IoTでのトマト生産を追求してきたアグリマインド
山梨県北杜市でトマトのハウス栽培を行うアグリマインド。同社が生産を行う明野町は“日照時間 日本一”の地域としても知られています。
2006年創業の同社の特徴は、IoTを駆使したスマート農業にあります。「セミクローズド温室」で、換気や二酸化炭素濃度などをシステムによって制御。同時に蓄積したデータも活用し、適切な生育環境を追求。
これらにより生産量の安定化や、農薬の低減を実現。大玉トマトを10アール当たり75トン生産したこともあるなど、高収量を実現しています。
さらに8時間労働・土日休みも可能として、働きやすさにもつながっているそう。持続的な経営環境を構築しています。
そんな同社がこのたびグループインしたのが、OICグループです。
「世界へ日本のおいしい(OIC、オイシー)ものを届けたい」
OICグループは国内外に115店舗(2025年3月現在)展開する「食生活♥♥ロピア」など、生産や製造、貿易・卸、小売、外食まで幅広い事業を展開しています。
各事業を組み合わせることでシナジーを生み、食による「おいしい」「たのしい」「うれしい」体験を通じて「食のテーマパーク」の実現を目指しています。
アグリマインドが、OICグループの「世界へ日本のおいしい(OIC、オイシー)ものを届けたい」という目標に一致したことから、今回の参画へとつながりました。
これによりOICグループのグループ会社は、全35社となっています。2031年度にはグループ会社100社、国内外合わせて売上高2兆円とすることを目標に掲げています。
両社のシナジーにより事業推進を加速
アグリマインドが強みとするトマトに関する高い専門性や安定的な生産は、OICグループに対してトマトの持続可能な供給をもたらすことが考えられます。
またこれにより、商品開発力の強化、6次産業化、海外展開も見据えた事業展開が期待されるといいます。
特にアグリマインドのノウハウにより、海外にもIoTを活用したスマート農場を作ったり、農業生産システムのコンサルティングビジネスを広げるなど、多角的な事業展開を検討しているといいます。
OICグループの取締役である浜野仁志(はまの・ひとし)さんは、次のように期待します。
「セミクローズド温室で安定的な供給ができるアグリマインドがグループインすることで、青果の持続可能な安定供給が可能となり、OICグループが目指す『食品総合流通業』に、より近づいたと思います。今後の店舗拡大で、青果物の確保が難しくなっていくことが予想されますが、首都圏に近い山梨県にあるということが大変魅力的でした。海外への展開時に『日本産の高品質でおいしい(OIC)商品を届ける』夢を一緒に追いかけたいと思います。」
「食のサプライチェーンの持続可能なモデル」実現に向け
アグリマインドの代表取締役の藤巻公史(ふじまき・こうし)さんは次のようにコメントしました。
「アグリマインドは、トマトの分野で日本トップクラスの生産量を誇りますが、国内のマーケットが狭まっている中で、販路を広げたいと考えておりました。OICグループの『食』を通じた事業の可能性を感じ、またOICグループの『食』を通じたフィールドで海外でも挑戦できることに魅力を感じグループインしました。」
両社は今回の取り組みを「食のサプライチェーンの持続可能なモデル」を実現する事業と位置付けます。食のサプライチェーンの中で、生産から小売まで、さまざまな機能を持つOICグループに安定的な生産ノウハウを持つアグリマインドが参画することで、両社の強みが発揮されると考えられます。
(編集協力:三坂輝)