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のらぼう菜とは? 旬や栽培方法、おすすめレシピも解説【日本伝統野菜推進協会監修】

sato tomoko

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連載企画:解説!全国伝統野菜

のらぼう菜とは? 旬や栽培方法、おすすめレシピも解説【日本伝統野菜推進協会監修】

日本各地、その土地で古くから栽培されてきた伝統野菜があります。東京・神奈川・埼玉で春に出回る「のらぼう菜」もその一つ。古くは鎌倉時代に栽培され、江戸時代には天明・天保の飢饉(ききん)を救ったと伝えられています。近年は種子も市販されており、家庭菜園で育てることもできます。「甘みがあっておいしい」といわれるのらぼう菜。一般社団法人日本伝統野菜推進協会編集協力のもと、食材としての特徴や栽培方法、来歴のほか、おすすめの食べ方やアレンジレシピのアイデアも紹介します。

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のらぼう菜はどのような野菜?

ザルにのせたのらぼう菜

のらぼう菜はアブラナ科アブラナ属の花茎野菜でセイヨウアブラナの一系統。ナバナ(菜の花)の仲間で、トウ立ちした花茎を摘んで食用とします。主に埼玉県(西部の比企地区)、神奈川県(川崎市北部、小田原市)、東京都(西多摩地方)で生産されている地域伝統野菜です。古くは鎌倉時代に神奈川県の川崎市多摩区菅地区で栽培され、江戸時代初期には東京都西多摩地方でもすでに栽培が始まっていたとして「江戸東京野菜」にも登録されています。

ほのかな甘みと柔らかな食感が特徴

茎葉類の中では比較的糖度が高く、ナバナ類に特有の苦みやえぐみがありません。ほのかな甘みと柔らかな食感が特徴の食べやすい野菜です。特に開花前のつぼみをつけたのらぼう菜の春の花茎(トウ)は、数あるナバナ類の中でも抜群においしいといわれています。

旬の時期は春

のらぼう菜は秋に種をまき、露地栽培では2月~4月までが収穫期です。近年はハウス栽培も行われ、より早い時期に収穫されることもあります。耐寒力が強く、寒地ではアントシアニンで茎が赤く発色する株もあります。

主な栄養成分とその効能

他のナバナ類と同様にビタミンA(カロテン)、ビタミンCに富み、ビタミンB群、葉酸のほか、鉄、カルシウムなどのミネラルも多く含んでいます。ビタミン・ミネラル豊富な緑黄色野菜です。主な栄養成分の効能は下記の通りです。

ビタミンA

食品中のカロテンから体内で合成されます。主要成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を保護・発育させる働きがあり、網膜にドロプシンを生成するためにも必要で薄暗いところでの視力の調節を助けます。また、細菌に対する抵抗力を増進させる作用もあります。

ビタミンC

細胞内の呼吸作用に欠かせない栄養素です。コラーゲンの生成を促して細胞間の結合組織を強くする働きがあります。病原菌やウイルスに対する抵抗力を高めるほか、抗酸化作用があります。

葉酸

核酸の合成やアミノ酸の代謝に作用します。赤血球の生産に必要で、貧血を改善させる効果が期待されています。受胎前後の摂取により胎児の神経管閉鎖障害の発症が低減されることから妊娠中は積極的に取ることが推奨されています。

カルシウム

体内に最も多く存在するミネラルで、骨・歯などの硬組織を作ります。血液の凝固作用に関わり、心筋や筋肉の収縮作用を促進します。カルシウムの利用・吸収の効率を助けるビタミンDとあわせて摂取するといいでしょう。

体内では主に赤血球のヘモグロビンの構成成分として含まれ、酸素の運搬に重要な役割を果たしています。また、筋肉中に酸素を蓄えるミオグロビンの構成成分でもあり、血中の酸素を細胞に取り入れ、酸素の活性化や栄養素の燃焼に役立っています。

のらぼう菜の基本的な育て方

のらぼう菜の種

寒さに強く丈夫なので家庭菜園で育てやすく、プランターや鉢植えでも栽培できます。畑は植え付け2週間前に石灰を入れて耕し、1週間前に堆肥(たいひ)と元肥を入れて準備をします。プランター栽培には野菜用の培養土を使います。

種まき

害虫がいなくなる9月~10月ごろに種をまきます。筋まきの場合は、土壌に深さ1センチほどの浅い溝を作り、1センチ間隔で種をまきます。筋と筋の間は10センチほどあけ、種をまき終わったら2~3ミリほど薄く土をかぶせ、たっぷりと水やりをします。点まきや鉢植え、育苗ポットを使う場合は、1カ所に3~4粒の種をまきます。発芽するまでは、こまめに水やりをします。芽が出たあとも土が乾いてきたら水やりをします。

間引き

4~5日で発芽するので、双葉がそろったら1回目の間引きをします。本葉が3~4枚になったら2回目の間引きをします。最終的に株間を40~50センチあけるようにします。間引き菜は食べることができます。

追肥

2回目の間引きが終わったら追肥をします。その1カ月後に2回目を行います。3回目の追肥は2月下旬~3月上旬に与えます。

収穫

収穫期は2月~4月。主茎が20~25センチにトウ立ちし、つぼみが出てきたら先端から10センチほどの花茎の部分を、手でポキッと折って収穫(摘心)します。頂花蕾(ちょうからい)を収穫すると、脇芽が次々と出てくるので、順次、伸びた花茎・側枝を収穫します。花が咲くと茎が硬くなるのでつぼみのうちに収穫しましょう。

のらぼう菜を育てる時に注意したい病害虫と対策

のらぼう菜には、アブラムシのほか、アブラナ科の葉を食害するコナガ、アオムシなどが発生する恐れがあります。また、アブラナ科の植物に発生しやすい白さび病にも注意が必要です。

アブラムシ

春から秋にかけて発生します。窒素分の多い肥料を与えすぎると、葉にアミノ酸が多くなり、それを好物とするアブラムシが寄ってきます。風通しの悪いところに発生しやすいので、株間を空け日当たりのよい場所で育てましょう。

コナガ

蛾の幼虫で主に春から秋にかけて発生し、アブラナ科の野菜を好んで食害します。対策は植え付け後に防虫ネットで保護し、卵や幼虫を見つけたら取り除きます。キク科やセリ科の植物の匂いを嫌うので、近くにレタス・春菊(キク科)、ニンジン・パクチー・セロリ(セリ科)の野菜を植えると寄りつきにくくなります。

白さび病

糸状菌による伝染病で葉の裏面に白い斑点が出ます。春と秋、低温多雨で被害が多くなります。酸性の土壌を好むので発生したら石灰をまいて中和させ、発病した株は抜き取って処分します。

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のらぼう菜の食べ方

一般的なナバナ類と同様に、ゆでておひたしやあえ物、煮物、汁物、炒め物など、さまざまな調理方法でおいしく楽しめます。

生のままでもおいしい

苦みやえぐみがなく柔らかいので、生のままサラダとしても食べられます。葉の部分はベビーリーフのように使え、柑橘系やごまなど、どんなドレッシングもよく合います。

のらのう菜の生サラダ

下ゆでして色と食味アップ

アク抜きは必要ありませんが、下ゆでをすると色が鮮やかになり、食味がさらによくなります。さまざまな料理に使いやすくなることも利点です。

下ゆでしたのらのう菜

沸騰したたっぷりの湯に、塩(1リットルに対して小さじ1が目安)を入れ、のらぼう菜を茎から先に浸します。茎は1分半から2分半、葉の部分はさっとゆでます。好みの硬さにゆで上がったら冷水に取り、水気を絞ります。

のらぼう菜の選び方

のらぼう菜は鮮度が命。葉先まで張りがあり、みずみずしいものを選びましょう。また、茎が太くなるとすじが残った食感になるので、太すぎないものを選ぶこともポイントです。茎が赤いものは寒さでアントシアニンが増しています(火を通すと緑色になります)。保存は、湿らせた新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて、冷蔵庫に立てて2〜3日。

赤茎のらぼう菜全体

のらぼう菜をおいしく食べるレシピ5選

柔らかく甘みがあってクセがないので、和洋中のさまざまな料理の食材として、主菜、副菜、ときにはスイーツにも使えます。ここでは、ゆでる・炒める手軽な調理でおいしくいただけるレシピを紹介します。

のらぼう菜のおひたし

のらぼう菜のおひたし

下ゆでしたのらぼう菜を4~5センチ幅に切り、器に盛り、かつお節とだししょうゆをかけます。トッピングは白すりごまや焼のりも合います。

のらぼう菜の白あえ

のラボう菜の白和え

水を切った豆腐を手でちぎってボウルに入れ、下ゆでしたのらぼう菜を2~3センチ幅に切り、白すりごま、白だし、砂糖とともに加えて混ぜ合わせます。
下ゆでしたニンジンの細切りを加えると彩りがよくなります。

のらぼう菜と豚肉のオイスター炒め

のらぼう菜と豚肉のオイスター炒め

のらぼう菜は4~5センチ幅の食べやすい大きさに切ります。フライパンにごま油をひいて熱し、豚肉(こま切れ)を炒め、のらぼう菜を炒め合わせて、酒、みりん、しょうゆ、オイスターソースで味を絡めます。ごま油の香りと甘辛味でご飯が進みます。

のらぼう菜とツナのトマトパスタ

のらぼう菜とツナのトマトパスタ

のらぼう菜は5センチ幅に切ります。フライパンにオリーブオイルをひいて熱し、ニンニクで香りをつけ、のらぼう菜とツナ水煮を入れて中火で炒めます。しんなりしてきたらカットトマト缶、塩を加えてひと煮立ちさせ、ゆであがったパスタを入れて味を絡めます。
のらぼう菜は茎部分から先に炒めると硬さのムラがなくなります。

のらぼう菜の卵とじ丼

のらぼう菜の卵とじ丼

のらぼう菜はザク切りにします。フライパンにサラダ油をひいて熱し、ニンニクで香りをつけ、鶏肉(こま切れ)を炒め、のらぼう菜を炒め合わせ、白だし(3倍の量の水で希釈)、みりん、しょうゆを入れて煮詰めます。溶き卵を注いで混ぜ合わせ、炊きあがったご飯にのせていただきます。

のらぼう菜は育てやすく食べておいしい関東の伝統野菜

鎌倉・江戸時代から関東に根付いてきたのらぼう菜。地域の伝統野菜となっている東京・埼玉・神奈川では春野菜として親しまれています。茎と花蕾(からい)を食用とする西洋ナバナの一種ですが、甘みが強く柔らかい食感で、他の茎葉野菜とくらべて食べやすく、さまざまな料理の食材になります。

赤茎のらぼう菜

丈夫で育てやすいことも特徴の一つです。産地では固有種として種子が保存され、栽培技術はもちろん、生産者や市民によっておいしい食べ方や調理レシピも開発されています。長らく産地で地産地消されてきましたが、近年はそのおいしさから各地で栽培されるようになりました。目にしたら迷わず手に取り、食してみましょう。レシピサイトにたくさんの投稿があるので調理の参考にしてみてください。

編集協力:一般社団法人日本伝統野菜推進協会

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