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来場者300人超! 就農希望者がブースやセミナーで情報収集した新・農業人フェア2023「農業就職・転職LIVE」をレポート

来場者300人超! 就農希望者がブースやセミナーで情報収集した新・農業人フェア2023「農業就職・転職LIVE」をレポート

東京のJR新宿ミライナタワーでこのほど、新・農業人フェア2023「農業就職・転職LIVE」が開催されました。全国から農業法人を中心に34の団体がブースを出展。「農業をやってみたい」、「移住したい」という来場者が積極的に情報収集を行う姿が見られました。これから参加しようと考えている人や、農業に関心を持つ人にとって参考になる同イベントの様子をお届けします。

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農業就職・転職LIVEに300人超の来場者


昨今は農業法人に勤める雇用就農者が増えています。農林水産省の「令和3年新規就農者調査結果」によると、令和3年の新規雇用就農者数は1万1570人にのぼり、令和2年に比べて15.1%増加しています。

「農業就職・転職LIVE」は、そんな農業法人で働くことを希望する人に向けた就農相談会。全国の農業法人を中心に、就農支援団体などの各種団体が出展し、企業に就職する形での就農や支援制度、研修制度、働き方などについて直接相談できるイベントです。

現役農家が農業の魅力や将来性、課題などを解説するセミナーも実施された同イベントには、300人を超える参加者が来場。積極的に情報収集を行っていました。

ブースや相談コーナーで情報収集


来場者は興味のある作物を栽培している農業法人や、関心のある地域のブースで、新規就農について相談していました。ブースの出展者に話を聞くと、幅広い年代の方が来場していたようです。

相談内容もさまざま。「農業をやってみたいので、とりあえず話を聞いてみたい」という内容から、「移住も併せて検討したい」「研修制度や体験制度を利用したい」といった具体的な内容まで、多岐にわたる相談を受けていました。出展団体のPRシートをじっくりと読んでいる来場者に、出展者側から積極的に声をかける場面も。希望に寄り添いながら丁寧に支援制度や研修制度を説明し、来場者の不安や疑問に答える様子が見られました。

農業界の全体像や農業法人の取り組みを学べるセミナー

当日は、30代〜40代の農業法人の経営者が中心となって、農業界全体の状況やキャリアの築き方、経営戦略などを解説するセミナーが開かれました。

“つくる”の先にある農業の魅力を語った「山西牧場」


養豚および食肉・加工品販売を行う株式会社山西牧場の倉持信宏(くらもち・のぶひろ)さんは、業界内の立場から感じていることと、キャリアの築き方について語りました。

倉持さんは大学の農学部を卒業後、家業の3代目として山西牧場に入社。もともと6次産業に興味があり、会社の新規事業として自社生産豚肉の販売事業・OEMでの加工品製作に取り組みました。その後、Webでの商品販売、農場直送ブランド「三右衛門/3 é mon」を立ち上げるなど、養豚だけにとどまらない活動をしています。

家族経営の難しさを感じたり、自身のハウスダストアレルギーで生産現場に長時間携わることが難しいことがわかったりと、挫折や悩みも経験した倉持さん。しかし自身のキャリアを見直すチャンスととらえ、「自分がやりたいことは何か?」を考え直して新規事業に取り組んできたと言います。

「効率を重視しすぎず、まずはおもしろいと感じたことをやってみることが大事だと思います。僕自身、その時は無駄に思えることでも、後々役に立ったことはたくさんありました。農業の世界では、絶対的な正解や再現性はありません。だからこそ『自分がどうありたいか』に基づいて、取り組んでいくことが大事だと思います」(倉持さん)

このセミナーを聴講した神奈川県の50代男性は「実際に現場で働く人のお話を通じて、リアルな内情を知ることができました」と感想を話してくれました。

ベテラン農家「飯野農園」が語る、農業を続けていくために必要なこと


「今日も本当に暑いですね。こんなに日照りが続くのは何年かぶり、最近は水やりばかりしています」という一言から始まった、飯野芳彦(いいの・よしひこ)さんのセミナー。埼玉県川越市で露地野菜を中心に栽培する、就農25年の飯野さんは、農業の魅力や将来性、課題を紹介しました。

自然災害や病害、虫害などによる作物へのリスクをできる限り回避し、少ない資源を最大限活用するため、さまざまな相互扶助によって課題を解決してきたと飯野さんは言います。

「農業に技術的特許はほとんどありません。技術はみんなで共有して発展してきました。例えば、私が住んでいる川越では300年以上前から、落ち葉を掃き集めて堆肥(たいひ)として畑に入れて土壌改良を行う『落ち葉堆肥農法』に取り組んでいます。農業はすぐに結果が出るものではありません。年単位の時間をかけて協力し合いながら取り組む必要があるんです」(飯野さん)

また、農業とひとくちにいっても、栽培、販売、人事、経理などやることは多岐にわたります。規模の小さい農家は特に、経営者も従業員も主体的に参画しなければ成り立ちません。こうした孤独や不安と常に隣り合わせだからこそ、農業には人と人とのつながりが求められるのだと言います。

力強い言葉の数々が発せられた飯野さんのセミナー。聴講した東京都の30代女性は「厳しい世界だからこそ、みんなで協力して発展してきたという言葉が印象的でした。農業と向き合う基本姿勢を学べました」と感想を述べました。

「アグリ・コーポレーション」の経営から学ぶ、農業法人の成長戦略


有機農業でのサツマイモの栽培や加工、販売などを行う株式会社アグリ・コーポレーションの佐藤義貴(さとう・よしたか)さんは「農業は成長産業!」と題し、経営戦略と目指す姿について講演しました。佐藤さん自身も異業種からの新規就農者。大阪の税理士事務所での勤務を経て、長崎県五島市に移住し農業を始めました。「農業の『の』の字も知らない状態でスタートした」と語る佐藤さんですが、現在は全圃場・工場が有機JAS認証を取得しており、今後は「オーガニックをプラットフォームとした街づくり」を目指しています。

栽培だけではなく加工や販売にも事業領域を広げることが成長を後押しするという佐藤さん。アグリ・コーポレーション以外にも農産物直売所を関西に展開したり、海外輸出を行う食品商社のCOOを務めたり、さまざまな事業に取り組んでいます。そんな佐藤さんが就農当時を振り返って重要だと語るのは、自身の「師」にあたる人を身近に置くこと。

「私は経営を軌道に乗せるのにものすごく時間がかかりました。『三年勤め学ばんよりは、三年師を選ぶべし』という中国のことわざがありますが、まさにその通り。過去を振り返ってみても、栽培技術や経営ノウハウなどを教えてもらえるような人を身近に置いておくことは重要だと思います」(佐藤さん)

経営戦略にフォーカスした本セミナー。聴講した神奈川県の30代男性は「気になっていたトピックを率直に、わかりやすく教えてもらえました。またぜひ参加したいです」と感想を話してくれました。

農業就職・転職LIVE

イベント終了間際まで来場者が訪れた、今回の農業就職・転職LIVE。来場者はセミナーに参加したり、ブースを訪れたりと積極的に情報収集を行い、出展者も積極的に声をかけ、丁寧に説明する様子が見られました。

新・農業人フェアは今後も開催されます。次回の「農業就職・転職LIVE」は10月14日(土)、JR新宿ミライナタワーで開催予定。

就農に関するさまざまな情報が得られる貴重な機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

こちらでもイベントレポート公開中

(取材・執筆:三坂輝プロダクション)

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就農希望者が150超のブースで情報収集。セミナーでは人気俳優による講演も。新・農業人フェア2023「農業EXPO」をレポート
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