出身もキャリアも様々な研修員。森師応募のきっかけは?
吉賀町の地域おこし協力隊(森師研修員)事業は2021年度からスタート。訪問日には就任4年目の渡辺隼人さん(尾道市出身)、3年目の今泉拓也さん(名古屋市出身)、2年目の西村崇士さん(周南市出身)が集合してくださいました。
尾道市で作業療法士として勤務していた渡辺さんは、ご家族で吉賀町に移住。この町を選んだ理由について、「夫婦で興味があった有機農業が40年以上前から盛んな地域だったことが大きいですね」と話します。タイミングよく地域おこし協力隊の募集があることを知り、「体を使う仕事をしたかったし、おもしろそう」という好奇心から一歩を踏み出したそうです。

隊員の渡辺さん。「子どもの学校行事などを通して、新しい知人・友人が増えました」
東京を拠点に10年以上、建築作業員やアクセサリー職人として働いてきた今泉さんは、「都会を離れたい」という思いで新たな職業をリサーチ。アウトドア好きなこともあり、自然の中で働ける林業に注目したそうです。そこで、生まれ月の「神無月(10月)」を「神在月」と呼ぶ文化に漠然と惹かれていた「島根県」×「林業」で検索したところ吉賀町がヒット。家賃全額補助、月16日出勤、装備品の提供など、福利厚生面の充実に魅力を感じて移住を決心したと言います。

隊員の今泉さん。「キャンプで得ていた非日常の感覚が、今では日常ですよ(笑)」
前職は国土交通省の職員、主に中国地方を転々としながら27年間勤務してきたのが西村さんです。河川の仕事に携わった経験から、清流「高津川」の源流域の環境保全にはもともと強い関心があり、一念発起して協力隊に応募。「森林管理の法制度や財政面の見直しが進んだことも、転職の気持ちを後押ししてくれました。年齢的にも最後のチャンスだと思いましたし、周南市に住む高齢の両親のもとに1時間余りで帰られるエリアというのも決め手になりました」

隊員の西村さん。「地域の祭りに行ったり民話を聞いたり、何もかもが新鮮な毎日です」
専門知識・技術は講習で習得。自己成長という喜びも!
全くの異業種から森師研修員としてスタートした3人。就任後は林業の基礎知識や機械の扱い方などの講習を受け、重機やチェーンソーの資格を取得。ポロ・ビーシーエス株式会社 森林部の講師による技術指導の研修も定期的に受けながら、実際に町所有の森林へ。

安全に効率よく作業するために、扱う機器の日々のメンテナンスは欠かせません
伐採・搬出のための道づくりを手始めに作業に慣れていったそうです。研修員の1日の仕事の流れは、8時半に事務所に集合。ミーティング・機器の点検後、森に移動して9時過ぎから16時半まで現場作業(休憩あり)。再び事務所に戻り、ミーティング・機器メンテナンス後、17時過ぎに終業です。

基本的に3人一緒に山に入り、協力しながら作業を進めます
慣れない仕事で大変そう…と思いきや、「作業内容が毎日違うから、全部おもしろいです」と渡辺さん。今泉さんも「段取りを手順ではなく理屈で理解してイメージ通りにできた時など、自分の成長を感じて嬉しいですね」と話します。例えば、1本の木を倒す時その方向を決めますが、重心の偏りや周りの木々との絡まりで予測通りにいかないことも。しかし経験を積むうちに、その時々のベストな方法が分かり、思い描いた通りに伐採できるようになるのだとか。それが技術の向上であり、結果的に作業効率のアップにもつながるのだそうです。
メリハリのある働き方で、心に余裕が生まれ体は健康的に
吉賀町に移住して、「ライフスタイルにもいろんな良い変化がありました」と口を揃えるみなさん。「子どもが起きているうちに帰宅できるようになったのが大きいです。家族との時間も、自分の自由な時間も持てるようになりました」と話すのは渡辺さんです。子育て面でも吉賀町のサポートは手厚く、高校卒業までの医療費全額助成、保育料・給食費など完全無料の制度に大いに助けられているそうです。
ご家族と離れて単身で移住している西村さんは、料理をはじめ家事全般をこなすようになったそう。「体を動かす機会が増え、生活リズムが安定して健康な体を取り戻しました」。今泉さんも「東京に住んでいた時より、かなり人間らしい生活を送れていますね」と言います。移住生活には近隣の方との付き合いが欠かせませんが、「町の人はみんな面倒見がいいんです。その善意をありがたく受け取って、協力し合う姿勢が大事です」と移住のアドバイスもしていただきました。
知識・技術を強みに、森林と関わる仕事を続けていきたい
地域おこし協力隊には任期がありますが、終了後もみなさん同様に森師の経験を生かした将来を思い描いています。渡辺さんの目標は、吉賀町で森の整備を続けながら、有機野菜の栽培や木材加工・販売の分野にも挑戦すること。今泉さんの夢は、「林業という仕事を暮らしに直結させつつ、いつか自分で切り出した木でギターを手作りすること」だそうです。一方、「高津川源流域の環境保全」への思いが強い西村さんは、吉賀町でのわさび栽培など、森林を守ることにつながるアプローチを多方面から模索中です。
知らない土地への移住や新たな仕事には不安がつきものですが、吉賀町の地域おこし協力隊(森師研修員)のサポート体制は万全。「自然の中で働きたい方や、体を動かすことが好きな方は大歓迎です。何でもご相談ください」と吉賀町役場の岩本翔さんも心強いメッセージを寄せてくださいました。

左から二番目が吉賀町産業課の岩本さん。「地元の森林資源活用のために、ぜひ力を貸してください」
募集要項・お問い合わせ先
項目 | 内容 |
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勤務日数、勤務時間、勤務日、休暇 | 勤務日数、勤務時間 標準の勤務日数は1か月あたり16日、勤務時間は1日あたり7時間45分とします。 勤務日 週4日を原則とし、同一週に最大5日の勤務となります。業務及び活動状況を考慮し、勤務日を設定します。 休暇 吉賀町会計年度任用職員の任用に関する規程によります。 |
募集対象 | ①3大都市圏をはじめとする都市地域等にお住まいで、吉賀町に住所を移し、居住できる方。(地域要件の詳細については、お問い合わせください) ②年齢は問いません。(ただし、事業の趣旨から、将来担い手となる方を優先します) ③普通自動車運転免許を取得している方。(AT限定免許は不可) ④パソコンの操作ができる方。(ワード、エクセルなど) ⑤積極的に関係者、地域住民と協力しながら活動に取り組める方。 ⑥任期終了後において、引続き吉賀町に定住し森林に関する生業に携わる意欲がある方。 |
業務の概要、配置先、募集人数 | 業務名 森師研修員吉賀の森を守り活用する匠集団 業務の概要 吉賀町の森林管理に関する業務 伐採、造材、搬出等の木材生産活動 森林資源の有効活用活動 その他林業に係る作業全般 個別要件 ・土日及び祝祭日や夜間の出勤に対応できる方 ・任期終了後、森林に関する生業に従事する意思のある方 配属先 吉賀町産業課(作業は町有林等の町管理森林内を基本とする。) 募集形態 令和6年度採用:順次、申込が可能 令和7年度採用:令和7年4月1日から勤務予定 募集人数 令和6年度採用予定人数:若干名 令和7年度採用予定人数:3名 |
報酬等 | 報酬及び社会保険等の条件は以下のとおりです。その他の条件は、吉賀町会計年度任用職員の任用に関する規程によります。
1.報酬日額11,000円(併せて通勤手当相当分の費用弁償があります。) |
〇お問い合わせ先
吉賀町産業課
〒699-5301 島根県鹿足郡吉賀町柿木500‐1
TEL:0856‐79‐2213
FAX:0856-79-2344
MAIL:sangyo@town.yoshika.lg.jp