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日本初の「イチゴ周年生産」を目指す 成り疲れを抑制し糖度アップを実現した新しい資材とは

日本初の「イチゴ周年生産」を目指す 成り疲れを抑制し糖度アップを実現した新しい資材とは

温暖な気候と豊川用水に恵まれ、イチゴ栽培が盛んな愛知県豊橋市。栽培歴30年の水谷一江さんは、よりよいイチゴを作ろうと今日まで情報収集と研究を重ねてきました。成果が認められ、2019年度には生産技術部門で農林水産大臣賞を受賞し、県のいちご生産組合連合会の会長を務めた経験も。今やイチゴ農家のリーダー的存在の水谷さんですが、日本のどの地域でもまだ成し遂げられていない、”ある夢”がありました。

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「迷ったら前へ進む」情報収集と研究開発を重ね、イチゴと向き合い続ける水谷農園

愛知県南東部に広がる東三河地域。この地でイチゴ農家の家庭に生まれた水谷一江さんは、現在栽培面積7,000㎡の圃場で章姫、紅ほっぺ、ロイヤルクイーンなどのイチゴを栽培しています。

自動車が基幹産業の愛知県。多くの同級生が自動車関係の職に就く中、水谷さんもかねてから農業の道を志していたわけではなく、高校卒業後は自動車関係の企業に就職しました。
就職先では順調に自動車の整備・販売で実績を上げていたといいます。

ところが、会社員生活10年を迎えたころ「先が見えた気がしてしまった」と転職を考え始めます。ふと目に映ったのは、農業を営む父が楽しそうに働いている姿。就農を決断し、2023年でちょうど30年が経ちました。

就農後は、農業の知識と仲間を増やすべく、すぐに農協の青年部に入って交流を深めていた水谷さん。イチゴ栽培に有益な話が聞けるとなれば国内外にも出向いて情報収集を怠りません。よりよいイチゴをつくるため、常に「改善の余地はないか」と工夫を重ねてきました。

たとえば、就農して8年ほど経った頃には、省力化や収量増加のために土耕栽培から水耕栽培(ベンチ栽培)に順次切り替えていきます。病害が減り、実際に収量も増加したそうです。

さらに「より作業性に優れ、安価な設備にしたい」と、移動式吊り下げタイプの『ブランコベンチ』を独自に開発しました。従来の固定式栽培ベンチを移動式にしてスライドさせることで、栽植密度を高めつつ作業通路を確保し、収益性向上を実現。
2019年、水谷さんはこの技術で特許を取得し、導入を考える農家のサポートも行っています。

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水谷一江さん。生産技術を学ぶために海外にも足を運ぶ熱心な篤農家

熱心な研究や生産の合理化、地域への貢献などが評価され、農林水産大臣賞に加えて、農事功績表彰「緑白綬有功章(りょくはくじゅゆうこうしょう)」も受章しました。

順調にイチゴ栽培の最前線を歩んでいるように見える水谷さん。
そんな水谷さんにも栽培の悩みがありました。「成り疲れ」です。

イチゴが根本から元気に!成り疲れ抑制と糖度アップを実現

国内におけるイチゴ栽培の多くは5月頃に収穫を終え、その後育苗に注力し、11月頃から新たな収穫シーズンを開始します。
これに対して水谷さんの農園では6月末まで収穫を続け、10月末には新たな収穫を開始。
実は、水谷さんの目標は「まだ国内いずれの産地でも実現していない、イチゴの周年栽培を確立し、生産安定を図る」ことなのです。

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イチゴの周年栽培を志す水谷さんのポリシーは「迷ったら一歩進む」

栽培を無理に続けても、思うような収穫ができなければ意味がない。成り疲れを回避し、収量を確保し続けたい―――そんな話を信頼する元農業普及員にしたところ紹介されたのが、新しいバイオスティミュラント剤でした。2021年のことです。

さっそく一部の育苗に試験的に使い始めたところ、手応えを感じたと言います。昨年度は通年で使い続けました。「年ごとに気候・温度が違うため単純比較はできませんが、今までにはない違いを実感しています」と水谷さん。

特に昨冬は寒さと重油高が重なり、多くのイチゴ農家が収量減に悩みました。そんな中でも、安定した収量と品質を実現できたそうです。

さらに、予想外に嬉しい効果もありました。水谷さんを驚かせたのが、糖度です。

「通常、イチゴの糖度は9~10度前後と言われています。一方、うちで栽培したロイヤルクイーンで計ったら14〜17度にもなりました。高濃度で食味も良く、申し分ない品質が認められて、名古屋の高級スーパーに直接納めることが認められたんです」

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宝石のように美しいロイヤルクイーン。品質が評価され高値でも売れ行き好調だそう

これまでの農業資材と働きかけの異なる「バイオスティミュラント」

バイオスティミュラントとは、直訳すれば「生物刺激」。
土壌を変化させて植物に影響を与えるのではなく、植物に働きかけてストレス緩和や活性化を促します。暑さ・寒さや干ばつなど様々な外的要因によるストレスを緩和し、安定した生育、品質、収穫をサポートする新しい農業資材で、環境負荷の低減や持続可能な農業経営への関心が高まる昨今、注目を集めています。

環境意識の高い欧米を中心に盛んに開発が進み、2030年の市場規模の推計は2018年の3倍以上となる7,474億円と言われています。
※農林水産省農林水産技術会議事務局「農林水産研究イノベーション戦略2021」より

バイオスティミュラントは、植物が本来持つ力を活性化させるため、病害虫に強くなったり食味が良くなったりする効果が得られ、農薬などの資材を減らすことができるとされています。
水谷さんも、「株がいいと害虫が付きにくく、従来より肥料が少なく済みます。トータルで考えればメリット大ですね」と+αの実感を教えてくれました。

バイオスティミュラントの導入により、悩み続けた「成り疲れ」を乗り越え、糖度も向上した水谷農園。
夢の周年栽培が実現する日は、遠くないかもしれません。

<取材協力>

水谷農園
愛知県豊橋市賀茂町字鷺畑37

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