防虫ネットを利用する効果・メリットは?
植物がグングン生育する季節は、虫にとっても過ごしやすい時期です。大切に育てた野菜に虫が卵を産みつけたり、葉や茎、実をかじったりするのを防ぐために防虫ネットを活用します防虫ネットを使うことで遮光や保温の効果も期待できます。
農薬を使わずに防虫できる
畑の作物やプランターを防虫ネットで覆うことで、網の目よりも大きな害虫はネット内に入ることができません。農薬を使わずに対策できるので、有機栽培でも積極的に活用されています。
色による害虫対策が可能
虫の色覚は人間とは異なり、それぞれ好む色や認識できない色があります。こうした特性を利用し、防虫ネットの色によって害虫の侵入を防ぐことができます。
例えば、コナジラミ類は黄色、アザミウマ類は青色に引き寄せられるため、それぞれの色を利用した粘着トラップが用いられます。
特にアザミウマ類は体長が約1mm弱と小さく、通常のネットでは侵入を防ぐのが難しい害虫です。そこで開発されたのが赤色の防虫ネットです。人間には赤く見えますが、アザミウマ類には黒い障壁のように認識されるため、防虫ネットをすり抜けて作物に近づくのを効果的に防ぎます。
この技術は、ミナミキイロアザミウマやミカンキイロアザミウマなどのウイルスを媒介する害虫にも効果があり、野菜や果樹の被害軽減に役立っています。
季節を選ばず使用できる
通気性と保温効果がある防虫ネットは季節を選ばず1年中使えます。種まきから収穫まで、ずっとかけていても問題ありません。光をよく通す白、強い日差しから守る黒、害虫を嫌がらせる反射効果のあるラメ入りネット、さらにアザミウマ対策に効果がある赤など、カラーバリエーションも豊富です。
家庭菜園用の防虫ネットの選び方
防虫ネットはバリエーションが豊富なだけに、家庭菜園でいざ導入しようとする時に、目合いや色などで悩むことも多いでしょう。ここでは防虫ネットの選び方のポイントをご紹介します。
防ぎたい害虫に合わせて目合いを選ぶ
はじめに、育てる野菜がどのような害虫被害に遭いやすいのかを、あらかじめ本やネットでチェックしておくと安心です。その害虫の大きさに合わせて防虫ネットの目合いを選ぶとよいでしょう。
例えば、生まれて間もない幼虫やコナジラミ、アザミウマ類などの小さい害虫を防除したい場合は、0.4㎜以下の細かい目合いが基本になります。目合いが小さくなるほど対策できる害虫の範囲は広がりますが、通気性が悪くなって蒸れやすいという側面もあります。闇雲に小さい目合いの商品を選ぶのではなく、対策したい害虫に応じて、導入する防虫ネットを選んでいく必要があります。
畑やプランターのサイズに応じて選ぶ
畑で育てる場合とプランターで育てる場合では、防虫ネットの目合いは同じでも全体の大きさが異なります。害虫はわずかな隙間(すきま)からも入ってくるため、作物や畝全体を覆えるサイズが必要です。大きく育つ野菜や、葉や茎が旺盛に茂る作物は、成長した時の状態まで考慮してサイズを選んでください。
時期や目的に応じた色を選ぶ
防虫ネットは、使用する時期やターゲットとする害虫によって使い分ける必要があります。光の透過率が高い白ネットは太陽の光量が少なめの春や秋におすすめ。日差しを遮る効果の高い黒ネットは夏野菜に効果的です。また、赤いネットはアザミウマ類の防虫効果が高いといわれています。
初心者はセットもおすすめ
防虫ネットは単体でも購入できますが、ネットとプランターや支柱がセットになった商品も売られています。隙間が生まれにくく、防虫したい虫に合わせて目合いの大きさも選ぶことができます。
庭や畑での家庭菜園におすすめの防虫ネット
ここからは、家庭菜園におすすめの防虫ネットをご紹介します。さまざまなメーカーから多彩な商品が出ていますので、ご自身のイメージに近いものや防ぎたい虫に合わせて選んでください。
SUNHOO 防虫ネット
一部の害虫が苦手とする銀糸入りで、体長1mmのコナジラミもシャットアウト。レタス、トマト、ホウレンソウ、きのこ栽培などにマッチし、小型ハウスからトンネル栽培、べたがけまで、栽培のあらゆる場面で活躍します。透光率80%以上と光をよく通し、ネットの上から散水できます。
ダイム(DAIM) ファスナー付き防虫ネット
トンネル栽培におすすめの防虫ネット。幅1.8m、長さは3.4mで、目合いは1mmです。ネットの上部分にファスナーが付いているので、開口部を簡単に大きく開けられます。そのため、追肥や水やりなどの日々のお手入れがラクです。
渡辺泰 サンサンネットレッド
アザミウマ類に効果が高いといわれる赤色の防虫ネット。大きさは1.8m×5m。目合いは0.8mmです。アザミウマは赤色が黒く見えるため、トンネル内の野菜に気づきません。目合いが0.8mmなので、体長1mmの害虫もシャットアウト。極細のポリエチレン糸を使用し、通気性が高く、夏場の温度上昇による蒸れを軽減します。種まきから収穫まで掛けたままで使用できる防虫ネットです。
クラーク 害虫対策ネット 黒
遮光率の高い黒の防虫ネット。コナガ、アオムシ、ヨトウムシなどから作物を守り、キャベツ、レタス、チンゲンサイなどの栽培に適しています。また、銀のラインが太陽光を反射して虫の忌避効果をアップさせます。遮光率は約40%で目合いは1mm。1.8m×5mのサイズです。 減農薬・無農薬栽培におすすめです。
エイ・ジェイ・テックス AJメッシュシート
0.25mmの細かい目合いで、コナジラミなどの微細害虫を防ぎます。素材がやわらかいので作物の葉を傷めず、透光率約80%と光を通し、水も通すのでネットの上から散水できます。サイズも豊富で、べたがけして不織布代わりにも使用できます。無農薬栽培におすすめの防虫ネットです。
プランター栽培におすすめの防虫ネット
ベランダ菜園や、ミントなど成長が旺盛で広がりすぎる野菜を育てる際にはプランターの活用がおすすめです。プランター専用の防虫ネットも多数販売されているので、プランターのサイズや使用目的に沿ったものを選んでください。支柱などがセットになった商品もたくさんあります。
第一ビニール すっぽり虫よけカバー
プランターにかぶせるだけの簡単仕様。バンドで設置するので取り外しも簡単で、植物のお手入れも手間なく行えます。目合いが約0.6mmと細かいため、アオムシ(モンシロチョウ)、コナガ、アブラムシ、ヨトウムシなどの対策におすすめです。
マルソル(MARSOL) 実り野菜の虫よけカバー
背が高くなる野菜や果樹におすすめの防虫ネット。目合いは1mmで高さが175cmあります。2カ所のファスナーが付いているので、水やりや剪定(せんてい)、誘引などのお手入れが簡単です。トマト、ピーマン、キュウリ、オクラなどのアブラムシ対策にもお使いいただけます。
リッチェル(Richell) かんたん虫よけセット
アジャスター式のアーチバーが付いているので、高さ調節が可能です。ネットはかぶせるだけで簡単にセットでき、ストッパー付きのヒモでプランターとの隙間をなくします。コマツナ、ホウレンソウ、レタスなどの葉物野菜におすすめの防虫ネットです。
フォレスト 虫よけ&保温カバーセット
虫よけと保温カバーがセットになった商品です。支柱とゴムが付属して、S・M・Lの3サイズから選べます。寒さや風から大切な新芽を守って生育を助け、カバーのまま水やりが可能です。バジルやミントなどハーブ類を育てる時におすすめです。
防虫ネットの正しい張り方と使い方
せっかくの防虫ネットも、隙間があいていると虫の侵入を許しますし、空気や日光が十分に届かないと植物を枯れさせてしまう原因となってしまいます。こちらでは正しい張り方や使い方のコツをご紹介していきます。
必要な道具を準備する
防虫ネット本体に加え、ネットを支える支柱も必要です。支柱は100円ショップでもお買い求めいただけます。庭や畑に防虫ネットを張る場合には、固定用のU型押さえピンがあると便利です。
晴れた風が弱い日に作業する
風が強い日に作業を行うと、防虫ネットがなびいてしまってピンと張るのが難しくなります。日にちを変えるか、時間帯を調整して効率よく作業しましょう。また、雨天時も地面がぬかるみ、作業がしにくくなるので、風が弱い晴れた日の作業がおすすめです。
支柱を立てる
プランターや畑の畝に支柱を立てていきます。支柱をなるべく等間隔に立てるのがネットを上手く張るコツ。等間隔に立てることで全体のバランスが整い、植え付け時の苗の間隔もとりやすく、毎日の作業もラクになります。
防虫ネットをかけて固定する
せっかくの防虫ネットですが、隙間があると効果を発揮できません。風でとばされないようしっかり張って、トンネル掛けした防虫ネットの両端は、ねじるように絞り込んで上からピンで固定します。
水やりはネットの上からする
防虫ネットの多くは、ネットの上から水やりが可能です。目合いが細かなものは、しっかり水を通しているか観察してください。芽かきや剪定が必要な野菜もあります。それらの野菜を手入れする際はファスナー付きのネットがおすすめです。
ネットはかけっぱなしでもOK
防虫ネットは、葉物野菜のように受粉を必要としない作物であれば、種まきから収穫までずっとかけっぱなしでも問題ありません。遮光性や保温性があるため、気温や天候の急激な変化、冬場の霜からも作物を守ってくれます。
ただし、昆虫による受粉が必要な野菜に防虫ネットをかけっぱなしにしていると、うまく受粉できず実がつかなくなる恐れがあります。その場合は、ネットを一時的に外すか、人工授粉を行うなどの工夫が必要です。
防虫ネット内で葉が茂りすぎた場合や、受粉のために昆虫の出入りを促したいタイミングでは、適宜ネットを外す判断も大切です。
防虫ネットが必要な野菜の例
人が食べておいしい野菜は、虫にとっても魅力的。しっかり対策しないと、葉や実が食害を受けてしまいます。育てる野菜のグループによって被害に遭いやすい害虫も異なります。ターゲットに合わせた対策を心がけましょう。
アブラナ科の野菜(キャベツ・ブロッコリーなど)
キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の野菜はアオムシの大好物。特に春から初夏、10〜11月の過ごしやすい季節に発生します。1mm程度の目合いの防虫ネットを使うことで、卵を産み付けるモンシロチョウなどが近づけなくなります。
ウリ科の野菜(キュウリ・カボチャなど)
キュウリやカボチャ、メロン、スイカなどのウリ科の野菜の大敵がウリハムシ。黄茶褐色の成虫が葉をかじり、幼虫は根をかじります。被害が一気に広がるので注意が必要ですが、成虫は体長が7mmほどなので防虫ネットが効果を発揮してくれます。5mm以下の目合いの防虫ネットを使いましょう。
ナス科(ナス・トマトなど)
ナスやトマト、ピーマン、ジャガイモなどナス科の野菜はアブラムシの大好物。アブラムシが大量に発生すると養分が吸い取られ、またモザイク病などを引き起こす原因となります。アブラムシ対策には目合いが0.8mm以下の防虫ネットを使用してください。
まとめ
家庭菜園やベランダ菜園で、手間ひまかけて育てた作物が虫に食べられると本当にショックが大きいですよね。虫食いがある葉物野菜でも問題ないと頭ではわかっていても、食卓に並べることを考えると完璧を求めたくなります。
とはいえ、防虫剤や農薬はできるだけ使いたくないという方も多いですよね。そんな方はぜひ、防虫ネットを有効に活用してください。最初は少し手間に感じても、慣れれば年中手軽に使える便利アイテム。育てる楽しさをもっと味わえますよ。