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農福連携の成功の秘訣とは ノウフク・アワード2024グランプリの事例を紐解く

農福連携の成功の秘訣とは ノウフク・アワード2024グランプリの事例を紐解く

農福連携は、農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取り組みです。さらに、高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者の就労・社会参画支援や、犯罪をした者等の立ち直り支援にも広がっています。今回は、農福連携の優良事例として「ノウフク・アワード2024」のグランプリに選ばれた株式会社菜々屋(徳島県)と一般社団法人STEP UP(宮崎県)の皆さんに、農福連携の取り組みについて伺いました。

「ノウフク・アワード」とは?

ノウフク・アワードは、全国で農福連携に取り組む団体等を募集し、農福連携の優れた取組として表彰することで、農福連携の国民運動としての機運を高め、全国的な展開につなげることを目的としています。

令和2年度に初開催し、「みんなで耕そう!」をスローガンに、「人を耕す」「地域を耕す」「未来を耕す」の観点から優れた取組を表彰するもので、これまでの5年間で、のべ109件(44都道府県)が受賞しています。

アイキャッチ_ノウフクアワード シンボルマーク

ノウフク・アワード2024では、障害者の農業生産・加工・販売での活躍、観光や輸出等との連携による工賃向上、地域の高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者、犯罪をした者等の農業を通じた社会参画、林福連携、水福連携等の、農福連携等を通じた地域共生社会の実現につながる多様な事例が受賞しました。

今回グランプリを受賞した株式会社菜々屋(徳島県)と一般社団法人STEP UP(宮崎県)は、それぞれ母体は農業法人、社会福祉法人とスタートの違う2団体です。独自の取り組みにはどのような背景が隠されているのかを探りました!

グランプリ受賞①株式会社菜々屋(徳島県)の取り組み

株式会社菜々屋は徳島県徳島市にある農業法人です。「カネイファーム」「情熱カンパニー」「武澤農園」「リバーファーム」という、徳島県でも大型の農業法人4社が協力し、2012年に徳島県産農産物の卸売サービスを行う法人として設立されました。

取締役の矢野さんは、
「今まで各々の小さな窓口だったが故にお客さんのニーズに対応しきれなかったことが、菜々屋という大きな窓口が一つできたことで流通がスムーズになり、販路拡大にも成功を収めることができました。その後、繁忙期の作業を請け負う農作業支援サービス、新規就農者や若手農業者への指導やコンサルティングを行う農業経営サポートサービス等、事業が広がっていく中で課題となったのが、人員確保の問題です」と、農福連携に取り組むきっかけを話します。そしてその人手不足解決の突破口となったのが、支援学校の生徒の受け入れでした。

代表を務める松原さんは、
「思った以上に人が集まらず困っていました。そんなタイミングでちょうど、支援学校側から生徒受け入れの相談があったんです。受け入れた障害者の人たちは、こちらが想定していた以上に活躍してくれました。農業と福祉の架け橋にもなれるし、これはいける!と思いましたね」と当時、確かな手応えを感じたそうです。

2015年には障害者のための就業機会の提供、訓練・支援を行う就労継続支援A型事業所「チーム情熱」を設立し、その後も「チームリバー」「チームカネイ」「チームあわ」と事業所を開所。収穫やパック詰め作業の受託業務、農産物の販売ボランティア、またコンバインによる収穫作業等、障害者の技術取得支援も積極的に行い、これまで施設利用者41名が農業法人、JA等に一般就労にしています。

「徳島は少量多品目で旬の時期もさまざま、人手が欲しい時期も違います。年中どこかで何かしらの作業が発生するので、年間スケジュールを組んで農福連携が円滑に実施できる仕組みを作りました。成功した大きなポイントとしては、農作業を細分化したこと。障害特性に合った仕事配置ができ、作業の効率化を図ることができました。圧倒的に変わったのは『時間』ですよ」と話す矢野さん。

シール貼り、仕分け、袋詰めや軽作業等の簡単な仕事を抽出して割り振ることで、農家の人はより高度な畑仕事に集中することができます。それぞれが特性を活かしてスキルアップしていくことで作業効率も上がり、収益増加につながりました。

矢野さん、松原さんのお二人は、
「自分たちがやってきたことに自信はありましたが、まさかグランプリ受賞とは思ってなかったので(笑)。評価いただけたことは嬉しいですね。隣接している県からも問い合わせがあったりして、受賞の反響は大きいです。こうした農福連携のネットワークが広がっていってくれるといいですね」。

グランプリ受賞②一般社団法人STEP UP(宮崎県)の取り組み

菜々屋とともにグランプリを受賞したのは、宮崎市を拠点とする一般社団法人STEP UPです。元々、就労継続支援A型の飲食店を経営しており、収益化を目指して新たな取り組みを探っていた時、農福連携に可能性を感じて、宮崎名産のズッキーニ栽培からスタートしました。現在では農地面積は70aから450aに拡大し、障害者だけでなく矯正施設出所者の受け入れも行っています。

代表の堀川さんは、
「ここまで成長できたのは、農業の方に福祉への理解、歩み寄りを行っていただいたからですね。当然、ズッキーニの栽培方法は農家の方から指導や説明を受けますが、最初は簡単なことでも理解や判断ができない場合が多くありました。例えば、この時期に雑草を抜くんだよと教えられても、それが雑草なのか分からず、間違って苗を抜いてしまうことも。苗は育たないし収穫も上がらないし、最初の1年目は大失敗でした」と苦労を教えてくれました。

この問題を解決すべく、堀川さんはまず農家の方に、より細かい説明や指導を依頼。障害特性のある施設利用者の立場を理解してもらうことに努めました。また堀川さんを始めとした運営スタッフが最初に説明を受け、それを棚卸して利用者に指導する流れも作りました。現在では栽培品目も増え、認定農業者となるとともに、袋詰めや加工等の受託農作業も広がり、地域に貢献しています。

「できないことを追い詰めず、できることを伸ばしていくことが大切です。STEP UPは元々、利用者やその家族、そこで働く人たちすべての人たちの幸せな居場所づくりを第一に考えて歩んできました。就労継続支援施設から共同生活援助・自立準備ホームの設立、矯正施設出所者の受け入れ、放課後等デイサービスの設立及び同利用児の農園体験まで全て、誰もが輝ける居場所を作りたいとの想いからスタートしています。それぞれの特性に合わせて農作業を割り振ることで作業効率も上がり、農家の方にも喜んでいただき、さらに利用者は成功体験を味わうことができます」。

また作業内容や工程については、利用者自身に主体的に考えたり選んでもらうことで、責任を持って作業に取り組んでもらえるとのこと。利用者の出勤率も格段に上がったそうです。就労から生活まで、どんな人も取りこぼさず、自立への選択肢を広げる取り組みが評価されたSTEP UPの事例にも多くの関心が寄せられ、全国から視察団が訪れています。

「今度、北海道庁にて講師を担当しに行きます!行政からの相談も増えているので、少しでもヒントを渡せたら嬉しいですね」と堀川さんは語ってくれました。

成功の秘訣は「歩み寄り」と「細分化」

農業法人、社会福祉法人と別分野からノウフクに取り組んだ両団体の成功の裏には共通点がありました。それは、農業、福祉それぞれの「歩み寄り」と、農作業の「細分化」です。菜々屋の矢野さんは、もはや専門家を育てる時代ではない、と話します。

「仕事を人に合わせる時代だと思います。農家の高齢化や担い手不足が深刻化する中、福祉と連携した多様な人材の活用は大きな活路ですが、お互いが歩み寄らなければ上手く行きません。どちらかが教える、教えてもらう、の関係ではなく、伴走型を目指すべきです。そのためには、農作業を細分化し、適材適所に人材を配置するという新たな仕組みづくりが肝になりますね」。

またSTEP UPの堀川さんも、
「農業と福祉の考え方にギャップは必ずあると思います。しかしそのギャップを埋めて歩み寄らなければ、誰も幸せになりません。高齢の農家の方の知識は素晴らしいものがあるので、それを活かして何かできないか等、地域や自治体とも協力して仕組みづくりを行っていきたいですね」。

ノウフク・アワード2024のグランプリ2団体の事例を通じて見えてきた成功ポイントは、日本の農業を存続させていく上で大きなヒントとなるでしょう。今後も農福連携に取り組む活動が広がっていくことに期待大です!

取材協力

株式会社菜々屋
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一般社団法人STEP UP
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ノウフク・アワードに関するお問い合わせ先

農福連携等応援コンソーシアム事務局 一般社団法人日本基金
HPはこちら
お問い合わせフォームはこちら

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