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べと病の症状や原因は? 予防方法や作物ごとの対策を農家が解説

鮫島 理央

ライター:

べと病の症状や原因は? 予防方法や作物ごとの対策を農家が解説

梅雨時にたびたび発生するべと病。糸状菌というカビの仲間が原因で、ジメジメと湿った日が続くと発病しやすくなります。べと病になると葉が枯れるだけでなく、株の元気がなくなって全体が枯れてしまうといったことも。本記事ではべと病の発生する条件や、対処方法・予防方法まで詳しく解説していきます。おすすめの農薬も紹介しますので、べと病にお困りの方はぜひ本記事を参考にしてくださいね!

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べと病の主な症状や原因とは?

梅雨ごろから現れ始めるべと病は、何が原因で発生するのでしょうか。
発生原因や条件、症状について詳しく解説していきます。

主な症状

べと病にかかると、まず葉に淡黄色の斑点(病斑)ができます。症状が進むと病斑が大きくなり、葉全体に広がります。葉の色も、淡黄色から淡褐色、そして黄褐色に変わり、葉裏には灰色のカビが現れ、やがて枯れて落葉してしまいます。

べと病という名前の由来は、病気になった葉が雨でぬれると、ベトベトになることからつけられました。逆に晴れが続き空気が乾燥すると、パリパリに乾いた状態になります。

原因や発生する条件

べと病は、糸状菌というカビによって引き起こされる病気のことで、湿度の高い環境を好みます。

4月~7月・9月~10月の湿度が高く温暖な時期に発生しやすく、特に梅雨の時期に多く見られ、風や雨によってカビが周囲の株に付着することで、感染が広がります。
一方で高温は苦手で、真夏には発生が落ち着きます。

発生しやすい作物の例

べと病が発生しやすい作物は幅広いですが、家庭菜園でもよく栽培するものとして、以下の作物が挙げられます。


キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、ゴーヤ、キャベツ、ダイコン、カブ、ハクサイ、ブロッコリー、コマツナ、ネギ、タマネギ、シュンギク、ホウレンソウ

べと病の菌は人体に影響ない

べと病の原因菌であるカビは、人体に影響はありません。
感染初期であれば、形の悪い部分を除けば食べることができます。

べと病の基本的な防除法

べと病の防除では、さまざまな方法や考え方を織り交ぜて行うことが大切です。
ここでは、基本的な防除法について四つ解説します。

適切な薬剤を使用する

べと病は薬剤耐性菌が発生しやすい病気なので、複数の薬剤をローテーションして散布すると効果的です。

べと病が発生してからではなく、予防薬として散布することで、病気の発生を抑えることができます。

発症した部分を取る

べと病は雨風によって土から跳ね返った水などが、株に付着することで感染します。特に下側の葉から発病しやすいので、よく観察してみましょう。べと病の症状が現れていたら、すぐに取り除き、混み合っている茎葉は剪定(せんてい)しておきましょう。

土壌消毒する

同じ場所で同じ作物を育てる連作を続けていると、べと病が発生しやすくなります。連作を避けるのが基本ですが、どうしても連作を避けられない場合は土壌消毒を行いましょう。

土壌消毒は、太陽熱を利用した太陽熱消毒、農薬を利用した消毒など、さまざまなやり方があります。

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多湿を避ける

べと病は湿った環境を好みます。風や雨、跳ね返った水によって病気が広がるので、密植を避け株間を取ること、混み合った茎葉を整理することが大切です。
また圃場の排水性を高め、土壌中の余計な水分がしっかり外に流れるような状態を作ることも大切です。

べと病の予防と対策を野菜別で解説

べと病の予防方法と対策について、野菜ごとに解説していきます。
なお基本的な考え方である、密植を避ける、風通しを良くする、排水を良くするなどは変わりません。

タマネギ

タマネギのべと病は、ペロノスポラ デストラクターという糸状菌が原因で発生します。この菌は土壌や植物の残骸の中で10年以上も生き続けることができます。べと病は日照が少なく雨が多い年や、排水が悪い畑で特に発生しやすくなります。予防策として、過湿を避け、排水が悪い畑では高畝栽培を行い、健康な苗を使用することが重要です。

ホウレンソウ

ホウレンソウべと病は、ペロノスポラ エフサという糸状菌が原因です。この菌は葉の組織で繁殖し、被害を受けた株で越冬します。気温が上昇すると菌は空気中に飛散し、空気伝染や種子伝染を引き起こします。対策としては、健全な種子や消毒済みの種子を使用し、周年栽培を行う場合は土壌消毒を行います。また、農薬散布や抵抗性品種への利用も効果的です。

バジル

バジルべと病は2014年に日本国内で初めて確認されました。葉が黄色くなり、葉裏にカビが発生し、症状が進むと葉裏全体が黒から灰白色のカビに覆われ、枯れてしまいます。対策としては、密植を避けて風通しと排水を良くし、施設栽培では換気と除湿を行います。農薬を使用して防除し、発病した株は圃場外に持ち出して処分します。

べと病の治療や防除に効果的な農薬5選

べと病は治療が難しく、農薬を使ってしっかり防除することが大切です。
ここでは、べと病防除に効果的な農薬を五つ紹介します。

ゾーベック™エニベル顆粒水和剤

ゾーベック™エニベルは、2種の有効成分の働きで、従来の薬剤に対して感受性の低下したべと病にも有効です。
浸透移行性があり、散布後についた新しい葉にも効果が広がります。また耐雨性と残効性もあり、長い間べと病の予防ができます。

ピシロックフロアブル

ピシロックフロアブルは、タマネギのほか、キャベツやレタス、ハクサイ、ブロッコリー、トマト、キュウリ、ナスなど幅広い作物のべと病防除に使うことのできる薬剤です。
収穫前日まで使用でき、高い予防効果を持ちながら、潜伏感染防除の効果もあります。
新規系統のテトラゾリルオキシム系殺菌剤で、既存の殺菌剤耐性菌に対しても有効です。

ダニコール1000

ダコニール1000は、70種類以上の作物、180種類の病害に効果のある薬剤です。
さまざまな病気に効果があるため、一つの薬剤で同時防除ができます。また強い耐雨性があるため、散布後に雨が降っても効果が発揮されます。
さらに、天敵昆虫や有用昆虫に影響が少ないため、防除のローテーション剤の一つとしても便利に使えます。

アミスターフロアブル

アミスターフロアブルは、シメジの一種である食用キノコから発見された天然生理活性物質(ストロビルリン類)に由来する殺菌剤です。食用キノコ由来なので安全性が高く、耐雨性と浸透移行性があり予防効果の高い薬剤です。
タマネギやネギ、エダマメやキュウリ、ブロッコリー、バジルなど幅広い作物で使用できます。

サンボルドー

サンボルドーは天然成分の塩基性塩化銅を主成分としていて、べと病のほか、もち病や褐色腐敗病、斑点細菌病などに有効です。
効果の持続時間が長いほか、天然成分由来なのでオーガニック栽培でも使用できる農薬です。

べと病の起きづらい環境づくりが大切

雨が降り、ジメジメした日が続くと発生しやすいべと病。予防的に農薬を散布していたり、早期に対処できれば対応できる病気ですが、外に出にくく対処が遅れがちな梅雨時に発生するとかなり厄介な病気です。
べと病は糸状菌(カビ)が原因で起こる病気。食品に発生するカビと同じく、空気がよどんでいたり、湿度が高かったりする環境を好んで生息しています。条件がそろうと一気に広がってしまうこともあるので、株間をあけたり、排水性を高めたりと、しっかり予防を行いましょう。
本記事を参考にして、べと病の起きづらい環境づくりに挑戦してみてくださいね。

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