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食料安保で必要な戦略、国際相場の影響緩和へ平時から備えを

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

食料安保で必要な戦略、国際相場の影響緩和へ平時から備えを

ウクライナ危機などをきっかけにした穀物や肥料の国際相場の高騰で、日本でも食料安全保障が注目を集めるようになった。どうすれば国民に安定的に食料を供給し続けることができるのか。その方策を考えてみた。

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JA全農と都がリンの回収で連携

まずは2023年12月半ばに飛び込んできたニュースから取り上げよう。

全国農業協同組合連合会(JA全農)は東京都と連携し、下水汚泥から回収したリンを肥料として活用する取り組みを始めると発表した。

植物の生育にとって重要な要素に、窒素、リン酸、カリウムの3つがある。下水はそのうちリンを豊富に含む。化学的な処理を施してそれを抽出し、製品化するのがプロジェクトの柱だ。

東京都の下水処理施設で専用のプラントを稼働させ、回収リンの肥料としての品質の向上や作物の栽培試験に取り組む。肥料は都内を中心に流通させるほか、他の地域で販売することも視野に入れている。

下水から回収したリンで肥料をつくる事業は神戸市が先行して進め、すでに商品化している。東京都が同様の事業に乗り出すことをきっかけに、回収リンの活用が各地に広まることが期待されている。

画像1)神戸

神戸市の下水処理施設で生産した肥料

こうした取り組みに意義があるのは、日本が化学肥料の原料のほとんどを海外から輸入しているからだ。ウクライナ危機による肥料の国際相場の高騰に円安が重なり、輸入価格が上がって農業は大きな打撃を受けた。

ただし、下水から回収したリンの活用がいくら進んでも、完全に輸入に頼らないようにするのは難しい。だが国際相場の高騰や為替相場の変動の影響を、ある程度は和らげることにつながるかもしれない。

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