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1月が旬の野菜は? 「走り」「盛り」「名残」で春の訪れを感じる

連載企画:野菜ソムリエが語る旬の野菜

1月が旬の野菜は? 「走り」「盛り」「名残」で春の訪れを感じる

暦では春がスタートする1月。春の訪れを告げる野菜が店頭に並び始めます。1月に出荷の
最盛期を迎えるセリやスズシロ(ダイコン)などは、春の七草として知られています。「旬」には「走り(はしり)」「盛り(さかり)」「名残(なごり)」の三つの段階があり、その時々に適した調理法と食べ方があります。各段階の野菜を知って旬を逃さず味わうヒントをお届けします。

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旬とは?

その野菜の味が最もよい食べごろの時期を旬といい、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなり、安い価格でおいしく栄養価の高い野菜を手に入れることができます。

1月旬の野菜カット

1月が「走り」の野菜

1月走りの野菜

春を告げる野菜として代表的なナバナが出回り、ワケギも休眠から覚めて増え始める時期。一足早く春を味わうことができる走りの野菜は、まずシンプルな調理法でその一口めを楽しんでみてはいかがでしょう。

ワケギ(分葱)

見た目はネギに似ていますが、ネギとタマネギ(エシャロット)の交雑種です。球根から栽培され、枝分かれして増えるので「分葱(わけぎ)」の名がつけられました。ネギよりも甘くやわらかく、香りもマイルド。冬に市場に出回り、2月~3月上旬が最盛期。カロテン、ビタミンCを多く含みます。保存は新聞紙に包んで、冷暗所に立てて保存しましょう。カットしたものは、ラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:ワケギのぬたあえ(酢みそあえ)、肉巻き、チヂミ

ナバナ(菜花)

アブラナの若葉を花がつぼみのうちに摘み取ったもので、春の訪れを告げる野菜です。独特のほろ苦さがあります。カロテン、ビタミンB1・B2・C、葉酸に富み、鉄、カルシウムなどのミネラルも含んでいます。保存は、湿らせたキッチンペーパーなどで包んで、冷蔵庫の野菜室で2~3日。

調理例:おひたし、マヨネーズ炒め、卵とじ

1月が「盛り」の野菜

1月盛りの野菜

春の七草のセリ、スズシロ(ダイコン)のほかにも、セロリやミズナなどシャキシャキとした食感の野菜が多く出回ります。冬限定のちぢみホウレンソウなど、甘みを増した野菜が多いのもこの時期の特徴です。

セリ

日本原産の野菜で、春の七草の一つ。1月が出荷のピークです。シャキシャキとした食感で、独特の香り成分には、解毒や胃を丈夫にする働きがあるとされています。カロテン、ビタミンC、葉酸、鉄などが多く含まれています。保存は、湿らせたキッチンペーパーで根元を包み、ビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に立てておきます。

調理例:セリ鍋、おひたし、セリと豚肉のしょうゆ炒め

セロリ

シャキシャキとした食感と爽やかな香りが特徴。香りは肉の臭み消しにもなります。通年で出回っていますが、旬は冬で1月が出荷のピークです。カリウムが比較的多く、葉にはカロテンが豊富。保存は、葉と茎を切り分け、それぞれビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に立てておくと比較的長持ちします。

調理例:浅漬け、レモンスープ、セロリとイカの中華炒め

シュンギク

独特の香りと風味が特徴。春に黄色の花を咲かせ、葉の形が菊に似ていることから、その名がつきました。冬が旬で12月~1月にかけてが出荷の最盛期。カロテンが豊富で、ビタミンC、カルシウム、カリウムも多く含まれています。保存は、葉先を乾燥させないように、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙で包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てておきます。

調理例:シュンギクとしらすのサラダ、のりとシュンギクのナムル、てんぷら

ミズナ(水菜)

シャキシャキとした歯ざわりでクセのない味わい。古くから京都で作られ「京菜」とも呼ばれます。通年、出回っていますが、寒い時期に味が良くなるといわれています。カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄などをバランス良く含んでいます。保存は、葉先を乾燥させないように新聞紙に包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で2〜3日。

調理例:ミズナとツナのサラダ、ミズナと油揚げの煮びたし、春雨のスープ

ダイコン

別名を「すずしろ」と言い、春の七草の一つで冬が出荷の最盛期。全国各地で形や大きさ、辛みの異なるダイコンが作られています。ビタミンCが豊富で、消化を助けるでん粉分解酵素のジアスターゼを含んでいます。保存は、葉を切り離し、根は新聞紙やラップに包んで冷蔵庫の野菜室に立てておく。葉はすぐに食べきるか、下ゆでして冷蔵または冷凍します。

調理例:ミツバと大根のサラダ、肉巻きダイコン、ぶりダイコン

ちぢみホウレンソウ

露地で冬の寒さに当てる栽培方法で「寒締めホウレンソウ」とも呼ばれています。葉肉が厚くちりめんのように縮れ、甘みが強く、えぐみが少なくて味が濃いのが特徴。12月~2月中旬頃までの冬限定で出荷されます。カロテンが非常に多く、ビタミン、ミネラルを豊富に含んでいます。保存は、湿らせた新聞紙に包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:ソテー、ホットサラダ、ちじみホウレンソウと鮭のグラタン

1月が「名残」の野菜

1月名残の野菜

秋から出回ってきた野菜の多くはそろそろシーズン終盤。お正月に需要が多いレンコンや糸ミツバも、出荷のピークを過ぎて名残り惜しい時期になりました。旬の味を少しでも長く楽しむために冷凍保存の方法も紹介します。

糸ミツバ

セリ科の植物で古くから春を告げる野菜として親しまれてきたミツバ類。糸みつばは、水耕栽培により通年出回っていますが、出荷の最盛期は12月~1月。香りがよく、和ハーブを代表する香味野菜。カロテン、カリウムを多く含んでいます。保存は、湿らせた新聞紙かキッチンペーパーで包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。冷凍保存は、使いやすい大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて約3週間。

調理例:卵とじ、お吸い物、鶏ささみ肉のわさびじょうゆあえ

レンコン

ハスの地下茎を食用とするレンコンは、秋に成長を終えた後、そのまま田んぼの中で寝かせてうまみを増したものが冬に出荷されます。縁起物として正月料理にも欠かせません。ビタミンCが多く、抗酸化作用があるとされるポリフェノールを豊富に含んでいます。保存は、湿らせたキッチンペーパーか新聞紙で包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。冷凍保存は、使いやすい大きさに切り、酢水につけてから冷凍用保存袋に入れて約1カ月。

調理例:きんぴら、煮しめ、根菜カレー

茎ブロッコリー(スティック・セニョール)

ブロッコリーと中国野菜の芥藍(かいらん)を掛け合わせた野菜。花蕾(からい)と茎を食用とします。花蕾はブロッコリー、茎はアスパラガスのような風味と食感です。ブロッコリーと同様に、主に秋から冬にかけて出荷され、栄養もビタミンC、カロテンが豊富。保存は、湿らせたキッチンペーパーで包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ立てておく。冷凍保存は、軽くゆでて水分を拭き取り、冷凍用保存袋に並べて入れ約1カ月。

ベーコン巻き、オイスターソースあえ、ガーリック炒め

アスパラ菜(オータム・ポエム)

中国野菜の紅菜苔(こうさいたい)と菜芯(さいしん)を掛け合わせた新種の野菜。冬が旬でとうが立ち始めたつぼみと茎葉を食べます。クセがなくほんのりと甘く、アスパラガスのような食感。カロテン、ビタミンB1・B2・C、葉酸に富み、鉄、カルシウムなどのミネラルも含んでいます。保存は、キッチンペーパーなどで包みビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室へ立てておく。冷凍保存は、軽くゆでて水分を拭き取り、冷凍用保存袋に並べて入れ約1カ月。

おひたし、バターしょうゆ炒め、ペペロンチーノ

まとめ

1月に旬を迎える野菜は、葉物の種類が豊富です。ナバナ、茎ブロッコリー、アスパラ菜など、見た目が似ている野菜が同時に店頭に並び、日替わりで旬の味が楽しめます。走りの野菜は水分が豊富でやわらかいので火を通しすぎず、逆に名残の野菜は水分が少なく味が凝縮されているので煮る・蒸すなどして楽しみましょう。盛りの野菜は味がのって歯応えがよく価格も手頃なのでいろいろ調理法を試しながら、葉物野菜のバリエーションを増やしてみてはいかがでしょう。

1月旬の野菜の調理例

左上から時計回りに、ワケギのぬたあえ、のりとシュンギクのナムル、アスパラ菜のおひたし、茎ブロッコリーのオイスターソースあえ、ミズナと油揚げの煮びたし

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|髙橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(進食品成分編集委員会編|東京法令出版株式会社発行)

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