ローズマリーの特徴は?
ローズマリーは白やピンク、紫色の花を咲かせる、爽やかな強い香りが特徴的なハーブです。料理やアロマなど古代ギリシャの時代からさまざまな用途に使われており、私たちの普段の生活でも特に身近なハーブと言えるでしょう。原産地は主にフランス周辺であり、縦に伸びる立性と横に広がる匍匐(ほふく)性、その両方の特性を持つ半匍匐性の3種類が存在します。
ローズマリーの逸話
ローズマリーは古代ギリシャの時代からその効能の高さや香りの華やかさに注目されており、たくさんの逸話が残っています。中でも、14世紀のハンガリー王妃エリザベートのエピソードは特に有名。当時、老齢によるリウマチや痛風に悩まされていたエリザベートは、ローズマリーをアルコールに浸したものをマッサージや化粧水として使いました。すると、身体の痛みから開放されただけでなく、77歳になっても若いままでポーランド王に求婚されたんだとか。このことからローズマリーは「若返りのハーブ」の異名を持っており、現代でも美容や健康に良いハーブとして愛されています。
ローズマリーの効能
ローズマリーは健康や美容に良いハーブとして知られていますが、どんな効能を持つハーブなのでしょうか。
有名な効能が集中力・記憶力アップです。ローズマリーの爽やかで清涼感のある香りは、気持ちを落ち着かせる役割を持つ副交感神経を優位な状態にし、リラックスさせてくれます。古代ギリシャでは学生が集中力・記憶力アップのためにローズマリーのリースを頭に載せて勉強していたという逸話も残っており、現代ではローズマリーの香りが認知症予防に繋がることも研究でわかりました。
また、ローズマリーには抗酸化作用もあります。抗酸化作用とは、体の老化に繋がる酸化物質を取り除くことを言い、肌の老化を防いだり、毛穴を引き締めたりしてくれます。そのほかにも血行を促進して体温を上げて代謝をアップしてくれたり、抗炎症作用によって筋肉痛や関節痛を緩和してくれたりする効能もあり、ローズマリーは古くから万能なハーブとして使われてきました。
ローズマリーのおすすめな使い方6選
ローズマリーは衣食住さまざまな用途に使われており、生活を豊かにしてくれます。それではローズマリーの使い道を紹介します。
1. 食べ物の香り付けや匂い取りに使う
ローズマリーは薬草の中でも香りが強いです。そのため、臭みの強い肉や魚の匂いを消すのによく使われています。元々原産地がヨーロッパの地中海周辺ということで、フレンチやイタリアンなどヨーロッパ周辺の料理に使われることが多いです。料理はもちろんスイーツでもローズマリーを載せるだけで華やかで爽やかな風味に仕上げてくれるので、料理においては使い勝手の良いハーブとして重宝されています。
2. ハーブティー・紅茶に使う
ローズマリーは生でもドライでもハーブティーや紅茶にして楽しめます。ローズマリーのハーブティーはスッキリ感が強く、集中力を上げたい朝〜昼間に飲むのがおすすめです。ただローズマリー単体だとローズマリー独特の香りが強すぎて、薬臭く苦手意識を持つ人が多いでしょう。そのため、ローズマリーのハーブティーはレモングラスやペパーミントなど爽快感のあるハーブとブレンドして飲むのが一般的です。
また、ローズマリーにはお茶に混ぜて飲む楽しみ方もあります。ニルギリやセイロンなどの紅茶と相性が良く、紅茶のティーバッグと一緒にローズマリーの葉を入れてお湯を注ぐだけ。ローズマリーの香りが紅茶のアクセントとなり、スッキリとした味に仕上がります。意外にも紅茶だけでなく緑茶とも相性が良いので、少し変わった楽しみ方がしたいなら緑茶を淹れるときにローズマリーを茶葉に混ぜるのもおすすめです。
3. 入浴剤に使う
美容に良いローズマリーは入浴剤にもぴったりです。ローズマリーを入浴剤として使う場合は、ネットに生ローズマリーを4〜6本程度入れてよくもんで香りを出すだけ。疲れを取ったり、気持ちをリフレッシュさせたりしてくれるローズマリーは夏の暑い時期のお風呂にぴったりです。
4. 化粧水に使う
王妃エリザベートの逸話のように、ローズマリーは化粧水として使うことできれいな肌も目指せます。化粧水の作り方は生のローズマリーを細かく刻み、沸騰させた精製水を注いで20分程度待ちます。あとは濾(こ)してグリセリンと混ぜ合わせて完成です。血行を良くして、ハリのある肌を目指したい方はぜひ試してみてください。
5. トリートメントに使う
きれいな髪の毛を目指す方にとっても、ローズマリーは手軽に使えて便利です。トリートメントとしてローズマリーを使う場合は、少しローズマリーティーを濃いめに淹れ、シャンプーをした後に頭にかけるだけ。お風呂上がりにローズマリーのさっぱりとした香りもするので、髪の毛がきれいになって良い匂いもして一石二鳥です。
6. 消臭剤に使う
ローズマリーは置くだけで消臭剤としても使えます。トイレや靴箱などのニオイ取りとして、さっぱりとした香りのローズマリーは最適でしょう。消臭剤を作る方法は、乾燥させたローズマリーをローズマリー:重曹=1:4の比率で合わせるだけ。こちらも簡単にできるので、ローズマリーの香りが好きな方はぜひ試してみてください。ちなみにローズマリー単体だけでなく、レモングラスなどと合わせるのもおすすめです。
ローズマリーの開花時期は?
ローズマリーは毎年11月〜翌年5月、秋の終わりから春にかけて咲きます。乾燥・寒さに強いことから、室内だったり、育てる環境が良かったりすると1年を通して花を咲かせ続けることもあり、1年を通して楽しめる植物と言えるでしょう。
ローズマリーは家庭菜園で育てられる?
ローズマリーはやや大きめですが、家庭でも育てられます。ハーブの中でも特に育てやすい種類なので、ホームセンターはもちろん、スーパーなど手近な場所で苗を入手できます。乾燥気味な土を好む植物のため、水やりの頻度も少なめで良いですし、初心者でも育てやすい植物と言えるでしょう。ローズマリーには立性・匍匐性・半匍匐性の3種類があり、匍匐性・半匍匐性のものはある程度広さが必要となってしまいます。そのため、家庭で育てるならまずは立性のものを選ぶのがおすすめです。
ローズマリーを栽培するには?
ローズマリーの栽培方法は、一般的な植物の育て方と同じで、土作り→苗の植え付け→収穫→植え替えという流れで進みます。それでは、各フェーズにおけるポイントを紹介します。
土作り
ローズマリーは乾き気味の土を好む植物です。そのため、水はけの良い土を選んでください。ホームセンターなどのガーデニングコーナーに行くと、ハーブ専用の土が売られていることが多いので、初心者の方はハーブ専用のものを選ぶのがおすすめです。
そして土作りはヨーロッパの土壌に近い、乾燥気味のややアルカリ性の土を作るのがコツ。ハーブ用の土にサボテン用の土を混ぜた後、植え付けの数日前に石灰を入れると、ローズマリーに適した土に仕上がります。
そしてローズマリーに関してはあまり肥料を必要としません。元肥に関しては土に植える場合は堆肥と腐葉土を少し混ぜる程度、鉢に植える場合は、春や秋など季節の変わり目のタイミングに様子を見て肥料を少し加える程度で問題ありません。ただ元肥の栄養は段々減ってしまうので、1週間〜10日に1回程度の頻度で水に肥料を混ぜてあげると良いでしょう。
苗の植え付け
ローズマリーは種から育てることもできますが、どの植物も種から発芽するまで管理するのはとても難しいです。このため、まずは苗から育てるのがおすすめ。ローズマリーの苗はホームセンターなどで手軽に入手できます。
おすすめな植え付け時期は、3〜5月の春か、9〜10月の秋の時期がおすすめです。苗を植える方法ですが、ローズマリーの根が緩やかに広がるように最初に穴を掘ります。そして用意した苗を慎重に取り出し、根が絡まないようにほぐした後、苗を穴にセットし、根元を土で覆います。最後に土を軽く押さえながら埋めて完了です。
収穫
ローズマリーは1年を通して収穫できるハーブです。定期的に茎から切って収穫しましょう。ただし、高温や強い直射日光が続くとローズマリーの葉が脱水し、葉先が損傷することがありますので、夏場はいつもよりしっかり目に剪定・収穫をすることを意識してください。また、冬場は成長が遅くなるため、夏とは逆に茎を残し気味に収穫するとよいでしょう。
植え替え
鉢植えでローズマリーを育てる場合は、1〜2年に1回程度の頻度で植え替えます。ローズマリーは根詰まりしやすいので、根の様子を見て、植え替えを行いましょう。植え替えを行わなかった場合、古くなった土壌や根の圧迫で、ローズマリーの成長が停滞し、根腐れや病気のリスクが増加してしまいます。タイミングとしては、植物への負担が少ない春もしくは秋に行うのがおすすめです。
ローズマリーを栽培するメリットは?
ローズマリーは育てるうえでのメリットがたくさん。そのため、家庭菜園を始めてみたいけれども何を選べば良いか悩むという方にもおすすめです。それでは、ローズマリーを栽培するメリットを見ていきましょう。
初心者でも育てやすい
ローズマリーは水やりの頻度が少なめで、暑すぎず寒すぎない環境に置いておけば1年を通して楽しめる植物です。夏場の猛暑の時期と冬場だけ家の中に置いておけば、あとは外の日当たりの良い場所に置いて必要に応じて水をあげれば良いだけなので比較的管理がしやすく、初めて植物を育てる方でも簡単に収穫ができます。
使い道がたくさん
ローズマリーは鑑賞するだけでなく、食べ物の香り付けやハーブティー、入浴剤などさまざまな用途に使えます。そのため、ローズマリーの香りが好きな方なら、ローズマリーを自宅に植えることで、1年中ローズマリーの香りに囲まれた生活を楽しめるでしょう。
ローズマリーに関するよくある質問
ローズマリーを育てるうえで気になることや心配ごとも出てくるでしょう。ここではローズマリーに関してよくある質問をまとめました。
ローズマリーの保存方法は?
ローズマリーを保存する場合は、生のままもしくは乾燥させた状態で保存します。生のまま保存する場合は、しっかりキッチンペーパーで水気を拭き取ったうえで保存するのがコツです。この場合、冷蔵庫なら1週間、冷凍庫なら1ヶ月程度もちます。
また、ローズマリーは乾燥させると一気に保存期間が延び、半年〜1年ほど保存できます。乾燥方法は洗ったローズマリーをキッチンペーパーの上に並べて、600Wの電子レンジで2分半〜3分程度温めるだけ。乾燥させても風味が大幅に落ちることは無いので、ローズマリーを大量に収穫できたときなどは乾燥させて保管することをおすすめします。
ローズマリーの寿命はどれくらい?
ローズマリーの寿命は平均で20年程度、長生きするものだと30年以上と言われています。丈夫な品種で長生きするので、子供の成長と一緒にローズマリーの成長を見届けたり、ローズマリーで自分の思い出を振り返ったりするのも良いですね。
ローズマリーはどんな匂いがする?
ローズマリーの香りはフレッシュな甘さと苦さが混ざったシャープな香りが特徴です。少し鼻にツンとくるような刺激もあり、この刺激が集中力を高めたり、目を覚ましたりしてくれると言われています。
ローズマリーの花言葉は?
ローズマリーの花言葉には、「思い出」「変わらぬ愛」「追憶」「あなたは私を蘇らせる」など記憶に関連するものが多いです。元々ローズマリーの花言葉は頭をシャキッとさせてくれるような香りから付けられたと言われています。ロマンティックなエピソードがたくさんある植物なので、大切な人へのプレゼントにもローズマリーはぴったりですね。
ローズマリーは使い道がたくさん
ローズマリーは1年を通して楽しめる植物であり、料理・暮らし・美容など様々な用途に使うことができます。独特のフレッシュ感と苦みのある香りは頭をシャキっと目覚めさせてくれ、集中したいときやリフレッシュしたいときにぴったりです。比較的育てやすい植物でもあるので、ぜひローズマリーを育てて1年中ローズマリーの香りに囲まれた暮らしをしてみてはいかがでしょうか。