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日本初&世界初の技術搭載『ロボつみ』受注スタート
福岡県は、ブランドいちご『あまおう』の産地。一般的ないちごの2倍はゆうに超えるボリューム・甘味・果汁を兼ね備えた『あまおう』は、全国的にも大人気のブランドいちごとして知られています。その一方で、近年の労働力不足や高齢化による後継者不足により、作付面積が減少しつつあるのも事実。農家の高齢化や慢性的な人手不足などの課題を解決しようと立ち上がったのが、福岡県久留米市に本社のある株式会社アイナックシステムです。もともとはファクトリーオートメーションの電気制御の請負業務を行う会社ですが、代表である稲員重典社長は、実家が農家だったことから、農業に貢献することが長年の夢だったそうです。
2022年春に紹介された、日本初&世界初の技術を搭載したAIいちご自動収穫ロボット『ロボつみ』の誕生秘話や商品紹介についてはこちらをご覧ください。
農家の声を反映した独自の技術でアップデート。
スペックやこだわりポイントは?
今回のアップデートの内容やポイントについて、稲員社長と開発担当者の田志さん・谷口さんにお話を伺いました。
社長・稲員 重典さん 実家はいちご・ぶどう栽培農家。就農者の高齢化や労働力不足といった課題と今までになかった技術開発に挑む。農家に寄り添った販売価格を目指して日本初・世界初の自動いちご収穫ロボットを自社開発。 |
田志 宗一郎さん 2020年3月入社。医療関係SE歴17年。形のある「ものづくり」がしたいと思っていたところ、ロボットを作りたいという社長の夢に引かれて入社を決意。現在は企画開発室の室長として、主に『ロボつみ』の心臓部であるAIを担当しつつ3Dモデリング、造形なども担当。 |
谷口 太一さん ロボット関係の仕事に憧れて、2019年9月入社。事務系ソフトウエアの管理や改修が得意。『ロボつみ』のVer.2製作からメンバーに加わり、現在は主にロボット制御部を担当している。 |
Q1:台車の移動方法を大きく改良したとお聞きしました。
はい。改良点は2つあります。1つは「走行検知」です。ロボット走行を真っ直ぐ安定させる方法として、棚間にレールを設置する方法もありますが、広い農場だとかなりの設備投資が必要で費用もかかります。そこで『ロボつみ』は棚間下側にトラロープ(黄・黒ロープ)を張り、台車の前後カメラで判別して、移動する方法を採用しました。トラロープはホームセンター等で販売されている市販の物で、防草シートに押さえピンで留めますので、本体以外の特別な設備や費用はかかりません。棚の終端は、自動で二次元コードを読み取り、利用者が設定した進路と収穫動作パターンで移動します。もう1つは「台車の重心を低く」しました。ハウス内の走行やアームの使用時を安定させるためです。台車の移動時間は22m/分と、人がゆっくり歩く速度に設定しています。
Q2:ハウスの中は湿度が高かったり、灌水したり、水気の多い場所ですが、対策はいかがでしょうか?
いちご高設栽培のハウスの中は防草シートにより一見きれいに見えますが、床面は灌水や土中の水分、雨天時の湿度の影響を受けてウエットな状態です。『ロボつみ』は電子機器と精密モータで構成されていますので、水気で故障することがないよう、床の水に強い「箱構造」とし、防水機能を高めました。
Q3:いちごを摘み取るロボットアームもリニューアルされたそうですね。
はい。アームに関しては、一から見直しました。前Ver.2ではマジックハンド構造で、アームが重たく動作が遅く、思う通りに高速動作ができませんでした。現在では簡潔な構造で、アーム軽量化と低重心化を改良したことにより、高速動作時の揺れが抑えられ、動きそのものも速くしました。これにより収穫スピードが格段にアップしました。前Ver.2では、いちごを見つけて収穫するまで、1粒あたり90~120秒だったのが、現在は、15~30秒/粒と、従来より6~4倍近い速さを実現しています。
また、アームが伸びる長さも改良を加えました。収縮時はアーム長30cmが、延伸時には人の腕の長さに近い約70cmまで伸び、従来より遠くにあるいちごの収穫が可能となりました。またロボットアームの着脱を簡単にすることで、メンテナンス性と輸送性の向上を図りました。(ロボット本体の)アルミ製のフレームの長さを変更することにより、最大3mの高さの収穫や作業を可能とし、いちご以外の作物にも対応することを考慮しました。
Q4:農業Weekのプレスリリース後、反響はいかがでしたか?
全国的なニーズがあるのか分からない状況で大阪開催の展示会に出展しましたが、会場でのあまりの反響や期待感の大きさに大変驚きました。それまでは、個人の農家向けの製品という位置付けで開発をしていましたが、農業法人様、企業様、数多くのご来場とご要望をいただき、大規模農場で『ロボつみ』が働いて日本の食産業を支えるという世界観をイメージできたことが大きいですね。まさにゴールに向けてやるべきことが見えてきたという感じです。
その後、数々のテレビニュースや動画配信、雑誌記事などに取り上げていただきました。それを見て、北海道から沖縄まで、自治体、農業関連業者、就農者、就農予定者の方々から問い合わせも多数いただいています。また、海外メディアで見たとのことで、日本の方を通じて海外からの問い合わせもあったのには驚きました。プレリリース後のこの1年間で、『ロボつみ』の市場ニーズをより強く確信できました。
Q5:今後の目標や開発への思いをお聞かせください。
日本国内のほとんどの産業が人手不足の今、農業分野におけるロボット導入は不可欠だと考えています。ドローンについては、法制度ができ導入しやすい環境が整ったことで普及率も上がってきました。そんななか、各方面から期待と需要が高まっているのが収穫ロボットです。収穫作業は、長時間労働や力仕事が多いため、身体を痛めますし、気候の厳しい労働条件下で行われています。最近では、外国人労働者の雇用によって補填もできますが、その外国人労働者がいなくなれば、今度は高齢化が進んだ農業従事者が対応しなければなりません。現代の日本の農業における課題を解決すること。それこそが、『ロボつみ』の開発の目的でもあります。
現在は実績づくりとして、公共機関様や関連企業様にご協力いただき、実際に先方のハウスで評価試験を実施しています。将来的には、認可取得を目指し、補助金・助成金の対象となる製品として開発を進め、農家様にとって経済的なハードルを下げ、導入しやすい環境を構築できるように努めてまいります。
『ロボつみ®』はいちごに限ったネーミングではなく、収穫を担うロボット全般と、収穫ロボットで収穫した作物に使っていただくことで生産作物の付加価値をつけることを念頭に商標登録しました。
最新のVer3『ロボつみいちご』に続き、『ロボつみトマト』、『ロボつみきゅうり』など、他の作物にも対応が可能なプラットホーム(ベース設計)としています。今後はプラットホームとしての『ロボつみ』販売も計画し、収穫ロボット市場の普及活動も検討しています。
スペック詳細 | |
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外寸、重量 | 台車全長 860mm 台車幅 640mm アーム含む高さ 1443mm 高さ台車まで 375mm 重量 60Kg |
駆動方法 | 台車 二輪速度差操舵 22m/分 ロボットアーム 3軸 ZXθ |
一粒あたりの収穫時間 | ネット上の果実を上から収穫する場合、25~30秒 (目標 20秒) ぶら下がった果実を横から収穫する場合、15~20秒 (目標 10秒) |
駆動電源 | 市販ポータブルバッテリー (参考 720Wh 14.4V/50000mA AC100V DC12V DC5V 出力 バッテリー稼働時間 5時間 充電時間 10時間) |
照明 | 走行用、収穫用付属 |
収穫成功率 | 65%(目標70%) (AIで収穫可能と判断したいちごを正常に収穫する割合です) |
収穫可能ないちごの品種 | 現在は『あまおう』のみですが、今後は『よつぼし』を追加予定。その他の品種についてはご注文順に対応させていただきます。栽培数の少ない品種に関しては、AI初回学習費用が発生します。 (ほとんどの品種で完着(完全に色がついた状態)は検出できますが、色つき度合での収穫時期の判断は品種ごと、地域ごとで異となります。) |
対応作物 | いちご以外の作物では、きゅうりやトマトなどの作物も展開予定です。 |
対応地域 | 九州内のお客様を先行納入致します。 ご注文・ご依頼の多い地域ごとに対応しながら、代理販売店を募集する予定です。 |
アイナックシステムは、日本の農業が抱える課題解決に取り組むとともに、未来の農業をワクワクさせていくような収穫ロボットを含む農業用機械と設備を生み出していきます。
農業現場で人手不足にお悩みの方、収益性向上をお考えの方、『ロボつみ』に興味を持たれた方は、ぜひ一度ご連絡ください。
2023年5月には九州農業WEEKに出展!
アイナックシステムの革新はまだまだ止まらない!
2023年5月24日(水)~5月26日(金)にグランメッセ熊本で開催される第1回 九州農業WEEKに出展します。
- 『ロボつみ』デモンストレーション実演を常時行います
- 大規模自動潅水システム『AguRo-W』の展示を行います
- 入場チケットご希望者はホームページよりご連絡ください。
※『ロボつみ®』は株式会社アイナックシステムの登録商標です
【問い合わせ先】
株式会社アイナックシステム
〒839-0809
福岡県久留米市東合川4丁目1-1-101
TEL:0942-48-0451
FAX:0942-48-0452
担当:稲員(いなかず)