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【写真で解説】農業・田舎暮らしに必須のロープワーク 初心者のための結び方4選

伊藤 雄大

ライター:

【写真で解説】農業・田舎暮らしに必須のロープワーク 初心者のための結び方4選

積む、運ぶ、引っ張る、束ねるといった作業が多い農家にとって、ロープワークは必須。今回は、「もやい結び」や「南京縛り」など、農業や田舎暮らしをする際に覚えておくと何かと役に立つ4種類の結び方を紹介します。

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ロープワークは「基礎教養」だった!?

筆者は新規就農して6年目になります。長らく東京でサラリーマンをしていたうえに、ゴリゴリのインドア派だったため、靴紐や新聞を束ねるほかに「結ぶ」という作業をしたことがありませんでした。

田舎に引っ越してすぐに造園屋で働き始めた初日には「軽トラに荷物積んどいて!」と言われました。当然のようにできなくて、ものすごく驚かれたのを覚えています。ずっと田舎に住んでいる人にとって、ロープワークは「読み書きソロバン」のように、誰もが当然知っているはずの基礎教養だったのです。

仕事だけではありません。消防団の活動や、集落のみんなで自治活動をするときにも結び方を知らなければ、引け目を感じてしまいます。

そこで今回は、田舎で暮らしを初めて間もない人向けに、よく使う4種類の結び方を紹介します。

輪っかの大きさ自由自在 もやい結び

もやい結び

もやい結びは、ロープの先端に輪っかをつくる結び方。輪っかの大きさは自由自在

もやい結びは、ロープの先端に、どんなに強く引っ張っても大きさが変わらない輪っかをつくるための結び方です。なおかつ、結び目に負荷がかかってもほどけやすいのが特徴です。

テントやタープを設営する時に使うので、キャンプなどのアウトドアが好きな人には、お馴染みの結び方なのかもしれません。輪っかを杭などにかけるなどして、モノを繋ぎとめる時に便利です。果菜類の誘引にも使えますし、使い方は色々あります。

私の場合、ロープを軽トラの荷積み用に使うことが多いため、購入したてのロープは、まず両端にもやい結びで輪をつくり、軽トラのフックにかけられるようにしています。

もやい結びの結び方

もやい結び手順1くるんと輪っかをつくります。このとき、ロープの先端のほうが上側になるように気をつけます。

もやい結び手順2ロープの先端を、輪っかに下から通します。

もやい結び手順3ロープ先端を、元のほうのロープの下を潜らせます。

もやい結び手順4ロープの先端を、今度は上から輪っかに通します。

もやい結び手順5ロープの先端と輪っかを一方の手で固定しながら、元のロープを引っ張ります。
これで、完成です。そんなに難しい結び方ではないので、「輪っか、下、下、上」と呟きながら練習するとすぐに覚えられると思います。

軽トラ乗りに必須 南京縛り

南京縛り

南京縛りは、大きい荷物を強く荷台に固定するための結び方

南京縛りは、強い力で荷物を固定する方法です。上の写真では脚立を積んでいますが、出荷用コンテナやイナワラなどを高く積み重ねて運ぶとき、管理機などの重たくて不安定な機械を積む時など、さまざまな場面で必要になる、軽トラ乗りには必須のロープワークです。
使う機会が多く、少し複雑なため、結び方はやや詳しめに紹介します。

南京縛りの結び方

南京縛り手順1ロープの先端の輪っかを、フックにかけます。

南京縛り手順2ロープを引っ張って、テンションを維持しながら、フックとは反対方向の側面に回します。

南京縛り手順3一方の手でロープを引っ張りながら、反対の手で輪っかをつくります。

南京縛り手順4引っ張っているロープの上に輪っかを当てます。

南京縛り手順5当てた輪っかが崩れないよう指で押さえ、引っ張っていたロープを輪っかの上から一周回します

南京縛り手順6先ほどと同じように、もう一周。1回目よりも、輪っかの根元のほうに回します。

南京縛り手順7できたコブを指で押さえながら、輪っかをつくります。

南京縛り手順8輪っかを引き出していくと、こんな感じになります。

南京縛り手順9そのままロープを引き出していき、フックにかけます。

南京縛り手順10指でコブを押さえながら、一方の手でロープを力強く引っ張ると、どんどん締まっていきます。張り詰めたロープを指で弾き、締まり具合を確かめます。

南京縛り手順11余ったロープが緩まないように、もう一度フックに固定します。

南京縛り手順12ギュッと引っ張ります。これで一応は、完成。

南京縛り手順13長時間走る時などは、ロープが絶対に緩まないようにします。

南京縛り手順14この状態で、左手のロープをギュッと引っ張ります。これで、間違いなく外れません。

南京縛り手順15余ったロープは、こんなふうに突起にかけておきます。これで、ロープが切れない限り、脚立が落ちることはありません。

南京縛り手順16

脚立の形をとく考えれば、こんな積み方もできる。これだけでも後ろにずり落ちない

大きいものを積む時は、南京縛りをしっかりやるとともに、積荷の形をよく観察して、絶対に落ちない方法を編み出すことが大事です。

モノを強く引っ張れて、簡単 ねじ結び

ねじ結び

伐採の時など、木を引っ張る時に使う「ねじ結び」

樹木の伐採などで、倒れる方向をコントロールしたい場合によく使うのが「ねじ結び」です。大きな木の場合は少し心許ないですが、あまり重くない木を伐倒する際には、すぐに結びて解けるので、便利な方法です。

ねじ結びの結び方

ねじ結び手順1ロープを交差させます。

ねじ結び手順2ロープの先端を、元のほうに通します。

元のほうに3度ほどくるくる回して、引っ張れば、完成。螺旋状の部分がねじのように見えるため、ねじ結びと呼びます。

支柱を束ねるのに便利 巻き結び

巻き結び

イボ竹などの支柱を「巻き結び」で束ねる

巻き結びは、その名のとおり、ロープを巻きつけながら結ぶ方法です。これまで、イボ竹などの支柱類は片蝶々結びなどで束ねていましたが、最近は巻き結びにしています。
この結び方の良いところは、結び目が緩んでも、締め直しが簡単なところ。
たとえば、10本ずつ束ねたイボ竹から数本だけ抜き取ると、ふつうの結び方では抜き取った支柱分の隙間ができてしまいますが、巻き結びなら簡単に締め直すことができます。この他にも、キュウリネットを設営する際など、幅広く使える結び方です。

巻き結びの結び方

巻き結び手順1支柱にロープを巻きつけます。

巻き結び手順2ロープの先端のほうが、元のロープより上に来るようにします。

巻き結び手順3次に、先ほどよりも下のほうに巻きつけます。

巻き結び手順4できた輪っかにロープを通し、両端を引っ張れば完成。これだけで案外、緩みません。

巻き結びの手順53本だけ支柱を取り出してロープが緩んでも、両端を引っ張るだけで、カッチリと締まります。

ロープワークは体で覚える

今回は、できるだけ手も写り込むように写真で解説しました。私自身、本などを見て練習しましたが、手の使い方とともに、実際に作業をしながら体に染み込ませるのが一番早く覚えられたので、そうしました。複雑にみえる南京縛りですが、日常的に使うようになると、目を瞑ってもできるようになります。

どの結び方にも、ロープワークについての基本的な技術が詰まっています。なぜ結び目が解けないか、なぜ硬く結んでも解けやすくなるかなどなど。ロープを使うにつれて体で理解できるようになり、自分なりの応用もできるようになって、だんだんと楽しくなりました。ここで紹介した結び方のほかにも、もっと上手な結び方や、手順があるはずです。ぜひ、練習してみてください。

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