切に制度を利用し、収入に対する手取りの金額を増やしましょう。
兼業農家にとって問題になりやすいのは、確定申告を行うための「時間」です。週5日働き、週末に農業を営むという形態の場合、経費や控除について調べる時間を捻出するのは困難でしょう。
結果として制度を活用できず、高い税金を支払うのはもったいないもの。自由な時間が限られる兼業農家だからこそ、税金だけでなく家計改善も含めて、お金の専門家への相談を検討しましょう。
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