別事業で成功するも、やりがいが一番強い農業へ
業務用のネギをやったり、赤シソをやってた時代もあるけど、今はキャベツ1本のこの作型に落ち着いてるね。労働力は基本的には妻と息子との3人で、キャベツの定植と収穫の時期に期間雇用を数人してるかな。
その後、ウエディング会社の社員もしたな。管理職まで昇格して給与も良かったんだけど、ここでも何か満たされない気持ちになったんだよね。
そこで、34歳の時に本格的に農業をしようと思い立った。当時の農業は作業に乗用の農機が導入され始めていて、その乗用の農機を実際に見た時に、「これは面白そうだ、うまく農機を使いこなせればチャンスだ!」と思って始めたね。
「豊橋のエジソン」の原点となった、ゼロから造った赤シソ刈り機
赤シソを栽培してた頃、当時はまだ乗用の赤シソ刈り機が発売されてなかったから、エンジンや部品を取り集めて、ゼロから造ったんだ。

エンジンや部品を取り集めて、ゼロから造った赤シソ刈り機
当時の赤シソの栽培面積は労働力1人につき10アールが平均だったけど、この機械とか作付機のおかげで1人につき120アールまで栽培できたね!
製作の過程でたくさん苦労はしたけど、おかげで農機の構造や改造のノウハウが学べたよ!
原点になった思い入れのある農機だから、赤シソを作らなくなった今でも、捨てられずに倉庫にあるんだよな。

赤シソの播種(はしゅ)からマルチ張りまで一体でできる作付機。これも改造して造った
農機具は中古で買って改造!
トラクターだけじゃなくて、運搬車7台や定植機5台も全部中古で買ってそろえてる。

キャビン付きの55馬力のトラクター。故障した部品を、別機から乗せ換えて解決!

27万円で買った65馬力のトラクター。フロントカバーの欠品をテレビのブラウン管や廃材を代用して解決!
新品で買うと600万円以上する馬力のトラクターが数十万円で買えるなら、それだけで500万円以上の利益になるじゃん。もちろん、ブームスプレーヤーとか能力がいいものは、新品でも買うけどね。他の農家が修理できなくて手放す農機が、俺にとっては激安の宝の山だな!ガハハ!
みんなが使わないような中古の農機具や廃材でも、工夫して活躍させられたら、最高に面白いじゃん!
農業で成功するために必要なマインド
でも私のような機械に疎い農家は、何から始めたらいいんでしょうか?
ワイヤーや始動ロープのような、消耗しやすくて壊れやすい部品は、常にストックを持っておいた方がいいね。その機械を修理に出して数日返ってこないと、作業止まっちゃって困るでしょ?
あとはYouTubeを見るのもいい! 農機の修理や廃材加工の人気のある動画は、教科書レベルで丁寧で参考になるから見ると勉強になるよ。とにかく手を出してみることだね! 農機の知識を持っているのと、実際に改造してやってみることは、月とスッポンくらい違うからね。
「事極開道(じきょくかいどう)」。オレの座右の銘なんだけど、物事を極めれば、必ず道は開けて来るって意味なんだ。オレも苦労して赤シソ刈り機を造った時に、本当に道が開けていったのが実感できた。だから、とにかくトライ&エラー、そしてたくさん失敗しても諦めないことだね!

散水チューブを巻くリール。タイヤと持ち手の部分にローラーをつけて、トラックに積み込みやすくしてある
「世界で一番笑ったやつが、世界で一番幸せ」だとオレは本気で考えてる。
やっぱり、人生を楽しまなきゃ! 遊びこそ学びだし、農業も本気で遊んでやろうと思ってやってるよ。
身近にいる息子や孫に、「あなたのような人生はとっても楽しいと思う!」と言われたら、最高の勲章だよね!

ビニールハウスの鉄骨などの廃材で作った「回転式シーソー」。お孫さんに大人気の遊具
現在は息子さんに経営を譲ったそうですが、農具やビニールハウスの材料で作ったお孫さんの遊び道具や、農機を紹介してくれている時の生き生きとした表情を見ると、まだまだ「農業で遊び尽くすぞ!」という意欲がうかがえました。
取材させていただき、ありがとうございました!