父親の死で営農に向き合った
室岡さんは栽培面積が約6ヘクタール。主な作物はサトイモとホウレンソウ、枝豆、ミズナで、いるま野農業協同組合(JAいるま野)に出荷している。他にネギやブロッコリーなどを育て、直売所で販売している。
JAいるま野の狭山野菜部会の会長として、農協を通した共同販売の取りまとめ役を務めている。管内の野菜部会が連携するための組織であるJAいるま野野菜一元共販連絡協議会の会長という要職にもある。
実家は農家で、室岡さんは9代目。大学に入ったときは別の仕事に就こうと思っていた。だが農作業を担っていた父親が病気がちだったため、卒業後は就職せずに就農した。30年余り前、22歳のときのことだ。
室岡さんは「初めはそれほど農業に一生懸命ではなかった」とふり返る。「父親の手伝い」という姿勢で農作業に臨む時期がしばらく続いた。
転機は28歳のとき訪れた。父親が亡くなったのだ。室岡さんは家計を支えるため、自分の力で営農を成り立たせる必要に迫られた。その後、さまざまな試行錯誤を経て栽培と販売を軌道に乗せた。そんな経験を踏まえ、室岡は新規就農者へのアドバイスを語ってくれた。
先輩農家から栽培を学んだ
「お金もうけが好きな人じゃないと続かない」。新規就農者にとって何が大切かを聞いたとき、室岡さんは真っ先にそう答えた。