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農家が作ったアプリ「アグリハブ」が農業を革新! 地図機能拡充で大規模農家にも対応

農家が作ったアプリ「アグリハブ」が農業を革新! 地図機能拡充で大規模農家にも対応

農業管理アプリ「アグリハブ」は、東京都調布市で農業を営む伊藤彰一(いとう・しょういち)さんが開発。自身の営農の中で不便に感じた点を改善したいと、元エンジニアとしてのスキルを生かして制作し、2018年にリリースした。その使いやすさが農家の間で評判になり、現在のユーザー数は約3万人。当初のターゲットだった小規模農家だけでなく、大規模農家にも広がりつつある。そこで今回、より多くのユーザーの使いやすさを実現するため、機能を大幅にバージョンアップ。その詳細について伊藤さんに聞いた。

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■伊藤彰一さん プロフィール

株式会社Agrihub(アグリハブ)代表取締役であり、東京都調布市の400年以上の歴史ある農家の後継ぎ。大学卒業後システムエンジニアとして働いていたが、28歳で退職し就農。現在は父と共に約1ヘクタールの伊藤農園を経営する傍ら、農業管理アプリ「アグリハブ」の開発にいそしむ。

地図上ですべてが完結する農業管理アプリへ

──今回のバージョンアップのポイントを教えてください。

「地図上ですべてができるようになった」というのが肝です。圃場(ほじょう)と地図をひもづけることで、地図上で作業記録や作業予定の入力などすべての操作が完結します。自分の欲しい情報が地図上で可視化されるので、かなり使いやすくなったと思います。

──地図上ですべての操作ができることにどんなメリットがあるのでしょうか?

これまでアグリハブは栽培記録をリストで管理していたんです。

小規模農家は圃場の数が少なく、地図機能がなくても圃場に任意につけた名前、例えば「圃場A」などとしておくだけで情報を把握できるので、これでも良かったんです。でも大規模農家が100枚200枚の圃場を管理するとなると、やはり文字情報だけだとわかりにくい。そこで、圃場と地図を連携させると視覚的にわかりやすくなります。

──このような地図機能のある農業管理アプリは、アグリハブが初めてですか?

他社のアプリでも、地図機能はあります。じゃあアグリハブとどこが違うかというと、他社のアプリでは圃場自体は地図で見られるのですが、作業状況までは可視化できていないんです。いつどこでどんな作業をしたのかを確認するには、ほかの操作をして表示させないといけない。一方、アグリハブでは地図上で情報を一元化して表示することができ、すべての情報がつながっている。そこが今までのアプリと比べて新しいところかなと思います。

──地図上で作業記録の情報を絞って、リスト化して表示させることも簡単にできるのですか?

はい。自分の見たい情報だけを選択して表示することも簡単にできます。例えば、地図上でAとBの圃場を選択すると、Aで栽培しているトウモロコシとBで栽培しているエダマメの作業記録が表示できます。
また、播種(はしゅ)の情報だけを抽出すると、地図上にどの圃場で何のタネを何日前にまいたかといったことを表示させることができます。

──作業記録を簡単に振り返ることができるわけですね。

さらに、作業ごとに内容を精査することもできます。例えば「播種」や「施肥」などの一つの作業だけを抽出して、何時間やっていて資材にいくらかかっているかなどもすぐに見ることができるので、作業の効率化にも役立ちます。

──では、新たに作業記録を入力するときはどうするんですか?

例えば、新たにトマトを作付けする場合、地図で見れば作付けされていない圃場はすぐわかりますから、そこを地図上で囲って「トマト」と品目名を入れれば、圃場の登録をすることができます。
作業記録は、作業をした場所を地図上で選択するとすぐに画面が立ち上がるので、簡単に入力できます。地図上で情報を可視化することで、ほかの人と情報の共有がしやすくなったので、従業員が何人もいる大規模農家にも使いやすいと思います。

──地図上で情報が確認できるおかげで、操作性がかなり良くなった感じがしますね。

はい、細かいことを意識しなくても、いろんな角度からデータを確認できるようになりました。アグリハブはこれまで細かな機能改善を重ねてきました。それは何のためかというと、実はこの地図上の機能を構築するためだったんです。なので、今回のバージョンアップは今までアグリハブが作ってきた機能を地図上にギュッとさせた集大成みたいなものです。

情報の共有が簡単! 大規模農家でも使いやすく

──もともとアグリハブは小規模農家をターゲットとして機能を充実させてきたというイメージだったのですが、今回は大規模農家もターゲットになっているのですか?

はい、かなり大規模農家には使いやすくなっていると思います。実は、アグリハブを使っている大規模農家から、「個人農家にはいいかもしれないけど、大規模農家にとっては、足りない機能がある」といった声があったんです。

──大規模農家からはどんな意見があったのでしょうか?

大規模農家のように圃場の数が多い場合、リスト表示の機能だけだと、どのリストがどの圃場のことなのかわかりにくく、管理がしにくいという意見でした。でもこの地図機能ができたことで、アグリハブは圃場の把握もしやすいし、作業記録の入力もしやすいアプリになったと思います。
また作業予定を農場の管理者が入れておけば地図上に表示され、従業員がそれを見て作業をするということもできますから、作業の指示も簡単です。作業後の状態を写真に撮って記録するルールにしておけば、ちゃんと作業がなされたかどうかの把握もできます。

──大規模農家にとって特に使いやすい機能はほかにありますか?

看板機能があります。これまでアグリハブは農作業に関することしか記録できなかったのですが、そのほかの圃場の状況に関することも記録できるようになったんです。どこに水道があるとか、どこに危険な場所があるかとかは、口で説明してもわかりにくいですが、地図上に表示をしておけば一目でわかります。地図上での危険区域の表示は特にGAP(農業生産工程管理)でも求められます。

──確かに、危険に気づいた人が地図上に看板を立てれば、すぐにメンバーに共有できるというわけですね。安全上も役立つ機能ですね。

一つのアカウントに対して人数制限はないので、農場のメンバーが何人いても全員に共有できます。かなりの大規模農家でも便利に使ってもらえると思います。

──アグリハブはこれまで基本的に無料で使えるアプリでしたが、こんなに機能が充実したら、やはり無料というわけにはいかないですよね。

今後もこれまでと同じ機能を無料で使い続けることが可能です。
でも今回追加した地図機能が使えるのは、年会費2640円の「スターターメンバー」と、9800円の「プレミアムメンバー」です。今回の機能はGoogle Mapを使っているので、その利用料をGoogleに支払うため、無料というわけにはいかず、これが精一杯の価格になります。価格は抑えて機能は充実させているので、なるべく多くの方に使ってもらいたいですね。有料でも、喜んでもらえるものになったと思います!

──今回のバージョンアップで、多くの農家さんの作業効率アップにつながりそうですね。ありがとうございました。

【取材協力・画像提供】株式会社Agrihub

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