ネギと特に相性の良い野菜・ハーブなど5選
ネギはヒガンバナ科ネギ属の多年草で、中国西部から中央アジアが原産地です。日本に伝えられたのは奈良時代といわれており、日本人の食卓でも古くから親しまれていきた野菜の一つです。
関東で好まれる根深ネギ(白ネギ)と関西で好まれる葉ネギ(青ネギ)に大別され、青ネギを若いうちに収穫したものが小ネギと呼ばれることもあります。
根深ネギは名前の通り根が深く、白い部分を土の中で育てるため、深さのある畑が必要です。一方で青ネギはプランター栽培も容易で、比較的育てやすいため家庭菜園でも人気です。
ネギは基本的には冬が旬のため寒さには強い一方、ほとんどの品種が暑さに弱いので注意してください。ネギと特に相性の良いコンパニオンプランツには、下記の5種類があります。
ニンジン
セリ科ニンジン属のニンジンは、ネギのコンパニオンプランツとしておすすめの野菜です。ニンジンはキアゲハの幼虫やアブラムシが付きやすい傾向がありますが、ネギの香りにはアブラムシを遠ざける効果があるため、ニンジンの害虫除けとして期待できます。一方で、ニンジンはネギを好むタネバエ・タマネギバエを寄せ付けにくくするため、お互いに良い影響をもたらし会うことができます。日照を取り合うこともないため、相性の良い組み合わせです。
ホウレンソウ
ホウレンソウがかかりやすい病気の一つが「萎凋(いちょう)病」。葉がしおれ、最終的には枯死してしまう病気で、土壌から感染する病原菌が原因となります。ネギとホウレンソウを一緒に植えることで、ネギの根に付く共生菌の働きでホウレンソウが萎凋病にかかりにくくなります。また、ネギの香りを嫌う害虫を寄せ付けにくくする効果も期待できます。
キュウリ
ウリ科の一年草であるキュウリも、ネギとの相性が良い野菜です。ウリハムシがネギの強い香りを嫌う他、ネギの根の共生菌の働きにより、キュウリに多い「つる割れ病」を防ぐ効果が期待できます。
共生菌の恩恵を受けるためには、ネギとキュウリの根が触れる程度の近い距離で植えるのがおすすめです。足元に広がるネギとつる性で垂直に伸びるキュウリは空間の取り方が異なるため、混植しても日当たりや風通しには問題ありません。
ゴーヤ
キュウリと同じウリ科の野菜では、ツルレイシ属のゴーヤとネギを混植するのもおすすめです。それぞれの根の共生菌が互いの老廃物を分解し合うことで根の働きが活性化されるため、どちらも生育が促進されます。また、ネギの香りがゴーヤの葉を狙うウリハムシを寄せ付けにくくする効果も期待できます。前項でご紹介したキュウリと同様に、近い距離で植え付けましょう。
トマト
ナスやトマトなどのナス科の野菜は、立ち枯れ病・青枯病に悩まされがちです。これらの病気は土壌中の病原菌が原因となるため、ネギと一緒に植えることによってネギの共生菌が病原菌の働きを抑える効果が期待できます。また、病原菌は土壌が過湿状態の場合に活性化しやすくなります。排水が適切に行われ水はけが良い状態を保てるよう、土壌を整えてください。
相性の良い組み合わせと効果一覧表
ネギと一緒に植えることで、生長の促進や病害虫の予防、株元の保護などの効果が期待できるコンパニオンプランツ。一覧表でまとめて紹介します。
コンパニオン プランツ |
分類 | 成長促進 | 病害虫の予防 | 株元の保護 |
---|---|---|---|---|
ニンジン | セリ科 | ○ | ○ | |
ホウレンソウ | アカザ亜科 | ○ | ○ | |
キュウリ | ウリ科 | ○ | ||
ゴーヤ | ウリ科 | ○ | ○ | |
トマト | ナス科 | ○ |
混植に適さない野菜
アブラナ科の野菜はネギとの相性があまり良くありません。キャベツや白菜などはネギと一緒に植えると結球不良を起こして葉が広がってしまう可能性があります。キク科のレタスも同じ傾向があります。
また、エダマメや大豆などマメ科の作物にも注意が必要です。ネギ類がマメ科の根粒菌の働きを阻害し、マメの生育が悪くなってしまうことがあります。
相性のあまり良くない作物にもネギの害虫忌避効果を取り入れたい場合は、根が干渉しないよう混植せず、どちらかをプランターや鉢植えにして近くに置く方法もあります。
前作・後作に植えたい野菜・NGな野菜
ネギは比較的連作障害が少ない作物として知られていますが、全く起きないわけではありません。連作障害を避けるためには、輪作を取り入れてネギの後に一度別の野菜を作ってみるのも効果的です。ネギとの輪作には、ジャガイモやトマトなどのナス科、ブロッコリーなどアブラナ科の野菜が適しているとされます。
また、コンパニオンプランツとして相性の良いニンジンやキュウリなどは、お互いの害虫を遠ざけてくれるため、ネギの後作にもおすすめです。
ネギのコンパニオンプランツを選ぶポイント
コンパニオンプランツを選ぶ際には、ネギの特性を知っておきましょう。ネギの特性を踏まえたうえで、相性の良い植物の中から自分が求める効果を得られるものを探してみてください。
やや乾燥した地域が原産地であるネギは、水はけの良い土地を好みます。畑で育てる場合は一定の降雨があれば水やりの必要がないほどです。充分な日当たりを確保し、風通しと水はけの良い状態を確保しましょう。暑さに強くないため、暑くてジメジメした環境には注意が必要です。
コンパニオンプランツを利用する際の注意点
コンパニオンプランツには多くのメリットがあり、家庭菜園などでも気軽に挑戦することができますが、利用するうえで注意すべき事項があります。前もって知っておきたい主な注意点として、下記の3つがあります。
注意点①農薬について
コンパニオンプランツを上手く取り入れることで、農薬の使用を減らすことも可能です。
とは言え、病害虫の予防効果があるコンパニオンプランツでも、農薬に比べると効き目が穏やかである、効果を発揮するまでに時間が掛かるなどの注意点があります。コンパニオンプランツと農薬の利点を生かし、うまく組み合わせて使用すると良いでしょう。
また、農薬にはそれぞれ使用できる作物や使用方法などが定められています。2つ以上の作物を一緒に育てる場合は、どちらにも使用可能な農薬を使う、あるいは対象の作物にだけ使うなど、規定に従って適切な利用を行ってください。
注意点②コンパニオンプランツの植え方について
コンパニオンプランツの植え方は、異なる種類の作物を一緒に植える「混植」が基本です。
ネギ類は比較的多くの作物と相性が良く、さまざまな作物にとって害虫を寄せ付けにくくする効果があり、混植しやすい野菜です。ただしネギ類は日当たりが確保され水はけが良い環境を好むため、過密になり過ぎないよう、適度な間隔を取って植えるようにしましょう。
注意点③コンパニオンプランツの効果について
コンパニオンプランツは、植えてすぐに効果が現れるわけではありません。化学肥料や農薬に比べて効き目が穏やかである点は理解しておきましょう。
また、コンパニオンプランツを植えてみたけれど、期待した効果が感じられない場合もあります。それぞれの作物の生育が良くない場合、思うような効果が得られない場合は、それぞれの植え方や日当たり、風通しに問題がないか、ネギとコンパニオンプランツの距離や位置を確認してください。ネギに適した水はけの良い土壌を作ることも大切です。
ネギの栽培にコンパニオンプランツを取り入れよう
薬剤の使用を減らし、病気の予防や虫除け、成長促進などさまざまな効果を得られるコンパニオンプランツ。種類によっては、プランターを使った手軽な家庭菜園でも取り入れることができます。ネギと相性の良いコンパニオンプランツを選んで、お互いに良い影響を与え合いながら2つの作物を育てる楽しみを体験してみてください。