桃と義経伝説の町「国見町」ってどんなところ?
福島県の中通り北部に位置する国見町は、北は宮城県白石市と接し、東は阿武隈川を挟んで伊達市、南は桑折町と隣接する、信達盆地の肥沃な土地に恵まれた自然豊かな町です。
交通
県都福島市まで16.5kmの距離にあり、南北に東北本線(藤田駅・貝田駅)と東北新幹線、国道4号線が走り、さらに東北縦貫自動車道の国見インターチェンジを有していることから、交通の便に恵まれた地域として発展してきました。
観光スポット
国見町にはNHK大河ドラマで話題となった義経伝説が息づく観光地があります。町内に点在する「義経伝説ゆかりの地」には、伝承や歴史的な遺跡が残されており、多くの観光客が訪れています。
農業
国見町を代表する特産品といえば「桃」。年平均気温13.3度と比較的寒暖の差がある内陸性の気候は、町の基幹産業である農業に適した環境であり、桃をはじめ、リンゴ、サクランボ、柿などの果樹栽培が盛んな地域として知られています。
丹精込めて育てられた桃は甘くてとってもジューシー!早生種の「はつひめ」を皮切りに主力品種の「あかつき」、「川中島白桃」、「さくら白桃」と、さまざまな品種が栽培されている国見町では、7月上旬から9月中旬まで、まち全体が“桃色”で満たされます。
そんな町の宝である桃ですが、生産者の高齢化や担い手不足により、その継承は危機に瀕しています。そこで、国見町では桃の産地継承と後継者の育成に向けた取り組みとして、地域おこし協力隊を募集します。
地域住民の温かいサポートを受けながら、地域の未来を築く地域おこし協力隊の活動を詳しくみていきましょう。
未来の農業人を育む国見町地域おこし協力隊のステップガイド
「地域おこし協力隊」とは、地域の活性化や課題解決を目指して、若者や新規就農者などが一定期間、特定の地域で活動する制度です。日本各地の自治体や農村地域が、地域の魅力を生かした取り組みや新たな人材の定着を促すために導入しています。
国見町ではこの制度を活用し、主に桃を中心とした果樹での新規就農者希望者を地域おこし協力隊として募集。隊員は指導にあたる受け入れ先農家のもとで原則3年間、技術や知識を学ぶとともに、地域農業の発展やPRに寄与します。
任用後の主な流れ
・受け入れ後2カ月の“慣らし期間”があるから安心
初めての土地での暮らしに慣れていただくため、就任から2カ月間はほ場見学や農業の基礎知識を学ぶための座学研修に参加します。その後、希望作物や受け入れ農家との相性などを考慮し、受け入れ先農家をマッチング。実践的な研修へと移行します。
・2年目:年間を通した桃栽培と、農閑期の作業を徹底的に学ぶ
慣らし期間を終えた後は、受け入れ農家のもとで徹底的に栽培技術を学びます。剪定から摘蕾、摘花、摘果、収穫までを一貫して学ぶことで、就農に必要なノウハウを身につけることができます。
さらに、受け入れ先農家での研修のほか、農協が実施する農業塾や指導会、町が運営するくにみ農業ビジネス訓練所の座学研修、町のイベントなどに参加することで栽培技術を磨くことができます。
・3年目:任期満了まであと少し!就農準備スタート
引き続き受け入れ先農家で研修を積みながら、就農に向けた準備を行います。農地探しや任用終了後の住宅、営農に必要な農業器具取得の準備も進めましょう。
・4年目以降:新規就農者として営農開始
地域おこし協力隊としての活動を終え、いよいよファーマーライフが始まります。営農のための資金は、農林水産省の経営開始資金への申請が可能です。加えて、国見町では経営開始支援資金として最大150万円の資金貸し付けを行っています。
受け入れ先農家や行政が就農までしっかりサポートしてくれる国見町なら、安心して地域おこし協力隊として活動することができますね。
桃栽培の達人に聞く、国見町の魅力と課題
「桃はまさに国見町の財産。生産者と行政が品質向上のために尽力し、産地を守っています」
そう自信を持って話す阿部亨さんは、受け入れ先農家の一つであり、200アールの広大な園地で桃を生産するほか、リンゴ(15アール)、あんぽ柿の原料となる柿(40アール)などを手掛ける果樹農家です。
かつて養蚕が盛んだった国見町は、昭和40年代後半に生糸価格の低迷から桃への大転換を図り、今では全国9位、町の部1位の出荷量を誇ります。
「単価が高い桃は、果樹農家の大切な収入源です。しかし、作って売るだけでは安定経営にはつながりません。強風や豪雨など悪天候に強い品種の開発や、剪定、摘蕾、摘果などの技術を磨くことで高品質でおいしい桃を作ることができます。これらの技術を、国見町がJAなどの関係機関と連携し、いち早く取り組んできたことで私たち生産者は安心して桃作りに取り組むことができます」
と、阿部さん。
しかし、農業従事者の高齢化や担い手不足は国見町にも深刻な影を落としているのが実情です。阿部さんが所属する生産者部会の平均年齢が68歳ということからも、新たな担い手育成が急務であることがうかがえます。
「日本の基幹産業である農業は、命を育む尊い仕事です。自然と共存しながらやりがいと生きがいを感じることで、仕事に誇りを持つことができます。しかし、若い世代にとって農業は体力的にきつく、もうからないイメージがあるのも事実。町をあげて新規就農者を支援する国見町ならそのイメージを払拭ふっしょくできるはずです。これまで先人たちが築き上げてきた栽培技術を継承すると共に、IoTやAIなどスマート農業を取り入れながら、新しい国見の農業をぜひ、確立いただきたいです」
と、地域おこし協力隊に期待を寄せる阿部さんは、技術面だけでなく、国見町には“新参者”を温かく受け入れる懐の深さがあると言葉を続けます。
「見知らぬ土地への移住は不安もあることでしょう。でも、国見町なら、移住就農をしても孤立を感じることはまずありません。誰もが自分の技術を惜しみなく伝え、困っている時は家族のようにアドバイスをしてくれるはずです。それは国見町の桃が1人のものではなく、町の財産だからです。私たち生産者は新たな仲間の育成に尽力し、町の宝である桃を育む仲間を作っていきたいと考えています」
地域おこし協力隊員は、阿部さんをはじめベテラン生産者のもとで農業のノウハウをしっかり学ぶことで、安定経営を目指すことができます。朗らかで優しい阿部さんのような生産者が受け入れ農家となる国見町の地域おこし協力隊は、農家としてはもちろん、人間的にも成長できることでしょう。
移住就農の不安を解消!地域おこし協力隊に関する一問一答
とはいえ、はじめての土地での生活に不安はつきもの。そこで、移住者が感じる不安や心配ごとを、国見町産業振興課農林振興係の佐藤 智宏さんに伺ってみました。
Q.国見町の地域おこしに興味があります。協力隊への応募はどこに問い合わせればよいですか?
A.国見町 産業振興課 農林振興係に問い合わせください。
応募用紙は国見町ホームページからもダウンロードすることができます。インターネット環境がない方は電話にてお問い合わせいただければ、後日、応募用紙を郵送いたします。
Q.農業は全くの未経験ですが、地域おこし協力隊に応募することはできますか?
A.もちろん可能です。
国見町では農業未経験の方でも安心して就農を目指せるよう、受け入れ農家さんや関係機関と連携してしっかりとサポートいたします。受け入れ農家さんでの実践的学びのほか、農業塾や指導会では座学による農業の基礎知識をしっかり学ぶことができますよ。
Q.見知らぬ土地で、地域にうまく溶け込めるでしょうか…。
A.国見町は人口約8,300人ほどの小さな町です。町内に広がる果樹畑や田んぼののどかな風景のように、町民の人柄はおおらかな人柄です。新しい仲間を歓迎する風土が根付いています。
また、農業体験として、国見町の見学会に参加することで、町の雰囲気を感じることができますよ。
(詳しくはこちら)
Q.家賃に関する補助はありますか?
A.家賃は地域おこし協力隊の活動費からお支払いいただきます。
Q.地域おこし協力隊としての雇用形態について教えてください。
A.地域おこし協力隊は国見町と業務委託契約を締結し、農業振興に関する活動を行っていただきます。
最後に、地域おこし協力隊の研修先の1つである「くにみ農業ビジネス訓練所」の副所長も務める佐藤さんに、協力隊として求める人物像を伺いました。
「国見町の一員として、桃を中心とした地域農業を一緒に盛り上げていただける方を歓迎します。技術や知識の習得に真摯に取り組むことはもちろん、新しい技術やアイデアに意欲的に取り組んでいただきたいと考えます。3年の任用期間後は新規就農者として定着いただき、豊かな自然と歴史が息づく国見町の未来を、地域の方々とともに担っていただきたいです」
地域の交流が盛んで、住民の温かいサポートがある国見町の地域おこし協力隊は、地元の人々とともに暮らし、地域の未来を築く大切な存在として活躍ができます。
美しい自然の中で心温まる地域づくりに参加し、あなたの力で国見町の魅力を発見してみませんか?
お問い合せ
福島県国見町産業振興課農林振興係
〒969-1792
福島県伊達郡国見町大字藤田字一丁田二1番7
TEL:024−585−2986
E-mail:sangyo@town.kunimi.fukushima.jp
募集要項はこちら