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「目を覚ませ!世界の農家たち」現役農家が本気で作詞新曲した歌が刺さる!

「目を覚ませ!世界の農家たち」現役農家が本気で作詞新曲した歌が刺さる!

「耕さない」農法として関心を集める不耕起栽培。環境負荷の低減やコスト抑制が期待される農法ですが、まだそれほど普及していません。そんな中、鳥取県のトゥリーアンドノーフ株式会社が不耕起栽培に挑戦し始めました。しかも「NO-TILL」(不耕起栽培)と冠したオリジナル楽曲を作り、そのミュージックビデオをブラジルのほ場で撮影するという本気ぶり。曲を通じて世界の農家に伝えたいこと、ストーリー性のあるミュージックビデオの裏側について聞きました。

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衝撃を受けた世界の農業

トゥリーアンドノーフが不耕起栽培に取り組み始めたのは2023年のこと。きっかけはアルゼンチンにあったといいます。
「グローバル・ファーマー・ネットワークという70近い国の農業者が参加するネットワークがありまして。そこでアルゼンチンの農場を視察したのが始まりでした」
と話すのは同社の代表取締役、徳本修一(とくもと・しゅういち)さん。

「視察先は、不耕起栽培の大豆ほ場。それまでも耳にはしていて『大規模農家の栽培方法』というイメージでいました。それが実際に目にして、話を聞くと、環境への配慮と同時に生産性も高いことに衝撃を受けましたね。南米ではほとんどの穀物が不耕起栽培だとも現場の関係者から聞きました。『農業はもっと環境負荷を下げ、生産性を高めていくべきだ』という世界共通のテーマの下で、(不耕起栽培が)注目されて広がっていることを知りました。そこで、日本の米作りでも不耕起栽培ができるのではないかと感じました」

不耕起栽培に取り組んだ実態

しかし、いざ不耕起栽培に取り組むにあたっては海外と日本では事情も異なりました。
「例えば、海外の大きな播種(はしゅ)機は日本では使えません。そこで日本の道路やほ場のサイズに合った機械のリサーチから始めました」
今も、自分たちに合う機械を見定めている段階と話す徳本さんですが、実はそれほど機械には依存しないのだそう。

カバークロップからの不耕起播種の様子

徳本さんによると、不耕起栽培では除草対策が重要とのこと。一例としてカバークロップを活用することで、雑草の発芽を抑制しつつ、土壌の水分を保持。除草対策には除草剤を活用します。

また同社ではマイコスDDSRと呼ばれるマイコス(菌根菌)資材を用いた乾田直播(じかまき)・節水灌漑(かんがい)で水稲栽培を始めています。これと不耕起栽培を組み合わせ、大幅な効率化に向けて試験中です。
「約120アールでテストしているところで、今年はおおむね順調ですね。2割くらいは、カバークロップの分解が予想より早くて苦戦していますが、除草剤の使い方によって今後は改善できると考えています」

不耕起播種した圃場の様子2

メリットが大きいように思われる不耕起栽培ですが、デメリットはないのでしょうか。
徳本さんは「収量や品質がまだ見えていないところでしょうか」と答えます。「ただ、圧倒的にコストが下がります。一定の品質のものが収穫できるようになれば、もっと農地を拡大できるし、経営上のメリットは非常に大きいと思います」

なぜ歌おうと思ったのか?

不耕起栽培に大きなメリットを感じている徳本さん。
その期待や農業への思いが、具体的な形で表現されたのがオリジナル楽曲「NO-TILL(ノーティル)」です。自身が作詞・作曲を行い、歌い、ミュージックビデオにも出演。YouTubeからは、広大な農地でフライングVタイプのギターを持って、力強く歌う徳本さんの姿が流れます。
「No-till farming is lifesaver. Make up! Sustain on the earth. We go green innovation, green revolution on the field.(不耕起農業が世界を救う 地球を持続させたいなら 緑の変革、緑の革命を現場で起こそう)」 という歌詞は、まさに徳本さんが楽曲を作り、発信する理由。土壌の劣化や農家の負担を改善させたいという思いが、徳本さんにはありました。

トゥリーアンドノーフのYouTubeチャンネルには熱いコメントが届いている

見どころ満載のミュージックビデオはこうして作られた

驚くのは動画の撮影地。鳥取のトゥリーアンドノーフの農地のほか、ブラジルのボツベラ・グループのCFOビセントさんの協力の下、マトグロッソ州にある同社の大豆畑で撮影されました。ブラジルで3万5000ヘクタール超という大規模農業を展開する同社 。撮影した大豆畑の広大さは、ミュージックビデオからも伝わることでしょう。

ミュージックビデオはトゥリーアンドノーフ株式会社の和多瀬彰(わたせ・あきら)さんが撮影・制作。
「疲れ果てた農家が倒れ落ちるが、目線を上げるとブラジルの不耕起栽培という“希望”が見えた」というストーリーです。

2024年2月、5日ほどかけて撮影したといいます。
「事前に細かく決め過ぎず、良い画を撮れるだけ撮りました」と振り返る和多瀬さん。ミュージックビデオで印象的な、徳本さんが田んぼに前のめりに倒れ込むシーンも、その場で「ちょっと倒れてみて下さい」と徳本さんにリクエストしたそう。「冷たかったですよ」と徳本さんは笑います。

お二人に見どころを聞きました。
徳本さんは、ブラジルの大規模な不耕起栽培の農場で、大きなトラクター(ニューホランドT9)の上に立って歌うシーン。「大規模なほ場でトラクターのてっぺんに立って、『俺についてこ~い!』と叫ぶように歌いました。何度見返しても気持ちいい!」(徳本さん)
和多瀬さんは、「全体を通じて『あんな所まで行ってミュージックビデオを撮って、バカなことやってるな~』と思いながら見て欲しいですね。次はどんなバカするんだろう、と期待して欲しいです。後日、番外編も作る予定なので、また違った角度からも楽しんで欲しいですね」と話します。

世界の農家に向けて

「世界の農家にインパクトを与えたい」と強く語る徳本さん。
徳本さんの楽曲や不耕起栽培への取り組みは、トゥリーアンドノーフのYouTubeチャンネルから視聴できます。
人口減少が進む日本でも、環境負荷の低減と生産性の向上が、農業の重要なテーマであることは間違いないでしょう。そこで新たな栽培方法に挑戦していくことは、成長を目指すという意味でも、リスクを避けるという意味でも重要です。「NO-TILL」はそんな、これから挑戦していきたい人への応援歌になることでしょう。

トゥリーアンドノーフのYouTubeチャンネル 「NO-TILL(ノーティル)」

(編集協力:三坂輝プロダクション)

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