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【対談・後編】行政×農家×企業の最強コラボで地域と農業を盛り上げる! in上高地あずさ珈琲

【対談・後編】行政×農家×企業の最強コラボで地域と農業を盛り上げる! in上高地あずさ珈琲

【対談・前編】に続き、いよいよ長野県飯綱町を地元から盛り上げている農家・町役場のメンバーが登場!白熱する地域活性にかける思いを聞きました。

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【企業】長濱 秀介さん
株式会社KRフードサービス 事業サポート本部 企画部。長野の農家様からリンゴやミルク、米などを直接仕入れ、長野尽くしのメニューを提供する『上高地あずさ珈琲』を運営。同店店舗で自治体と連携し、長野キャンペーンを実施するなど地元のPRにも力を入れる。
【行政】荻原 誠信さん
長野県営業局。長野県長野市出身。地元農家、市町村と協力し、長野県の魅力発信や県産食材の提案を担当。
【行政】渋澤 陽一さん
長野県飯綱町 企画課。長野県飯綱町出身。農政担当の頃より、農家の支援と長野県産品のPR活動、地域活性化に取り組む。
【農家】フジワラ ルーツ ファーム  藤原 奈緒美さん
関東から長野県飯綱町に移住し、新規就農者として夫婦で「信州の環境にやさしい農産物」認証のリンゴを栽培。シードルフェス(町の小さな音楽フェス)を企画。

“熱い思い=魂”で仕事に挑む! 知られざる魅力を発信するためのミソとは

視察では、荻原さんが地元農家さんや飯綱町の担当者にも声をかけてくれていたので、いろんな方と出会うことができました。その中の一人がフジワラルーツファームの藤原さんでした。

長濱さん

藤原さん

荻原さんとは大阪で毎年開催されている「りんごマルシェ」でお会いしました。『上高地あずさ珈琲』のみなさんが飯綱町に来られるということで、声をかけてくださったのがきっかけです。

荻原さん

飯綱町を選んだのは、前任地が長野県の飯綱町を含む善光寺平周辺を管轄する長野県長野地域振興局であり、藤原さんのように一から農業を始める方にも手厚く支援をしたり、農家からの直送をサポートするなど、以前から先進的な活動をされていたからです。
『上高地あずさ珈琲』の視察は荻原さんの声かけで実現したわけですが、私も以前から同じような取り組みを進めていました。意欲のある農家さんと「従来とは別の物流をつくっていこう」と話し合っていたところで……。

渋澤さん

藤原さん

そこで私が渋澤さんに『上高地あずさ珈琲』に直接、りんごの傷物や生産物を送りたいので協力してほしいとお願いしました。
とてもありがたい話でした。役所が先導するより、農家さん自身に動いてもらった方が何かとスムーズですし。
藤原さんに「農家さんの取りまとめができる?やる気があるならこっちも本気で応援する。私は魂で仕事をするから!」と伝えたんです。

渋澤さん

藤原さん

出た! 渋澤さんの名言、魂で仕事。(笑)
とにかく、『上高地あずさ珈琲』さんの取り組みは素晴らしく感銘を受けました! 農家さんの応援だけでなく、店を通して大阪で飯綱町のPRもしてくれる。しかも、町の予算を使わずとも多くの広報活動をしてくださって……こんなありがたいことはないですよ。

渋澤さん

ビジネスは大事。でもその論理だけでは仕組みはつくれない

視察の後すぐ、藤原さんを含めた5件の農家さんでSNSのグループをつくりました。藤原さんが声をかけてくださった方々なので安心できたし、農家さんとの新たなつながりも生まれました。それから渋澤さんが物流のサポートをしてくださる。これも助かった!

長濱さん

大したことじゃないですよ。前に使っていたコンテナをお貸ししただけです!

渋澤さん

藤原さん

集荷場の提供もありがたいですよね。
この仕組みづくりが難しいんですよ。農家さんとはつながれても、物流拠点がないと仕入れもできませんから。こうした場があれば、農家さんも「ここに持っていけばいい」とわかりますしね。

長濱さん

第三セクターの農業振興公社は直売所の運営をしているので、物流に関してノウハウも場所もある。あずささんと農家さんの連携事業に公社が協力する形にできれば、何かとものが動かしやすいだろうと考えました。

渋澤さん

長野県飯綱町の行政・農家のみなさん

農家さんが出荷できないときに公社が出す、というふうに隙間のない体制にしてくださっています。量が安定するので、店としてはものすごくありがたい。

長濱さん

物流も選果もこれまでのやり方を一から見直さないといけない。公社も従来通りの支援だけでなく別の発想で農家を応援し、地域の発展をめざすべきだとマインドセットを続けてきた。その成果が出たと思っています。

渋澤さん

藤原さん

あずささんは「●●品種の玉をそろえて、いつまでに●●ケース」という発注の仕方ではなく、生産者として「これは出してもいい」と判断して送ったものをすべて受け入れ、値段も農家側で決めていいとおっしゃってくださる。これも農家としてはとても助かります。
「消費者がこういうものを求めているから」というビジネスの論理だけで動いてしまうと、生産者は苦労します。もちろんビジネスも大事ですが、見た目のいいものしか受け入れないという一方的なやり方ではなく、生産者の収入も安定するような方法を見つけていかないと。

渋澤さん

値段は農家が決め、届いたものを見てカフェのメニューを考える

どんなにがんばっても、ギフト用など高値で取引できるものは収穫量の3割ほどで、おそらく収穫量の5割以上は農家さんにとって納得できる価格で取引されていない現状があると思います。つまり、市場論理が優先されすぎて、生産者は置き去りにされている……。少し見た目が劣っていても、本当に美味しくて良いものを適切な価格で取引できれば、生産者はもちろんのこと、結果的に消費者にとって良いことが多いはずです。

渋澤さん

藤原さん

普通は小さな傷一つで出荷できなくなるもの(値段が下がるりんご)でも、あずささんならB級品も同じように受け入れ、「これはスムージーにしよう」と活用の方法を考えてくれます。リンゴは自然の中で育つものだから、とわかってくれているんですよね。
僕たちは長野のおいしいものが安定的に手に入るというだけで、本当にありがたいんですよ。『上高地あずさ珈琲』はおいしさにこだわっているので、形や傷には気にしません。そもそもジュースになれば同じですし、藤原さんたちが送ってくださるリンゴは(見た目は個性的でも)どれもおいしい。だからお客様に喜んで頂けているんだと思います。

長濱さん

藤原さん

味については、各農家自信を持って出荷しています。協同組合にしなかったのも自分の屋号を出し、顔の見える取り組みにしたかったからです。
何度でも言わせていただきますが、長野のリンゴはおいしいんです!(笑)。私たちのお店は、おいしいものに合わせてメニューを考えています。カフェ事業を拡大させているのは、自社のブランディングだけでなく、こんなにおいしいものを提供してくれている皆さんへの恩返しという気持ちもあるんですよ。店が増えれば仕入れも増えて、農家さんの収益になる。民間企業ならではのやり方で地元の発展に貢献していきたいですね。

長濱さん

荻原さん

飯綱町の取り組みが軌道に乗り始めたので、これをモデルに県全域に広げていけたらうれしいと思います。今後も根気強く、声をかけていこうと思っています。信州にはおいしいものがまだまだたくさんありますので!潜在需要はあるはずですから。
飯綱町では桃についても考えていますよ。

渋澤さん

桃! いいですね。おいしい食材はつねに探しているので、チャンスがあればメニューに加えていきたいです。また、「森林(もり)の里親促進事業」への取り組みやこれからの農業を担う長野県農業大学校の実習生を受け入れ、新規に就農された方のロゴデザイン作成など、カフェ事業以外でも協力させていただいたりして、関係が深まっているのもうれしいところです。

長濱さん

全国の行政、農家、飲食店などの企業の方に知ってほしい

藤原さん

荻原さんが出会いの場をつくってくださって、渋澤さんが行政としてアドバイスと支援をしてくださったから、飲食店に直接、販売するというルートができました。しかも私たち小規模農家が納得する値段で、通常ではなかなか扱っていただけないものも無駄なく買っていただけています。農家がいくらがんばっても、この仕組みはできなかったと思います。渋澤さんのような愛のある方がいてくださって、心から感謝しています!
渋澤さんは気持ちで動かれる方ですからね。(笑)

長濱さん

藤原さん

そう!「これ、やるべきだよね」と背中を押してくださるからできたんです。
こちらも一緒にやってくれそうな人がいたから、声をかけた。消費者を裏切らないものを届けようという思いのある農家さんは、出荷のやり方一つとっても気配りが違う。私は農家出身でもないし、今は農政担当でもありませんが、できる限りの協力はしたいと思っています。やっぱりビジネスは最後、心ですよ。それから農家さんに対するリスペクトがなければ、うまくいかないと思っています。

渋澤さん

荻原さん

この仕組みを全国の行政、農家、飲食店などの企業の方に知ってほしいです。動けば仲間も広がりますから。
私たちも事業ですから、お店を増やし、利益を追求していかなければと思っています。そのためには「おいしいものを出す」こと。これ以上に大事なことはありません。それは結局、お客様のためなんです。オーダーを早く取りにいくのも、食器を洗うのも、おいしいリンゴやお米を仕入れていろんなメニューを企画するのも、お客様のため。その信念で長野の農産物をお届けできたらと思っています。

長濱さん

荻原さん

農家さんたちが潤えば、県も町も豊かになります。お金を使わなくても、行政ができることっていろいろあるんですよね。

まとめ

農家を行政が支援する、レストラン(企業)が農家から直接仕入れる、といった取り組みは全国各地で行われていますが、行政・農家・企業が一体となって動き、成功した事例はめずらしいのではないでしょうか。
B級品も含めたすべての農産物が流通するルートができればフードロスが減り、食料自給率の向上も期待できます。それは地域の活性化にも。

みなさんのお話を聞きながら、核となるのは、お金や設備といったハード面の前に「人」なのだと実感しました。農家さんへの感謝と、「恩返しがしたい」との言葉を何度も口にした『上高地あずさ珈琲』の長濱さん。思いを同じくする農家仲間とともに、おいしいリンゴづくりに励む藤原さん。優しそうな笑顔の奥に、熱い心を秘めた県のPRパーソン、荻原さん。そして「気持ちのこもらない仕事はしない!」と言い切る飯綱町の渋澤さん。
このメンバーがそろったからこそ実現したコラボレーションですが、素敵なメンバーは、長野だけでなくきっと全国にいるはずです。

【取材協力】
上高地あずさ珈琲 ららぽーと甲子園店
〒663-8178
兵庫県西宮市甲子園八番町1-100 ららぽーと甲子園2F
TEL:0798-48-6370


フジワラ ルーツ ファーム
〒389-1211
長野県飯綱町大字牟礼725-1
TEL&FAX 026-217-5714
fujiwararootsfarm@gmail.com

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