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地域随一の農家は新規就農者!有望株まで成長した理由とは

地域随一の農家は新規就農者!有望株まで成長した理由とは

石川県加賀市の若手農家、西山匡亮(にしやま・くにあき)さんと中田徹(なかた・とおる)さん。自然豊かな三谷地区の里山で 兄の匡亮さんは水稲と野菜、弟の徹さんは奥谷(おくのや)地区でナシを栽培しています。それぞれ異なる品目を作る新規就農者だった2人は、2022年に株式会社リーフファーム加賀を設立。地域随一の若手農家として注目を集める2人の法人化の狙いや、成長の背景を紹介します。

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兄弟それぞれが新規就農

2010年に母の地元加賀市へ移住し、新規就農した匡亮さん。 祖父の農地を引き継ぐかたちでスタートし、現在は水稲を12ヘクタール、ブロッコリー、カボチャ、大豆を合わせて8ヘクタールの農地で栽培しています。
系統出荷の他、無農薬・減農薬の水稲などは個人販売も行います。深水栽培(ふかみずさいばい)で一部の雑草を抑え、酢を使って残りを除草するなど、工夫を重ねています。
一方、弟の徹さんは2017年に新規就農。きっかけは匡亮さんからの「農業をやらないか?」との一言でしたが、祖父の背中を見て、心のどこかで「農業をやりたい」と思っていたそうです。栽培するナシは9品目。新水(しんすい)や幸水(こうすい)の他、石川県オリジナル品種の「加賀しずく」など。離農するナシ農家の農地を引き継ぎましたが、さらに広げ、現在は1.4ヘクタールです。
「石川県の普及指導員の方から、ブドウかナシを勧められました。どちらも加賀市で作られている品目です。私は果物の中で一番好きなのがナシだったので『せっかくならおいしいナシを作りたい』と思って選びました」(徹さん)

石川県オリジナル品種「加賀しずく」

祖父の農業を進化させる

兄弟それぞれ異なる農業を営んでいますが、共通するのは先代から引き継いだ農業を進化させていることだといえるかもしれません。
匡亮さんは昔から、祖父の農業への考え方にも接してきました。
「祖父は朝起きてから、夕方日が沈むまでしっかりと仕事をしていました。また時期によっては(自分の)状態が悪くても、そのまま畑に出ていくような、効率が良いとはいえないやり方をしていました」
そこから匡亮さんは、他の先輩農家などにも聞き、効率よく進められるように国の補助制度等を積極的に活用し機械を導入するなどして農作業の改善に努めました。

片や徹さんは就農の初年度には失敗したと話します。
「1年目には小さいナシしかならなかったんです」
そして、その失敗から土壌改良に乗り出した徹さん。もともとその農地を使っていた方は高齢だったこともあり、それほど管理できていない状態だったそう。
「土壌分析をして、必要な養分を知ることから始めました。それを元に堆肥(たいひ)をたくさん入れてみたり、有機肥料を使ったり。結果、2年目は前年の倍の売り上げになりました」
その後、先述のとおり農地を増やしていますが反収は下がることなく、売り上げも向上。徹さんは土壌改良の効果を実感しています。さらに市のスマート農業実証事業にも参加し、環境モニタリング用のセンサーを入れて、霜が降りるリスクに早めに気づけるようにするなどの対策にも積極的です。

農地を引き継いで梨を育てる徹さん

なぜ兄弟で法人設立したのか

そうして、それぞれ生産拡大を続けてきた匡亮さんと徹さん。
その後、時を同じくして共通の壁に突き当たります。それが規模拡大に伴う労働力の問題でした。
「高齢化が進む中でこの地域の農地を継承し、発展させていくのは自分たちしかいない。地域内外からの信頼を獲得し、安定した雇用を確保するためにも一緒に一つの会社を立ち上げようという形で。そこで法人化が始まりました」(匡亮さん)
2022年3月にリーフファーム加賀を設立、2期目となった2023年6月現在、2人は法人化のメリットを感じています。
特にそこでは、互いが異なる品目を作っていることが強みになりました。繁閑の時期が異なることで、互いの農作業を手伝うなど、人や農機の融通が利きやすいためです。
「兄のほうは冬場が農閑期になりますが、私のナシには剪定(せんてい)作業があったりします。そこで冬場は事務作業を手伝ってもらったりしています」(トオルさん)
会社が理想とするのは“地域とともに進んでいく農業”。収穫体験ができるような果樹園や、子供が遊べる農業公園など。今後進めていこうとする計画はさまざまあります。

官民連携(県、市、JA)による強力な支援体制は加賀市の魅力です。

新規就農者から見る農業の面白さ

2人は農業の面白さを次のように話します。
「『おいしい』と言ってもらうことが、やっぱり一番うれしいですね。作ったブロッコリーを地主さんに配った際に、『スーパーで買ったものは子供が食べなかったけれど、もらったブロッコリーは子供が食べてくれたよ』と言われて。それがすごくうれしかったです」(匡亮さん)
「農業は手を掛けた分、反応がありますよね。ナシの木も仕事自体も。仕事である以上、やはりお金という部分はついて回りますが、農業はわりと、稼ぎたい額から逆算して何をすべきかが分かりやすいと思っています」(徹さん)
「加賀の地で農業を続ける理由は、この地域の自然と人間性に強く惹かれたからです。地域農業を守り・活性化していくためにも、一緒に働ける仲間を増やしたいですね。私たちは「新しいことにチャレンジしたい」、「加賀で働きたい」、様々な考え方を持つ人たちを募集しています。今は、規模拡大のほかにも、農家レストランやキッチンカーも検討しているんですが、課題や難題も、県や市、JA担当者が協力してサポートしてくれるので安心です。一緒にこの里山を活気づけていきたいです。」(匡亮さん)
加賀市の若手農家は今、“地域とともに進んでいく農業”を踏み出しています。

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