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メルカリフォロワー数全国1位の農家が語るECサイト、フリマアプリ、SNSの活用術

メルカリフォロワー数全国1位の農家が語るECサイト、フリマアプリ、SNSの活用術

近年は農家がSNSを利用したり、ECサイトで農産物を販売したりすることも珍しくありません。勝手が分からず導入しただけになってしまい、販売に活用しきれていないケースも多くある中、水耕栽培した発芽ニンニクをSNSやECサイト、フリマアプリをうまく活用して販売している生産者がいます。ミヤハラ農園代表の宮原龍磨(みやはら・りゅうま)さんにお話を聞きました。

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農業と全く関わりの無い人生だったからこその販売方法

佐賀県武雄市にあるミヤハラ農園では、水耕栽培で発芽ニンニクを作っています。普通のニンニクよりも栄養価が高く、特有の臭いも少ないと注目を浴びている野菜です。

同園では1カ月に約4万本を生産、販売しています。発芽ニンニクと平飼い養鶏の有精卵のみを使用した「鉄子の発芽にんにく卵黄」も自社で加工、販売しており、ECサイトなどで人気を集めています。

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ミヤハラ農園の発芽ニンニク

田舎育ちではあるものの、農業とは無縁の人生だったと宮原さんは話します。しかし、幼少期から集団行動が苦手だったこともあり、将来的に独立起業することは決めていました。

高校卒業後、大手コンビニエンスストア、ベンチャー企業と渡り歩いたのち、25歳の時に地元を盛り上げたいと、武雄市の使われていない土地を利用する形で農業の道へ進みました。福岡県で40年以上有機栽培を行うベテラン農家に弟子入りし、1年間の研修を受けて武雄市に帰郷。就農当初は、研修先と同様に少量多品目の野菜を有機栽培していました。

独立してから1年ほどは有機野菜を道の駅等で販売していた宮原さんですが、現実は厳しかったと当時を回顧します。「長年栽培を続けて土が肥えている場所で野菜を作っている農家には自分の野菜は勝てない。こんなにも農業はもうからないのか」と思ったそう。

打開策を模索する中でたどり着いたのが、当時は今ほど注目されていなかった発芽ニンニク。そして、ECサイトやフリマアプリでの販売でした。

「実家が農家で小さいころから農業に携わってきていたら、何も考えずに既存の売り先に販売をしていたと思う。何も無いところからのスタートだったからこそ、人と違う選択肢を取れた」(宮原さん)

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発芽ニンニクの栽培の様子

ミヤハラ農園のECサイト、フリマアプリ、SNSの活用について

ミヤハラ農園では多くのECサイトやフリマアプリで生産物を販売しています。ECサイトではAmazon、楽天市場、食べチョク、ポケットマルシェ、産直アウルなど。フリマアプリは、主にメルカリを使っています。

発芽ニンニクだけでなく、玉ねぎや柑橘(かんきつ)類など旬の青果物も販売。地域の農家と連携を取り、食べられるのに傷がついて市場出荷できない青果物を買い取り、お買い得の訳アリ商品として代わりに販売しています。

月の総販売件数は、平均5000件以上。年間6万軒以上の家庭に青果物を届けています。

また、販売して終わりではなく、買ってくれた消費者とSNSを通じてつながり、コミュニケーションを取ることも大切にしているといいます。コミュニケーションの取り方には特にコツがあるわけではなく、時間をかけて、SNS上での消費者とのやり取りを大切にしたそうです。

地道に積み重ねてきたコミュニケーションによって、現在はインスタグラムフォロワー数が1万人以上、公式ライン登録5000人以上に上り、メルカリではフォロワー数が日本一(出所:株式会社メルカリ)になるなど、ものすごい数の消費者とつながっています。

「継続的に買ってくれる人もいるが、私がオススメすると、みやっち(宮原さんの愛称)がいうなら間違いないと買ってくれる方もいる。地道にコミュニケーションを積み重ねてきたからこそ財産となって今の形があるのかなと思う」(宮原さん)

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宮原さん

農家がまねできるECサイト、フリマアプリ、SNS活用術とは

長年、ECサイト、フリマアプリ、SNSを活用して販売している宮原さんに、農家がまねできる活用術や気になる疑問を聞いてみました。

ECサイト、フリマアプリの活用

Q.ホームページよりも既存のECサイトを活用したほうがいいの?

ホームページを作ってネット販売をしようと思う人がいますが、一番難しいです。

元々SNS等でつながっている既存のお客さんが居れば良いですが、新規ではまず見られることがありません。それよりも、既に人が集まっているECサイトやフリマアプリに力を注いだ方が、時間もお金もお得といえます。

Q.多くのサイトを利用したほうがいいの?

ECサイトは使っているけど、1カ所にしか出していないという農家さんが意外と多いです。

結論、サイトによって見ている消費者が違うので多くのサイトを活用した方がいいです。消費者も面倒くさいのでいくつものサイトを行ったり来たりする訳ではありません。お気に入りのサイトでしか購入しないのです。

Q.フリマアプリを活用したほうがいいの?

食べチョクなどECサイトばかりで、意外と農家が使っていないのがフリマアプリです。
ECサイトは、価格が高くても新鮮でおいしい青果物を求める消費者が多いですが、フリマアプリは、暇つぶしやなんとなくで見ている人が多いです。メルカリより発表された2022年10月の月間利用者数は2075万人となっており、青果物以外の取引もありますが多くの人の目に触れる機会になります。

Q.ライブコマースの活用はどう?

ライブコマースとは、ECとライブ配信を組み合わせたもの。視聴者はコメントで質問することができ、配信者はリアルタイムで答えます。ネットの中で八百屋のようなコミュニケーションを取ることができるのです。

ミヤハラ農園でもライブコマースを活用しており、メルカリチャンネルを利用していた時は、最大4時間で最高97万円を売り上げたことがありました(現在、メルカリチャンネルはサービス終了)。
現在は、Peace You Live(ピースユーライブ)を利用しており、(視聴者の中には)SNSのフォロワーもいますが、10時間の配信で30万円超えの売り上げがたっています。

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発芽にんにく料理

SNSの活用

Q.買ってくれた人とつながるには?

消費者に届く箱を使って、自分のSNSとつながってもらえるようにしておくとよいでしょう。

ただ商品を送るだけでなく、お礼とSNSに飛べるQRコードが書いてある紙を入れるべきです。登録してくれた人は、再購入する見込みや商品に興味がある人になります。つながっておくことで、次につながるアクションを取れるでしょう。

Q.ラインを活用するメリットは?

消費者に直接メッセージを送ることができるのがラインです。

SNSでは、投稿しても見られずに終わってしまう可能性があります。それに比べて、ラインは普段の連絡手段なので必ず見てもらうことができるのです。しかし、注意点として、登録してもらえるハードルが高いことが挙げられます。

Q.ラインを活用する上でのおススメ機能は?

Lステップの活用がおススメです。Lステップとは、公式ラインを拡張することで使用できる機能。これを使うことで、作業の自動化、登録してくれた人の分析、反応率・売り上げアップが見込まれます。より公式ラインを便利にすることができるのです。

詳しく知りたい人は、公式ラインやLステップについて調べてみてください。

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ミヤハラ農園が商品を届ける際に箱に入れているチラシ

「ECサイトやフリマアプリの活用は、今までなかった作業が生まれるため手間は増えてしまいます。すぐに結果がでるものでもありません。ですが、必ず自分の財産になるので、コミュニケーションを取って地道に積み重ねていきましょう」(宮原さん)

取材協力

ミヤハラ農園

ホームページ:ミヤハラ農園 (miyaharafarm.shop)
インスタグラム:みやっち👨‍🌾ゆる健康農家👨‍🌾ミヤハラ農園(@miyaharafarm) • Instagram写真と動画

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