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12月が旬の野菜は? 「走り」「盛り」「名残」で食卓にも冬到来

連載企画:野菜ソムリエが語る旬の野菜

12月が旬の野菜は? 「走り」「盛り」「名残」で食卓にも冬到来

寒さが本格化する12月。ハクサイ、ダイコン、ホウレンソウなどの冬野菜が旬を迎えます。「旬」には「走り(はしり)」「盛り(さかり)」「名残(なごり)」の三つの段階があり、その時々に適した調理法と食べ方があります。各段階の野菜を知って旬を逃さず味わうヒントをお届けします。

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旬とは?

その野菜の味が最もよい食べごろの時期を旬といい、その栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなり、安い価格でおいしく栄養価の高い野菜を手に入れることができます。

12月旬の野菜をカット

12月が「走り」の野菜

寒さで甘みを増しておいしくなったニンジン、ダイコン、ホウレンソウなどが出回り、一気に冬の訪れを感じさせてくれます。走りの野菜は、みずみずしさが持ち味で、生野菜を食べる機会が少なくなるこの時期に、サラダなどの生食でもおいしく楽しめます。

12月走り野菜

ダイコン(大根)

日本でも古くから栽培され、春の七草の一つ「スズシロ」として親しまれてきました。通年で店頭に並びますが、11〜3月がおいしい時期。根はビタミンCが豊富で消化酵素のジアスターゼを含み、葉はカロテンに富んでいます。根は葉の近くほど甘く、先端が辛いので部位ごとに適した調理法を選ぶとよいでしょう。保存は根と葉を切り離し、根は新聞紙やラップに包んで冷蔵庫の野菜室で3~4日。葉は下ゆでし、冷蔵もしくは冷凍保存します。

調理例:しらすおろし、ダイコンサラダ、ダイコンと寒ブリのカルパッチョ

ニンジン(人参)

通年で店頭に並びますが、特に冬は甘みを増しておいしい時期。さまざまな品種があり、主に流通している太く短い西洋種、金時ニンジンに代表される細長い東洋種に大別されます。英語のキャロットが語源とされるカロテンを豊富に含み、油で調理するとその吸収率が上がります。保存はビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて置くことがポイントです。

調理例:皮ごとニンジンしりしり、千切りサラダ、フライドニンジン

ホウレンソウ(ほうれん草)

産地をリレーして通年供給されますが、特に冬の露地ものは甘みが増しておいしくなります。カロテンが非常に多く栄養価は抜群。鉄、亜鉛などのミネラル、ビタミンB6、ビタミンC、葉酸なども豊富に含み、貧血予防の効果が期待できます。根元の赤い部分に骨の発育に重要なマンガンが豊富に含まれているので、捨てずに調理しましょう。保存する場合は新聞紙で包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:ホウレンソウとベーコンのホットサラダ、オイスター炒め、常夜鍋

12月が「盛り」の野菜

12月盛り野菜

最盛期を迎えたハクサイをはじめ、ゴボウなど土の香りや滋味を楽しむ野菜も多く出回ります。盛りの野菜は味が乗っていてどんな調理法にも合います。価格も手頃なのでまるごと買って、いろいろな料理にチャレンジしてみてはいかがでしょう。

ゴボウ

食用とするのは日本だけでしたが、近年はアジアやヨーロッパでも注目されています。旬は2度あり、4~6月の新ゴボウと、11~1月の冬ゴボウ。土の中でじっくり育った冬ゴボウは、独特の歯応えと風味が特徴。カルシウム、カリウムなどのミネラルも豊富です。食物繊維が多く、血糖値の上昇を抑えるイヌリンも含まれています。皮に風味があるので、むかずにたわしでこするか包丁の背でそげ落とす程度に。保存は、泥つきならそのまま新聞紙に包んで冷暗所で。洗ったものはラップに包んで冷蔵庫へ。

調理例:ゴボウの肉巻き、ポタージュスープ、フライドゴボウ

ネギ

西日本では葉ネギ(青ネギ)、東日本では寒さに強い根深ネギ(長ネギ)が多く栽培されてきました。今は互いに全国区で用途に合わせて選ばれています。11~2月が甘みを増しておいしい時期。緑の部分にはカロテン、白い葉鞘(ようしょう)部にはビタミンCが豊富です。香気成分のアリシンは、食欲増進や殺菌、ビタミンB1の吸収を助ける効果のほか、血行促進や疲労回復などの効果も期待されています。保存する場合は新聞紙に包んで冷暗所に入れておくとよいでしょう。

調理例:長ネギの焼きびたし、長ネギのチーズ焼き、長ネギとシイタケの炒め物

ハクサイ(白菜)

代表的な冬野菜の一つ。霜にあたると繊維が柔らかくなり、風味も増しておいしくなります。大部分が水分で、葉の肉質はやわらかく、歯ざわりがよく、淡泊な味でどんな料理にも使いやすい野菜です。ビタミンCが比較的多く、カルシウムなどのミネラルも含んでいます。保存は丸のまま新聞紙に包んで冷暗所に立てた状態で2~3週間。

調理例:ロールハクサイ、焼きハクサイ、ハクサイと豚肉のうま煮

キクイモ(菊芋)

菊のような花を咲かせ、秋から冬に土中の塊根が食用として収穫されます。見た目はショウガに似ており、シャキシャキとした食感とゴボウのような風味が特徴。原産地の北アメリカで先住民が食用に栽培していましたが、日本では江戸時代末期に主に飼料用作物として導入されました。近年、イヌリンを豊富に含むことから健康野菜として注目され、糖質の吸収を抑え、腸内環境を整えるなどの効果が期待されています。保存は土がついたまま新聞紙で包み冷蔵庫へ。

調理例:キクイモのきんぴら、キクイモの甘酢漬け、キクイモと鶏肉の甘辛煮

ヤーコン

南米アンデス原産の根菜。サツマイモに似ていますが、ナシのような食感で生食もできます。10~12月に収穫し、貯蔵すると甘みが増して晩秋から冬にかけて食べ頃になります。腸内環境を整える効果のあるフラクトオリゴ糖の含有量は野菜の中で最も多く、食物繊維、ミネラル類も多く含むので、健康野菜として注目されています。保存は土がついたまま新聞紙で包み冷蔵庫で3~4日。冷凍保存する場合は、葉と根を分け、根は皮をむいてラップに包んで冷凍保存袋に入れて冷凍庫へ。

調理例:ヤーコンのきんぴら、筑前煮、ヤーコンとツナのサラダ

12月が「名残」の野菜

12月名残野菜

冬カブの収穫が終盤を迎え、冬野菜と相性のいい秋の味覚キノコ類もシーズンの締めくくり。名残の野菜は水分が抜けて味が濃くなります。その持ち味を生かして、冷凍や天日干しなどで保存すればさらにうまみを増して年明けまで楽しめます。

カブ

春の七草の一つ「スズナ」として親しまれてきたカブ。各地の気候や風土に合わせてさまざまな品種があります。旬は春と冬の2回あり、10~12月の冬カブは甘みが強いのが特徴。根にはビタミンC、カリウムなどが含まれていますが、葉のほうが栄養価が高く、カロテン、ビタミンB1、B2、カルシウムも。保存は、葉は濡れた新聞紙などに包んで冷蔵庫へ。根はビニール袋に入れて冷蔵庫で3~4日。冷凍保存は、丸のまま皮をむいてラップに包み冷凍保存袋に入れて冷凍庫で1カ月。使うときは流水で解凍します。葉は下ゆでして使いやすいサイズに切って冷凍保存すると便利です。

調理例:葉付きカブまるごとみそ汁、冷凍カブのポトフ、冷凍カブの葉としらすのごま油炒め

生シイタケ(生椎茸)

一年中出回っていますが、原木栽培は春と秋がおいしい時期。多くは菌床栽培で、お正月に向けて12月に出荷が増えます。うまみ成分のグアニル酸は、加熱すると増加して香りとうまみがアップします。ビタミンB群が多く、豊富に含まれるエルゴステロールは日に当たるとビタミンDに変化して骨の形成を助けます。保存は密閉容器に入れて冷蔵庫へ。保存性が低いので早めに使い切るか、天日干しにします。冷凍する場合は、石づきを取り、カサと軸を分けて冷凍保存袋に入れて冷凍庫へ。解凍せずにそのまま使います。

調理例:冷凍シイタケの焼きシイタケ、炊き込みご飯、天日干しシイタケの含め煮

まとめ

ハクサイ、ホウレンソウ、ニンジンなど、冬野菜が出そろいました。名残のキノコ類と合わせて鍋がおいしい季節です。冬野菜は寒さで凍らないように細胞に糖を蓄えるため旬のものは糖度が高く、甘みがあってよりおいしく感じられます。カロテンやビタミンCなどが含まれ、免疫力アップや風邪予防の効果が期待できるものが多いことも特徴です。冬野菜が手頃な価格で出回るこの時期、鍋、煮物、漬物など、さまざまな調理法でたっぷりいただきましょう。

12月旬の野菜鍋

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|髙橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(進食品成分編集委員会編|東京法令出版株式会社発行)

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