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3月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」は国産柑橘を主に色とりどり

連載企画:野菜ソムリエが語る旬の果物

3月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」は国産柑橘を主に色とりどり

3月は冬の果物を代表する温州(うんしゅう)ミカンに代わる中晩柑(ちゅうばんかん)が次々と出荷時期を迎えます。このように農作物には旬があり、そのなかにさらに「走り(はしり)」「盛り(さかり)」「名残(なごり)」の三つの時期があります。3月に出回る国産フルーツを味わい尽くすヒントをお届けします。

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旬とは?

果物の旬とは、その果物の味が最もよい食べごろの時期で、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなるので安い価格で、おいしく栄養価の高い状態の果物を手に入れることができます。また、貯蔵されて食べごろを迎えた果物も、その時期が旬といえるでしょう。

3月が「走り」の果物

温州ミカンに代わって1月~5月ごろにかけて出回る柑橘類を総称して中晩柑といいます。3月ごろから出回り始める中晩柑は、相対的に生産量が少なく、旬が短い希少な品種もあります。走りの果物はみずみずしく、生食がおすすめですが、料理にも取り入れて季節を先取りしてはいかがでしょう。

湘南ゴールド(3月~4月)

神奈川県が開発した中晩柑の品種で3月〜4月が出回り時期。皮・果肉ともに鮮やかな黄色でミカンより小ぶり。甘みと酸味のバランスがよく爽やかな香りが特徴です。皮をむいて生食はもちろん、皮ごと香りを生かして料理にも。ビタミンCのほか、ポリフェノールの一種、フラボノイドを多く含みます。保存は風通しのよい冷暗所で。

調理例:春キャベツと湘南ゴールドのサラダ、湘南ゴールドと鶏肉の煮込み、湘南ゴールドのクリームパスタ

ブラッドオレンジ(3月~4月)

イタリア原産のオレンジで、日本では愛媛県、大分県、香川県が主な産地。2月下旬ごろに収穫され、3月中旬から4月にかけて出荷されます。皮・果肉に赤みが入ったタロッコ種、より赤みが強いモロ種があり、いずれもオレンジと比べて酸味が穏やかで甘みが強く感じられます。ビタミンCのほか、ポリフェノールの一種で色素成分のアントシアニンを多く含みます。保存は風通しのよい冷暗所で。

調理例:スペアリブのブラッドオレンジ煮、ブラッドオレンジとニンジンのサラダ、ブラッドオレンジとホタテのカルパッチョ

3月が「盛り」の果物

各産地からさまざまな中晩柑が出そろう時期。いろいろ食べ比べて好みの柑橘を見つけてみてはいかがでしょう。イチゴもシーズン真っ盛りです。盛りの果物は味がのり栄養豊富。価格も比較的下がるのでジャムなどの保存食づくりにもおすすめです。

清見

日本初のタンゴール(ミカンとオレンジの交配種)。宮川早生(わせ)とトロビタオレンジを掛け合わせたもので1979年に品種登録されました。果肉は濃橙色で柔らかくジューシー。オレンジの甘い香りがします。主な産地は、愛媛県、和歌山県、佐賀県など。3月中旬から下旬が熟期で5月ごろまで出回ります。保存は冷暗所で。

調理例:マーマレード、セミドライフルーツ、清見と新タマネギのサラダ

大橘(おおたちばな)

文旦(ブンタン)の一種で、果肉は柔らかく、香りがよく、すっきりとした上品な甘さが特徴。じょうのう(袋)は厚いのでむいて食べます。大橘は品種名で、熊本県では「パール柑」、鹿児島県では「サワーポメロ」のブランド名がつけられています。1月下旬から2月上旬ごろに収穫され、3月~4月に出荷されます。栄養素は、ビタミンCとカリウムを多く含んでいます。保存は冷暗所で数週間。

調理例:ゼリー寄せ、大橘と菜の花のマリネ、皮の砂糖漬け

麗紅(れいこう)

清見にアンコールとマーコットを掛け合わせたタンゴール。皮・果肉ともに鮮やかな赤橙色で香りがよく糖度が高い品種です。皮は柔らかく、じょうのうも薄く、ミカンと同じように食べられます。主な産地は佐賀県で、愛知県や長崎県でも栽培されています。ビタミンCのほか、じょうのうにはペクチンを多く含んでいます。保存は風通しのよい冷暗所で1週間程度。

調理例:果汁の寒天ゼリー、ミカンソース、マーマレード

デコポン(不知火)

清見とポンカンをかけ合わせた中晩柑の品種です。正式名称は不知火(しらぬい)といい、そのなかでも、光センサーで糖度と酸度の基準をクリアしたものが「デコポン」の登録商標で販売されます。露地栽培の収穫は1月~2月で、追熟させて3月~4月ごろまで出回ります。果皮は手でむくことができ、種はほとんどなく、内側の袋ごと食べることができます。ビタミンCとβ-クリプトキサンチンが多く含まれています。保存は直射日光の当たらない涼しい場所で。

調理例:皮を器にデコポンゼリー、デコポンとフルーツトマトのサラダ、ミックス柑橘ジャム

イチゴ

イチゴは12月~4月ごろがおいしい時期。栄養価が高く、ビタミンCが豊富で、葉酸や食物繊維、腸の働きを助けるペクチンも多く含まれています。大粒のイチゴが手頃な価格で手に入り、小粒のものも流通するので、いろいろな食べ方を試してみてはいかがでしょう。保存は洗わずにパックごとラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ。

調理例:イチゴとクリームチーズのオープンサンド、チキンソテーのイチゴソース、ジャム

3月が「名残」の果物

名残りの果物は樹上完熟させたものや長い貯蔵で甘みを増したものが多く出回ります。水分が抜けて凝縮した風味を生食で楽しむのはもちろん、加熱調理にもチャレンジしてみてはいかがでしょう。

キンカン(金柑)

ひとくちサイズで皮ごと食べられる柑橘類。皮にはビタミンCのほか、機能性成分で骨の健康を助けるβークリプトキサンチン、毛細血管の強化に役立つヘスペリジン(ビタミンP)を含んでいます。2月が出荷のピークで3月までが出回り時期。保存は冷暗所で約1週間。冷凍保存は、ヘタを取って丸ごとまたは半分にカットして冷凍用保存袋に入れて約1カ月。

調理例:キンカンのはちみつ甘露煮、焼きキンカン、キンカンと鮭のホイル包み焼き

ポンカン

インド原産の柑橘類で果汁が多く甘みが強いのが特徴。皮がむきやすく、じょうのうごと食べられます。ビタミンCを豊富に含み、じょうのうには整腸作用が期待できるペクチンも多い。2月が出荷のピークで3月までが出回り時期。乾燥に弱いので保存はポリ袋に入れて冷暗所で。冷凍保存する場合は、果皮をむいて冷凍保存袋で約1カ月。

調理例:セミドライフルーツ、ポンカンと春野菜のマリネ、さわらとポンカンの漬け焼き

キウイ

中国原産でニュージーランドで品種改良が進み、日本でも愛媛県、和歌山県、福岡県などで栽培されています。輸入品も含めて通年で店頭に並びますが、国産品が出回るのは11月~4月頃です。栄養面では、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維が豊富です。未熟なものは常温で追熟させ、完熟したものはビニール袋に入れて冷蔵庫で約1週間。冷凍保存は、皮をむいて好みの大きさに切り、使いやすい分量ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れて約1カ月。

調理例:キウイカレー、キウイのデザートピザ、キウイとホタテのカルパッチョ

まとめ

3月に入って出回る柑橘類のバリエーションがさらに増えてきました。5月ごろまで産地や品種をリレーしてさまざまな中晩柑が出回ります。味や香りはそれぞれ異なり、食べ比べても楽しく、栄養も豊富で料理やデザートを色とりどりに彩ってくれるでしょう。同時期に旬を迎えたイチゴやキウイを加えればさらにカラフル。フルーツだけで一品料理になります。「走り」「盛り」「名残」の国産果物を毎日の食卓にプラスしてみてはいかがでしょう。

走りの湘南ゴールド、ブラッドオレンジ、盛りのイチゴ、名残のキンカン、キウイを同じ大きさに切って混ぜるだけでマチェドニア(イタリアのフルーツポンチ)のできあがり

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|髙橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(進食品成分編集委員会編|東京法令出版株式会社発行)

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