千葉県内の2強が並ぶ、香取・海匝地域の農業
千葉県の農業産出額は4,029億円で全国第4位(令和5年度)。前年度比9.6%増加と、上位の都道府県の中で断トツの伸び率を示しています。その千葉県で第1位の農業産出額を叩き出している市町村が県東部の旭市で、全国でもトップ10に入ります。
旭市は千葉市から50km圏内、都心から80km圏内で、太平洋に面した温暖な地域です。両隣の匝瑳市(そうさし)・銚子市と共に海匝(かいそう)地域と呼ばれています。肥沃な平地と丘陵からなる北総台地が広がり、東総用水などの大規模事業により農業用水が潤沢に供給され、米、野菜、花き、養豚、養鶏など、バラエティに富んだ農業が行われています。
さらにその北側には農業産出額で県内2位の香取市が広がっています。農業における千葉の2強を含む一帯は香取・海匝地域と呼ばれ、首都圏の食を支える主要な農業地帯を形成しています。
香取・海匝地域は、その温暖な気候から早場米の産地として知られていますが、近年はその広く平らな土地を利用した施設栽培が盛んです。トマト、キュウリ、花きなどの高収益作物を生産する農業経営者も多く、年商5,000万円から2億円規模の経営体も少なくありません。これらの農業経営者のほとんどが代々続く農家の子弟。農業法人化や大胆な設備投資で規模を拡大し今日の発展を築きました。
今、その農業経営者の多くは50代になり、次の世代へより良い状態で経営を引き継ぐことを考え始めています。しかし、経営を維持・拡大したいこのタイミングで、人手不足は大きな課題です。同世代で同様の課題を抱えた農業経営者らは、出荷先の農協などでの交流から生産部会の枠を超え、人材の確保や定着について意見を交わしてきました。
労働環境を整え情報発信、担い手を地域に呼び込む
香取・海匝地域の農業法人や大規模経営者は、首都圏に多様な農畜産物を供給するとともに、地域の雇用を担う存在でもありました。
施設栽培は作物の収穫期が長いことに加え、米やサツマイモなどとの露地・施設の複合経営で通年雇用が可能で、ハウス内での仕事であることや労働時間の融通も比較的利きやすいため、地域の主婦層を中心にパートタイムでの働き口としても好条件です。
しかし、近年は地域の労働人口の構図が変わってきています。香取市から15kmには成田空港があり、その周辺に地域産業が集積しています。農業の主要な働き手である女性や若手が他産業へ流出し、農業分野での人材確保を困難なものにしています。特定技能研修生を雇用して労働力を確保していますが、昨今の人手不足で他産業も含めて取り合いの状況です。
そこで、法人を含む施設栽培の大規模経営者ら20経営体が、人材獲得に向けて「香取・海匝労働環境づくり協議会」を発足させました。トマト施設栽培の50代の経営者を会長に、同世代の農業経営者らが、地域の女性および若者のIUターン就農を後押ししようと具体的な施策を打ち出しました。
まずは、雇用就労者が働きやすい環境を整えることです。労働環境や待遇・福利厚生を他産業と同等レベルにするために、社労士との個別相談を始めました。次に、採用の窓口となる各経営体のウェブサイトを構築し、就労希望者がアクセスしやすい環境を整えます。こうして、協議会の20経営体が足並みをそろえて労務改善に取り組み、求人情報を発信することで、地域に担い手・働き手を呼び込む作戦です。
技術と安定収入が得られる雇用就農、採用情報は新作ウェブサイトをチェック
雇用就農を希望する人にとって、農業が盛んでさまざまな農産物が生産されている千葉の香取・海匝地域は魅力的なエリアです。法人や大規模経営体で仕事をしながら、将来の独立を目指すことも選択肢のひとつ。実践的な農業技術や知識を学ぶことができ、農業の現場で必要なスキルや知識を習得することもできます。
大規模経営体かつ施設と露地の複合経営で、通年で働ける環境があることは収入の安定にもつながり、正社員で働けば社会保険などの福利厚生も受けられます。必要な資格取得をサポートしているところもあります。雇用実績のある経営体が多く、従業員寮や借り上げの社宅を用意しているところもあるので、Iターンでも住居に困ることはないでしょう。
パート社員として働くのであれば、大規模経営体ではある程度の人数が確保されているので労働時間の融通が利きやすいこともメリットです。施設栽培は天候に左右されにくいハウス内作業がメインであり、野菜を育てる喜びや達成感が得られます。
社労士への労務相談によって、各経営体がより良い就労条件を整えようとしていることも見逃せません。こうした情報が各経営体のウェブサイトで近日公開されるので、農業の仕事に興味のある人は必見。ぜひ香取・海匝地域での雇用就農を検討してみてください。
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