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持続可能な援農の仕組みとは? 参加者アンケートからわかった3つのポイント「ファンづくり」「参加者同士の交流」「リアルイベント」

持続可能な援農の仕組みとは? 参加者アンケートからわかった3つのポイント「ファンづくり」「参加者同士の交流」「リアルイベント」

関西地方は、都市と地方の農村部がわずか1.5時間ほどで行き来できるという全国的に珍しい地域。この地域性を活かし、「関西の食と農を支える未来へ」をテーマに2024年11月に和歌山県紀の川市でスタートした農業労働力確保支援事業は、地域体験ツアーとして都市から農村に人を送り込むという、労働力確保の新しいケースです。それぞれの分野のプロフェッショナルが集まり、高い事業生産性や将来性を感じさせるプロジェクトとなったこの事業について、株式会社CASEの二瓶さん、一般財団法人アジア太平洋研究所の足利さん、壁谷さん、藤井の里くらぶの児玉さんにお話を伺いました。

食と農でつなぐ関西のコミュニティモデル構築を目指す

今回のプロジェクトは、アジア太平洋研究所の足利さんが、CASEの二瓶さんに出会ったことで本格的に動き出します。
「アジア太平洋研究所は、関西の持続的な発展に焦点をあてて、アジア太平洋地域までを対象にした研究所として設立されました。私たちが、食と農でつなぐ関西のコミュニティモデルの構築に関して一緒に取り組んでくれそうな人を探していた際に、共通の知人を通じて二瓶さんに出会いました」と、足利さん。

一方、二瓶さんは空き家の活用事業を行う株式会社CASEから地域活性企業人として、2022年に紀の川市にやってきました。空き家の活用に絡め、地元の農産物を提供するカフェの運営やマルシェなどのイベントも開催。地域のさまざまな課題と向き合う中で、多くの地元生産者の人たちと関わってきました。

「共通の知人がツアー企画などを行っている人だったため、足利さんも含めてディスカッションしていると、自然と地域体験ツアーのアイデアが出ましたね。まずは対象地域の農家の方へヒアリングし援農ニーズの実態調査を行うとともに、援農者の確保に関しては、知人が携わっていた株式会社SAGOJOが提供する「旅×仕事・地域体験援農ツアー」を活用することに。集まったツアー応募者の面談や受け入れ農家とのマッチング・調整業務、援農者の滞在先の確保などの業務は、私の方で行っていきました」

メンバー同士の交流も魅力。生産者側も労働力として手応えあり!

6泊7日に設定された援農ツアーの滞在先は、援農地区内の民泊施設を確保。定員8名程度の一棟貸しの宿ではツアー参加者たちの交流会も開かれ、和気あいあいとした雰囲気が好評だったそう。受け入れ先の農家「藤井の里くらぶ」のメンバーである児玉さんは、

「紀の川市は温暖な気候で、大阪からも2時間かからない地域です。有志農家11名が集まった藤井の里くらぶでは、フルーツや野菜、花など、1年中作物が収穫できます。今までは、決まった地元の援農者の方しか受け入れていなかったので、ツアー客の受け入れに最初は不安もありました。しかし、交流会のおかげで打ち解けることができましたし、徐々に慣れてくると、こんな難しい作業も大丈夫なんだ、と任せる仕事の塩梅もわかってきました。労働力として非常に助かったと感じています」と話します。

参加者は、みかんや柿の木の剪定やハウスレモンの収穫、仕分け作業などを体験。取材時に実際に援農に来ていた参加者の一人は、「みかんだけかと思っていたら、みかん以外にもたくさんの果物や野菜の作業を経験することができました。宿もきれいで快適で、メンバーとの交流も楽しいです」と話してくれました。また、普段は海外観光客相手にツアーコンダクターをやっているという他の参加者からは、「何気ない日本の農村での暮らしや農業体験は、外国人にもニーズがあると思う」との意見も。
参加者からの評価が高い理由の一つに、受け入れ時期が閑散期だったことがあるそうで、

「当初は10月から2月末までが受け入れ期間だったのですが、農水省への事業申請の関係で年末12月からのスタートになりました。慣れないプロジェクト初年度、結果的に閑散期スタートは交流の時間を多く取ることができて良かったです。ただ例年11月、12月のみかんの収穫時期に最も人手がいるので、今後はこの時期に多くの援農者を送り出せたらいいですね」と、二瓶さんは来期に向けて抱負を語ります。

大きく掲げたテーマは、地域の「ファン」を増やすこと

今回の取り組みには、「ファンづくり」という大きなテーマがあるといいます。二瓶さんは、オープンチャットなどを通じたコミュニティ形成やリアルイベントの開催、農作物のECサイトの立ち上げなど、都市と地方、消費者と生産者をつなぐさまざまな取り組みを行っています。

「SAGOJOの持つ会員に向けての情報発信や広告配信など、WEBを通じたファンづくりと同時に、生産者と消費者をつなぐリアルイベントにも力を入れました。一度大阪市内のお寺でもマルシェを開催したのですが、都心部だからこそ、普段目にすることの少ない新鮮な野菜や生産者の想いに価値を感じていただき、定期便で購入したいというお声をいただくほど好評でした。生産者の方も消費者の方と直に触れ合うことが、大きなモチベーションアップになると話していましたね」と二瓶さん。

今期参加した援農者34名にはツアー前後にアンケートを実施しており、今後はそのデータを活用して新たな課題に取り組んでいくといいます。アンケートの調査・分析を行った足利さんは、

「データを分析していくと、色々なことが見えてきました。例えば参加者の半分は関西からですが、残り半分はさまざまな地域から参加されています。関西以外の方は、移住先検討を目的としている方も多くおられたので、そのあたりは今後のプログラムづくりの参考にしていきたいです」

現在は来期に向けて新たな費用負担のツアープログラムを検証中で、援農者と生産者のマッチングやデータベース化も進めています。仕組みを整備すれば、もっと多くの方に来ていただき、労働力として活用することができるはず、と二瓶さんは言います。

「最短2日のライトなプランから、14日間の賃金ありのプランまで、援農者のタイプ別に3つのプランを考えています。将来的にはコアな援農リピーターを獲得していきたいですね。自己資金で来てくれるくらいのファンを作るのが目標です。そのためには、生産者や援農者をはじめ、さまざまな方が多様な形でかかわることが必要だと思うので、コミュニティづくりは今後も力を入れていきたいです」

取材中も二瓶さんや児玉さんをはじめ、新たなアイデアや意見が次々に出てきており、それぞれの道のプロフェッショナルがスピード感を持って事業を進めていったことが伝わりました。アイデアだけでなく、データから緻密に導き出された援農ツアープランは、都市と地方の農業を結ぶ新たな形として今後、横展開も大いに期待されます。

【取材協力】
一般財団法人アジア太平洋研究所
株式会社CASE
藤井の里くらぶ

【農業労働力確保支援事業に関するお問い合わせ】
株式会社マイファーム
農業労働力確保支援事務局

MAIL:roudouryoku@myfarm.co.jp
TEL:050-3333-9769

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