カメムシはどんな虫?
分類 | 吸汁性害虫 |
発生時期 | 4~10月 |
発生しやすい植物 | イネ、ダイズ、エダマメ、ジャガイモ、ニンジン、トマト、ナス、ピーマン、カボチャ、インゲン、オクラ、ナシ、ホオズキ |
発生場所 | 草花・果樹・野菜の葉・茎、白色の洗濯物など |
カメムシは種類が多く、体表が緑色のツヤアオカメムシや、黒色のクサギカメムシなど、色や形もさまざまです。カメムシといえば、触れると悪臭を放つという特徴が象徴的。外敵から身を守るために悪臭を発しているのだそう。
植物の果実部分や、新芽・茎葉など柔らかく水分の多い部分を好んで食い荒らす吸汁性害虫で、草木や植物が茂っている場所に発生しやすく、雑草や枯葉に潜んで成虫のまま越冬します。
光に反応して動き回るため、日光を反射しやすい白い壁や洗濯物などによく付着します。
カメムシがもたらす農作物や植物に対する被害
カメムシは吸汁性のため、柔らかく水分の多い部分を好みます。そのため果実や新芽、茎葉などに食害が多く発生します。カメムシに汁を吸われてしまった果実は、腐敗したり変形したりして、売り物になりません。またカメムシの臭いが果実に移り、食べることができなくなってしまいます。
新芽が吸汁されると、芽が折れたり曲がったりします。茎葉の場合は、奇形化したり穴が空いたりするなどの被害が発生します。被害が大きい場合は、生育不良になってしまうこともあるので、注意が必要です。
カメムシの効果的な駆除方法
カメムシの被害を抑えるためには、どのような駆除方法があるのでしょうか?
ここでは効果的な駆除方法について、解説していきます。
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◯殺虫剤
◯凍結スプレー
◯テープ
◯牛乳パックやペットボトルの捕獲器
殺虫剤
カメムシ専用の殺虫剤(農薬)を散布する方法であれば、一度にたくさんの面積を防除することができます。
農業の現場などでは「ベニカ水溶剤」という薬剤がよく使われます。顆粒タイプの浸透移行性殺虫剤で、殺虫効果が長い期間持続します。野菜や果樹、花など幅広い植物に使うことができますが、作物の種類によって使用できるものとできないものがあるので、事前に確認しましょう。
凍結スプレー
カメムシなどの昆虫は変温動物なので、冷却すると動きが鈍くなり捕殺しやすくなります。
殺虫成分を含んでいない凍結スプレーを使えば、殺虫剤の効きにくいカメムシにも効果的です。瞬間凍結させるため、悪臭が広がる心配も少なく、薬剤ではないので植物の周りや室内でも使いやすいメリットがあります。
ただし、葉や茎、果実にスプレーを直接当ててしまうと傷んでしまう恐れがあるので、散布する際は注意しましょう。
テープ
直接カメムシを捕まえようとすると、悪臭を放ったり飛んで逃げられてしまったりなど、なかなかうまくいきません。
ガムテープなどの粘着テープを使用すれば、直接カメムシに触れることなく駆除ができます。思いきり貼り付けてしまうと潰してしまうので、押し付けるのではなく、触るようなイメージで貼り付けましょう。手作業なので、大量に発生している場合には不向きです。
牛乳パックやペットボトルの捕獲器
カメムシに触るのが嫌だという人は、牛乳パックやペットボトルを使った捕獲器を作っても良いでしょう。
口を開けた牛乳パックや、上部を切り取ったペットボトルの中に、食器用洗剤を入れてカメムシを中に落として閉じ込めるだけなので、簡単に作ることができます。
カメムシなどの昆虫は気孔という穴から呼吸をします。洗剤がその穴を塞いでしまうので、カメムシを窒息死させることができるという仕組みです。
カメムシの効果的な予防方法
カメムシの発生を予防するためにはどのような方法があるのでしょうか?
ここでは効果的な予防方法について、解説していきます。
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◯定期的に除草する
◯農作物に防虫ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)を使用する
◯カメムシの忌避剤を使用する
◯ミントやハッカを使用する
定期的に除草する
カメムシは草木や植物が茂っている場所を好んで繁殖します。庭や畑に雑草が茂っていると、カメムシの絶好の隠れ家となってしまい、繁殖を促進してしまうことになります。
定期的に除草することは、発生のもとを断つことにつながるため、カメムシ抑制に効果的です。また、落ち葉や枯葉などに潜むこともあるので、たまったままにせず、定期的に清掃しましょう。
農作物に防虫ネットや寒冷紗を使用する
農作物のカメムシ対策には、防虫ネットや寒冷紗が最適です。
カメムシは種によってサイズが違いますが、5~15ミリほどの大きさなので、目合い4ミリ以下の防虫ネットを使うと良いでしょう。
防虫ネットは目合いが細かいほど害虫の侵入を防止できますが、その分換気性が悪くなり、温度が上がりやすくなるので夏場などはしっかり管理を行いましょう。
寒冷紗も同じようにカメムシの侵入対策になります。他にも、鳥からの被害を防いだり、保温や乾燥対策にもなります。
カメムシの忌避剤を使用する
忌避剤を使うことで、カメムシを寄せ付けないという予防方法も良いでしょう。
防虫剤や忌避剤を、寄せ付けたくない場所に使用するだけなので簡単に予防ができます。
家の外壁や窓などに使用する場合と、作物の近くで使用する場合では、使える薬剤が異なるので、事前によく確認するようにしてください。
ミントやハッカを使って忌避する
カメムシはミントやハッカの匂い成分を嫌うといわれています。
畑や庭の空いているスペースに、鉢植えのミントなどを置くと良いでしょう。ミントは生命力や繁殖力が非常に強くどんどん広がっていくので、地植えではなく鉢植えがベターです。
また、ハッカ油を薄めたものをスプレーボトルに入れておけば、いざという時にすぐ散布できて便利です。なお、ハッカ油はプラスチックを腐食するため、ガラス製のボトルに入れておきましょう。
カメムシの悪臭が付いてしまった場合の対処法
カメムシの独特な臭いが肌や服に付いてしまった場合は、以下の方法を試してください。
1.「界面活性剤」を含んだ洗剤を使用する
2.熱を加える
カメムシの臭いの主成分は、「ヘキセナール」や「トランス-2-ヘキセナール」という物質です。これらの成分は親油性といって、油に溶けやすいので、サラダ油やオリーブオイルで洗ったり、界面活性剤入りの洗剤を使うことで臭いを落とすことができます。
また揮発性もあり、熱を加えることで成分が蒸発するため、服に付いた場合はスチームアイロンなどで蒸気を当てることでも臭いを落とせます。
カメムシ対策は、さまざまな方法を組み合わせることが大切
カメムシは作物に被害を及ぼすだけではなく、見た目や臭いも不快な害虫です。
雑草や植物の茂みを定期的に除草して発生を予防すること、ネットや忌避剤を使ってカメムシを寄せ付けないこと、見つけ次第捕殺する、スプレー、殺虫剤などを使って駆除するなど、様々な方法を組み合わせて被害を抑えることが大切です。
畑や庭に発生する害虫はカメムシだけではありません。一度に複数の害虫を予防・駆除するために、本記事や関連記事を参考にして、効率的な防除を目指しましょう。