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2月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」で感じる春の到来・冬のあとさき

連載企画:野菜ソムリエが語る旬の果物

2月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」で感じる春の到来・冬のあとさき

暦では春が始まる2月。店に並ぶ果物にも少しずつ変化の兆しが見られます。農作物には旬があり、そのなかにさらに「走り(はしり)」「盛り(さかり)」「名残(なごり)」の三つの時期があります。2月に出回る国産フルーツを味わい尽くすヒントをお届けします。

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旬とは?

果物の旬とは、その果物の味が最もよい食べごろの時期で、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなるので安い価格で、おいしく栄養価の高い状態の果物を手に入れることができます。また、貯蔵されて食べごろを迎えた果物も、その時期が旬といえるでしょう。

2月旬の果物カット

2月が「走り」の果物

冬から春にかけて、各産地から出回るさまざまな種類の柑橘類。2月は、ヒュウガナツやハッサク、甘夏などが店頭に並び始めます。走りの果物はそのまま生食やサラダがおすすめ。一足早く春の訪れを感じてみてはいかがでしょう。

2月走りの果物

ヒュウガナツ(日向夏)

宮崎県で発見された同県の特産果樹。春から夏にかけて旬を迎えます。果皮は黄色くなめらかで、果肉は淡黄色で柔らかく、果汁が多くてほどよく甘酸っぱい。果皮の白い海綿状の部分も一緒に食べるのが特徴的。果肉はビタミンCを、果皮の白い部分は食物繊維を多く含みます。保存は、軽く湿らせた新聞紙で包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で約1カ月。

調理例:ヒュウガナツの刺し身、ヒュウガナツと白身魚のカルパッチョ、ヒュウガナツとサヤエンドウのマリネ

ハッサク

広島県尾道市の因島で生まれた柑橘。同県では1月中旬ごろに収穫が始まり、半月から1カ月ほど貯蔵して酸味を抜いて出荷されます。皮は硬めですが手でむくことができ、果肉は硬め、果汁は少なめで、パリッとした食感とほのかな苦みが特徴。生食がおすすめです。ビタミンCとクエン酸が豊富です。保存は冷暗所で2~3週間。室温が高い場合はラップに包んで冷蔵庫へ。

調理例:ハッサクのはちみつがけ、ハッサクと生ハムのオリーブオイルあえ、ハッサクと春キャベツのコールスロー

甘夏

大分県で発見されたナツミカンの突然変異種。鹿児島県で多く生産されています。ナツミカンより早生(わせ)で1月中旬ごろから5月まで出回ります。また、ナツミカンと比べて酸味が少なく、甘く感じられます。栄養は、ビタミンCとクエン酸が豊富で、カリウムなどのミネラルも含まれています。保存は冷暗所で2〜3週間。室温が高い場合はラップに包んで冷蔵庫へ。

調理例:甘夏の寒天寄せ、甘夏とちりめんじゃこのサラダ、甘夏ちらし寿司

2月が「盛り」の果物

旬の中でも盛りの果物は、味がよく、価格も手ごろ。柑橘では、イヨカン、ポンカンなどが出荷の最盛期。イチゴの品種も豊富です。旬の国産レモンも料理やドリンクに取り入れてみてはいかがでしょう。

2月盛りの果物

イヨカン(伊予柑)

山口県で発見され、愛媛県を中心に栽培されています。旬は1月~3月ごろ。果肉は柔らかく、果汁が豊富。甘みと酸味がほどよく調和しています。果皮は厚めですが、柔らかいのでむきやすくなっています。ビタミンCが豊富で、生食がほとんど。マーマレードの材料にもよく使われます。保存は冷暗所で2〜3週間。室温が高い場合はラップに包んで冷蔵庫へ。

調理例:イヨカンと新タマネギのサラダ、イヨカンジュレ、マーマレード

ポンカン

インド北部が原産で、明治時代に日本に導入された。愛媛県で多く栽培され、12月~2月に出回ります。果実は小ぶりで果肉は柔らかくやさしい香り。甘みが強く、酸味が少ないので食べやすい。果皮は柔らかくミカンのように手でむけます。栄養素は、β-クリプトキサンチン、ビタミンCを多く含む。保存は冷暗所で2~3週間。乾燥しやすいのでビニール袋に入れるかラップに包むといいでしょう。

調理例:ポンカンのパウンドケーキ、オランジェット、マーマレード

イチゴ

イチゴは12月~4月ごろがおいしい時期。2月は価格も落ち着いていろいろな品種が試せるチャンス。ジャムなどの保存食づくりにも最適です。特有の香りと、ほどよい甘みと酸味があり、そのままつまんで食べられる手軽さも魅力。イチゴは栄養価が高く、ビタミンCが豊富で、葉酸や食物繊維、腸の働きを助けるペクチンも多く含まれています。保存は洗わずにパックごとラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:イチゴミルク、イチゴのチョコレートがけ、コンフィチュール(ジャム)

レモン

主産地の広島県などで作付け面積が増え、以前より多く出回るようになった国産レモンは、冬から春先までが旬。ビタミンCが豊富で、香り成分のリモネンには眠気冷ましや代謝、消化の作用を高める効果が期待されています。料理の香りづけやドリンクなどに活用してはいかがでしょう。保存は冷暗所に置くか、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。冷凍保存は、スライスして使いやすい枚数ごとにラップで包み、冷凍用保存袋に入れて約1カ月。

調理例:春キャベツと豚肉のレモン蒸し、レモン鍋、マーマレード

2月が「名残」の果物

秋に旬を迎えたリンゴや柿が、貯蔵や加工の技術によって冬越しで楽しめます。暦は春でもまだ寒いこの時期、春を待ちながら名残の果物をかみしめてみてはいかがでしょう。

2月名残の果物

リンゴ

リンゴは貯蔵がきく果物の一つ。国内のリンゴ品種で最も多く作られている「ふじ」の収穫は11月で終わり、特殊冷蔵庫で貯蔵されたものが、鮮度はそのままに、春以降まで出回ります。リンゴは、有機酸、ポリフェノールを含み、食物繊維も豊富です。冷凍保存は、くし切りにして芯を取り除いてから一切れずつラップに包んで冷凍保存袋に入れ、冷凍庫で約2カ月。レモン汁をふりかけておくと変色を防げます。

調理例:リンゴのソテー、焼きリンゴ、リンゴとイチゴのスムージー

干し柿

秋に収穫した柿の加工品として冬に出荷される干し柿。そのシーズンは12月~3月ごろまで。南信州の「市田柿」、山形県上山の「紅柿」、福島県の「あんぽ柿」などの地域ブランドや産地の特産品として出荷され、贈答用の高級品から手ごろな袋入りなどが果物売場に並びます。柿は干し柿にすると栄養価がより高くなり、エネルギー補給にも最適。βカロテン、カリウム、マンガン、食物繊維などを多く含みます。干し柿は冷凍することでさらに半年から1年間の保存が可能。一つずつラップで包み冷凍用保存袋で冷凍庫へ。食べるときは自然解凍で。

ブランド干し柿

調理例:干し柿のチョコレートがけ、干し柿とクリームチーズのカナッペ、干し柿とリンゴのサラダ

まとめ

ほのかな苦みもあり爽やかな柑橘類、味がのった完熟イチゴ、甘みを増したイヨカンやポンカンなどの中晩柑類、貯蔵リンゴや干し柿など、2月に出回る果物からは、冬のあとさきが感じられます。いろいろな種類の柑橘類が味わえるのもこの時期。皮のむき方や切り方を工夫しておいしくいただきましょう。柑橘の酸味としょうゆは好相性。ヒュウガナツは、しょうゆをかける食べ方も浸透中です。

柑橘類の提供方法

ヒュウガナツは皮の黄色い部分をむいて半月切りまたはそぎ切りでしょうゆを添えて刺し身風に(写真奥)。ハッサクや甘夏は房の背から切り目を入れると食べやすく、皮をむいた房で提供すると見た目もきれいで喜ばれます(写真手前)

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|髙橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(進食品成分編集委員会編|東京法令出版株式会社発行)

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