ブースでの出会い、そして現地で見た農家の姿
井上さん夫婦は、当時勤務していた大阪の新聞販売会社で出会い結婚。移住を考える分岐点は結婚だったといいます。
「夫婦で時間のすれ違いが多すぎましたね。睡眠、食事、休暇…、仕事の関係で2人とも時間がバラバラで、このままの生活ではまずいと思いました。」辞めないと次に進めないと、思い切って退職。2人でできることを探すため、大阪で開催された「しまねUIターンフェア」に参加した時のこと、あるブースの担当者に声をかけられました。そこでは就農して5年間の収支モデルや農地・機械の準備時期、技術の習得方法等を話してくれたといいます。「今後のプランを具体的に提案してくれたんですよ。あと、田舎ならではの習わしや大変さも教えてくれて、『こんなに自分のこと考えてくれてるんやな』と。熱意に惹かれましたね。」そう、まさにココが飯南町との出会いでした。
相談会に参加してから約1か月後、8~10月の間に複数回現地を訪問し、町の推進品目であるパプリカやトマト、畜産など多種多様な農家の視察や農作業体験を行いました。
「農家さんと話ができたのも良かったですね、1日の時間の使い方とか大変なこと、楽しいこと、ぶっちゃけ話を聞いたりこちらの不安を聞いてもらえたり。なんといってもみんな楽しそうに(農業を)している姿が印象的やったんですよ。」
その他にも、住居探しや師匠とのマッチングなど、飯南町役場職員に付きっきりでサポートしてもらい、住居が決まった際には地域住民の方が集まるお祭にも誘ってくれました。そんな充実した現地体験を終え、移住に備えて大阪へ一時帰省。移住後の生活は期待感に満ち溢れていました。
かじったトマトの味が、原点に戻るキッカケに
令和元年にUIターンしまね産業体験を活用し、師匠のもとで弟子入りしお試し移住することに。畑の管理を丸々任され試行錯誤する日々、農業だけでなく田舎暮らしの生活スタイルに慣れるのにも苦労したといいます。
「正直、就農するか考え直した時もありました。地域の方から『ウチで働かない?』って誘われて迷ったりもしましたね。」
そんな悩みが続いたある日、師匠の畑でかじったトマトの味に衝撃が走りました。「都会のスーパーではまず食べられない味。それが原点に戻る大きなきっかけになりましたね。」
雇われに来たんじゃない、何のためにココに来たんだ――。
振り返った時に頭に浮かんだのは、飯南町へ現地体験で来た時に目の当たりにした先輩農家の楽しそうに農業を営む姿でした。
それを機に就農の意志を固め、1年間のお試し移住の後、島根県立農林大学校で1年間技能を磨き、令和3年に就農。農業者という立場になった今、井上さん夫婦は現地体験での受入先になっています。「来てもらって楽しい姿を見せることで、『一緒にやりたい!こんな風にできるんや!』って思ってもらえるようにしたいんです!」と、妻の優さんは将来像を描きます。
更に、夫の頼重さんは現地体験の必要性をこう訴えます。「検討する時間をかけすぎると色んなことを考えすぎて次に進みづらくなってしまうと思うんです。お金の面とか迷うこともあると思うんですけど、楽しくやることを見つけるために現地へ行くんです。お金で楽しさは買えないですよね?」
就農してもお金に余裕があるわけではない、でも、現地に行くことで農業を営む暮らしの楽しさに気づけたからこそ井上さん夫婦の見つめる先は明るいのです。
しまねを体験するツアー、3つのオススメ!
現地体験するおすすめポイントは3つあります。1つ目は「農家の声を直接聞ける」ことです。現地で出会った農家が、将来就農する際の心強い師匠や仲間となるかもしれません。そうした方の体験談は、将来選択を考える上で大きなキッカケになるはずです。
2つ目は「支援する側の顔が見える」ことです。就農や移住には様々な関係機関が支援に関わります。そうしたそれらの関係者と実際に会うことで、移住に向けた安心感につながると思います。
3つ目は、「今後考えるべきことが明確になる」ことです。農家や関係機関等から様々な視点で具体的なアドバイスが受けられるため、今後自分がやるべきことが見えてくると思います。
「考えすぎても行かなきゃ次に進めない。」取材中、井上さんが何度も口にされた言葉です。島根県では、そんな移住や就農をお考えの方へ「就農相談ツアー」や「農業体験プログラム」をご用意しております。
いずれも、希望する地域での農業体験や先輩農業者との交流等を盛り込んだ2泊3日程度のツアーで、平成28年から現在まで約30名の方が就農(令和5年2月末現在)に至っています。
ぜひ、そんなご縁の国島根へお越しください。心よりお待ちしております!
お問い合わせ
島根県 農林水産部 農業経営課
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
TEL:0852-22-6860
FAX:0852-22-5968
mail:nogyo-keiei@pref.shimane.lg.jp
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