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就農3年目の売り上げ予測は驚異の4.5億円。転換期となった、出荷組合での生産技術向上と販路拡大

就農3年目の売り上げ予測は驚異の4.5億円。転換期となった、出荷組合での生産技術向上と販路拡大

就農2年目に売上1.5億円をたたき出し、3年目となる今年の売上は4.5億円を見据えるなど、目覚ましいスピードで成長をする農業法人がある。長ネギと米を栽培する株式会社BRAVEだ。経営のかじを取るのは、35歳の若手農家。代表の山崎康浩(やまざき・やすひろ)さんに、急成長のきっかけやその方法について話を伺った。

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就農3年目にして売上4.5億円着地を見込む、新進気鋭の農業法人

茨城県石岡市(旧八郷地区)

茨城県石岡市旧八郷地区で長ネギと米を栽培する株式会社BRAVE。山崎さんが実家の農業を継いだ当時の年間売上は4000万円でしたが、法人化して迎えた就農2年目には1.5億円にまで拡大。3年目となる今年は4.5億円を売り上げる見込みだと言います。栽培面積も急拡大をしており、1年目に3.5ヘクタールだった畑は2年目に10ヘクタール、現在は20ヘクタールもの経営面積を誇ります。急成長を遂げた背景には、あるネギ農家との出会いがありました。

成長のきっかけになる有名ネギ農家との出会い

代々、長ネギと米を栽培する農家に生まれた山崎さん。長男ということもあり、幼い頃から家業を継ぐことを決めていたと言います。それでも、「農業について何も分からないまま就農しては、今後の事業成長は難しい」と考え、地元を管轄するJAやさとへ入組。この時に得た地域農家とのつながりが、後の事業拡大のキーポイントとなったと言います。

33歳の時にJAやさとを退職し、家業に入る形で就農。両親と一緒に長ネギを作り始めました。代々家族経営で農業を営んできた背景もあり、この時は法人化など頭にも無かったと言います。

状況が一転したのが、就農2年目に差し掛かったタイミングで訪れた、人生の転換期となる人物との出逢いでした。ねぎびとカンパニー株式会社代表の清水寅(しみず・つよし)さんです。

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この出会いをきっかけに葱出荷組合zeroのメンバーとして歩みを始めることとなり、事業拡大の転換期となったのです。

株式会社BRAVEの長ネギ畑

事業拡大の全貌

売り上げの約7割が出荷組合経由であるなど、株式会社BRAVEの成長には葱出荷組合zeroの存在が欠かせなかったと山崎さん。どのように事業成長に結びついたのか、詳しく話を伺いました。

葱出荷組合zeroで栽培技術の向上と売上拡大

同組織の最大の強みは、通年出荷を可能にしている点です。夏場の栽培技術を共有することで、国内の生産量が少なくなる春から夏にかけて収量を保ち、出荷を可能にしています。その結果、夏場だけでなく通年での販路を確保してきました。実際、多くの取引先が通年出荷できる体制に魅力を感じ、販路を拡大してきたと言います。

葱出荷組合zeroのパンフレット

同社では生産量の7割を葱出荷組合zeroへ、残る3割を農協へ出荷しています。同組合との取引は、全国の栽培状況によって相場が変動することの無い安定した契約単価であり、面積を拡大すればその分だけ買い取ってもらえるため、生産に集中することで売上を上げることが出来たと話します。

また、清水さんからの栽培指導や組合員との情報共有による長ネギ生産技術の向上も大きかったと振り返ります。これにより正品の比率が上がり、収量増にもつながったと言います。

現在は自社での生産が追いつかず、地域の農家から長ネギを集める役割も担っています。これにより、3.5ヘクタールで4000万円だった売上が、10ヘクタールで1.5億円。20ヘクタールで4.5億円を見込むと、面積と売上が比例せずに伸びている要因になります。

>出荷組合zeroの詳細はこちら

農協時代の人脈を生かし面積を拡大

栽培面積を広げるに当たっては、前職のJAでの勤務経験や、そこで得た人脈も大きかったと山崎さんは振り返ります。

自社の畑や事務所間を移動していると多くの使っていない畑が目に付きます。生まれ故郷であり、農協職員だった時代に多くの人とつながっていたことから、その地域で誰に聞けば土地の情報を教えてもらえるか、また、土地の所有者とつなげてもらえるかが分かる状況だったと言います。

そのため、面積の確保においても苦労せずに一気に栽培面積を増やすことができました。今でも、常に移動をしながら良さそうな畑を探していると言います。

畑で話を聞かせてくれる山崎さん

法人化で社会的信用を上げ、銀行からの借り入れを増やす

法人化の背景には、清水さんに夢を見させて貰ったことや売上が上がったことなどさまざまな要因がありますが、一番は会社としての成長スピードを上げる目的がありました。

事業拡大に伴って増えていく、雇う従業員が増えたことでの人件費や生産者からの仕入れに対する支払い、機械の導入費用。現在のスピード感を保つためには借り入れをする必要がありました。しかし、個人農家では必要な分の資金を借りることができなかったと言います。

そこで、社会的信用を上げ借入額を増やすために法人化に乗り出しました。ただ、法人化によって借入額は増えたものの、設立から間もないこともあり、年間の決算が出ていないので満足いく金額では無かったと言います。

それでも、事業を成長させるために銀行に行って担当者と今ではなく将来の話をしたり、投資家から資金提供を検討したりして行動をしているそうです。

地域の農地を守る存在に

「これまで長ネギを出荷組合として取り扱ってきましたが、今後はzeroとして米にも力を入れていきたいと話をしています。現在の栽培面積は3ヘクタールほどですが、石岡市でも高齢化の影響で必ず水田が空いてくるので、株式会社BRAVEが地域の農地を守る役割を担えればと考えています」(山崎さん)

取材時の山崎さん

長ネギで成長してきた同社が次に見据えるのが米。その根底にあるのが、個人ではなく組織での販路の構築と情報共有、そして地域に根ざし地域を存続させるという強い意志です。この3つが基盤としてある限り、成長に終わりはないのではないでしょうか。

今後も若手農家である山崎さんと若手農家集団である葱出荷組合zeroの動向から目が離せません。

取材協力

株式会社BRAVE

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