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オレガノの育て方。畑・プランター別の栽培方法やポイントを農家が伝授

鮫島 理央

ライター:

オレガノの育て方。畑・プランター別の栽培方法やポイントを農家が伝授

オレガノはイタリア料理などでよく使われているため、食材としてのイメージが強いですが、リラックス効果のあるアロマやポプリの材料にもなり、過去には薬としても使用されていました。乾燥した土地でもよく育ち、害虫も付きづらいオレガノは家庭菜園でも栽培しやすいハーブとして知られていますが、注意すべき点もいくつかあります。本記事では、オレガノの栽培の基本について、細かいポイント、収穫のコツまでを分かりやすく解説します。ぜひ記事を参考に家庭での栽培に挑戦してみてください!

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オレガノとはどんなハーブ? 特徴や由来など

オレガノは、地中海沿岸が原産のシソ科ハナハッカ属に属する多年生のハーブで、日本ではハナハッカとも呼ばれています。寒さに強く、日光がよく差す岩場や荒れ地、森林の端などで自生することの多い植物です。

高さは30~80センチにもなり、茎は四角く、部分的に地面をはいながらも主に直立します。葉は対生し、小さく卵形の濃緑色から紫紅色をしており、夏から秋にかけてピンク色の花を咲かせます。乾燥した気候を好み、その精油にはカルバクロールが含まれ、独特の香りを放ちます。

オレガノの花

オレガノは古代ローマ時代から薬用や香辛料として利用されてきました。精油には消化促進、殺菌、鎮静、血液浄化の効果があるとされており、現在でも、アロマオイルや香辛料のほか、ドライフラワーやポプリの材料としても使用されています。

オレガノの種類

オレガノは大きく分けて、「オリガヌム類」「アマラクス類」「マヨナラ類」の3種類に分かれています。
それぞれどのような特徴や違いがあるのか、解説していきます。

オリガヌム類

一般的にオレガノというと、オリガヌム類の「ワイルドマジョラム」のことを指します。
古代ギリシア・ローマ時代から薬として使われてきた歴史があり、現代でも料理に使われる
ことが多い種類です。

有名品種の「ゴールデンオレガノ」は、パスタやピザ、ミネストローネなどに適したハーブで、イタリア料理で好んで使われます。乾燥させた葉をハーブソルトやハーブティーに利用することもあり、料理人に愛されているハーブといえるでしょう。

ゴールデンオレガノ

アマラクス類

主に観賞用・園芸用の種類で、スパイスなどの食用として使われることはありません。
日本では花オレガノと呼ばれることもあり、花壇や庭の寄せ植えで見かける事が多いです。
主な品種としては、「ケントビューティー」「ロタンダフォーリア」「ノートンズゴールド」などがあります。

ケントビューティー

マヨナラ類

マヨナラ類は「スイートマジョラム」として知られるように、一般的なオレガノよりも甘い香りが強い種類で、ポプリやアロマにもぴったりです。乾燥させるとスパイシーな香りがすることから、料理や香水などにも用いられてきました。

スイートマジョラム

オレガノの栽培暦

本記事では、オリガヌム類ワイルドマジョラムの栽培暦について説明します。
地域によって栽培暦は異なりますので、あくまで参考としてください。

ワイルドマジョラムは、日当たりと水はけの良いところを好みます。
もともと肥料分をあまり必要としない植物なので、荒れた土地や乾燥した土地でも栽培可能です。
一方で、夏の暑く湿度の高い環境が苦手なので、切り戻しや収穫を定期的に行い、混み合いすぎないように管理してあげましょう。

オレガノの種まき

オレガノは種からでも栽培可能ですが、苗からの栽培よりも時間や手間がかかります。
また複数の株から種取りをしているため、味や香りにバラツキが出てしまうこともあり、種からの栽培は上級者向けといえるでしょう。

種まきの時期

オレガノの種まきは4月~5月の春頃と、9月中旬~10月中旬の秋頃の2回行うことができます。
発芽適温が20℃前後なので、春先の暖かい頃と、夏の暑さが落ち着いた頃に種をまくようにしましょう。

種まきの方法・コツ

軽くて水はけの良い土を用意します。プランター栽培を行う際は、市販のハーブ用土や野菜用培養土を使うと良いでしょう。

種は浅くバラまきます。土の表面にまんべんなく種をまき、軽く土で覆います。オレガノの種は日の光を浴びることで発芽するので、土をかけすぎてはいけません。

露地栽培の場合は基本的に水やり不要です。
プランター栽培の場合、発芽後は日当たりの良い場所に移し、定期的に水やりを続けます。過湿に注意し、土の表面が乾いたらスプレーなどで優しく水を与えましょう。

注意点

オレガノの種は非常に小さく、雨風で流れやすいので、種まきの前は天気予報をしっかり確認しましょう。
発芽率もそれほど高くはないので、たくさんまいて、多すぎるようなら後で間引くくらいの感覚で種まきすると良いでしょう。

オレガノ苗の植え付け方法

オレガノは種からの栽培のほか、育苗した苗や、ホームセンターやガーデンショップで購入した苗を植え付けることでも栽培できます。

鉢植えやプランターで栽培する場合と、地植えで栽培する場合、それぞれ解説していきますので、参考にしてください。

植え付け時期

オレガノ苗の植え付け時期は、基本的に種まき時期と変わりません。
4月~5月の春頃と、9月中旬~10月中旬の秋頃に行うと良いでしょう。
暑くなる前、寒くなる前にしっかりと発根させることが大切なので、時期を守って植え付けを行いましょう。

プランターの場合

◯用意するもの

  • プランターor鉢植え(オレガノは根が広がるので、ある程度の深さと幅があるものが適しています)
  • ハーブ用土or野菜用培養土
  • 鉢底石、鉢底ネット
  • プランターを置く台やブロック、すのこなど

◯やり方

初めに、用意したプランター(鉢植え)に、鉢底石と鉢底ネットを設置します。
次に土を入れ、軽くたたいたり揺らしたりして、土をならしましょう。
土の準備ができたら、苗を植え付けます。複数の株を植え付ける際は、株間30センチは取りましょう。
植え付けが終わったら、ジョウロなどで優しく水やりを行ってください。

◯注意点

ベランダや庭で栽培するときは、エアコンの室外機から離して置いてください。
室外機の温風が当たると、株が弱ってしまい、枯れてしまうこともあります。

プランターは直接床や地面に置かず、台やすのこなどに置いて、風通しを良くしてあげましょう。

地植えの場合

オレガノは多肥や水分の多い土を嫌うので、なるべく水はけと日当たりの良い場所で栽培しましょう。
植え付け前に雑草を取り、土を軽く耕して、緩効性肥料を一握りほど入れておきます。
地植えにすると、根が広がり、株が大きくなりやすいので、株間は40センチ以上取っておくと良いでしょう。

水耕栽培の場合

◯苗の準備

オレガノの苗を用意します。既に土で育っている苗を使う場合は、根から土を優しく洗い流します。

◯水耕栽培キットの準備

水耕栽培用のキットを用意します。市販のものが便利ですが、ペットボトルなどで自作しても良いでしょう。

◯培養液の準備

市販の液体肥料を希釈して、培養液として使います。

◯苗の設置

オレガノの苗をスポンジなどにセットし、根が栄養液につかるようにします。

◯光の管理

オレガノは光を好む植物なので、十分な光を確保する必要があります。自然光が十分でない場合は、UVライトなどを使うと良いでしょう。

オレガノは草勢が強い植物なので、ペットボトルや瓶に水を入れて株を挿すだけでも多少大きくなります。オレガノが余ったら、挑戦してみましょう。

オレガノの栽培管理の方法

オレガノは放っておくとボーボーになるほど繁殖力旺盛で丈夫なハーブです。原産地が地中海の乾燥した地域ということもあり、乾燥にも強く、難しい栽培管理は必要ありません。
基本的なことをしっかりと行ってあげましょう。

水やり

◯露地栽培の場合

露地栽培では、基本的に水やりは必要ありません。自然降雨に任せて良いでしょう。
夏の暑い日に乾燥が続くようであれば、朝夕の涼しい時間帯に水やりをしましょう。

◯プランター栽培の場合

プランターや鉢植えで栽培する場合は、土の表面が乾いたら水やりを行います。
受け皿に水がたまってしまうと根腐れの原因になるので、あげすぎに注意です。

剪定(せんてい)・摘芯

オレガノの剪定は、植物の形を整え、健康的な成長を促すために行います。
枯れた枝や弱った枝を取り除き、内側に伸びる枝や交差する枝を剪定して風通しを良くします。

摘芯は、オレガノの茂りを良くし、より多くの葉を収穫するために行います。
春から秋にかけて、茎の先端を切りましょう。脇芽が出てきて、横に株が広がります。

肥料

オレガノはあまり肥料分を必要としません。
植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を一握りと、花が咲き終わったあとにボカシ肥料などを一握り入れるくらいで十分です。

葉の色が悪かったり、株に元気がなかったりする場合は、水のかわりに液体肥料を与えても良いでしょう。

オレガノの収穫

オレガノの収穫は、種から育てた場合は2年目以降に行います。収穫時期は4月~10月と長く楽しむことができます。

香りが最も強い開花直前に、株元から約10センチ残して地上部の3分の1程度を切り取ります。こうすることで、オレガノの切り戻しにもなるので、来年以降も新しく健康的な葉を収穫することができます。

収穫後、オレガノの葉は陰干しで乾燥させれば、長期保存が可能です。乾燥させた葉は料理に使うと香りが強まり、生の葉は料理やお茶にも使用できます。また、花はドライフラワーとしても利用可能です。

オレガノの増やし方

オレガノの増やし方には、種まき・挿し木・株分けの三つがあります。

挿し木は、オレガノの枝を切り取り、新しい株として育てる方法です。この方法は春から初夏にかけて行うのが最適で、健康な若い枝を選び、葉を下部から取り除いた後、湿った土に挿します。根がしっかりとついたら、植え付けOKです。

一方、株分けは、成長したオレガノの株を分割して増やす方法です。これは主に春か秋に行うもので、株を掘り上げて根を含む部分を複数に分けます。分けた株はそれぞれ別の場所に植え、新しいオレガノの株として栽培します。株分けは、オレガノの株が大きくなりすぎた場合や、古くなった株を若返らせるのにも有効です。

オレガノにつく害虫

オレガノは比較的害虫に強いハーブですが、いくつかの害虫には注意が必要です。
特に、アブラムシはオレガノにつきやすい害虫の一つで、植物の汁を吸って成長を妨げることがあります。

また、ハダニもオレガノに悪影響を与えることがあります。ハダニは非常に小さなダニですが、葉の裏に住み着き、葉を黄色く変色させることがあります。
さらに、ナメクジやカタツムリもオレガノの葉を食べることがあり、特に湿度が高い環境では注意が必要です。

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オレガノを地植えで栽培するときの注意点やポイント

オレガノは日当たりが良く、水はけの良い場所を好むため、植える場所を選ぶ際にはこれらの条件を満たしていることをしっかり確認しましょう。土壌はやや乾燥気味であることが望ましく、過湿は根腐れの原因になるため注意が必要です。

またオレガノは成長が旺盛なため、他の株との間隔を適切に保ち、定期的な剪定や株分けを行うことで、適切なサイズと形を維持することが大切です。これらの点に注意を払いながら丁寧に管理することで、オレガノを地植えで健康に育てることができます。

はじめてのハーブ栽培にも最適! 忙しい人にもおすすめ

オレガノは古代エジプトやギリシャなど、はるか昔から愛されてきたハーブの一つです。食べて良し、薬にして良し、香水やポプリとして香りを楽しんでも良いという、用途の広さが人々に愛されてきた理由なのかもしれません。

繁殖力旺盛で害虫にも強いオレガノは、ハーブの栽培を新しく始めたいという人にもぴったりです。ある程度放任していてもすくすく育ってくれるので、忙しい人やズボラな人でも栽培できるかもしれません。

本記事を参考にして、オレガノの栽培に挑戦してみてください!

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