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島原レタス倶楽部の挑戦!「ターンオーバー」で高温期の定植作型のリスク分散を実現

島原レタス倶楽部の挑戦!「ターンオーバー」で高温期の定植作型のリスク分散を実現

長崎県島原半島に位置する島原レタス倶楽部が、最新品種「ターンオーバー」を導入し、高温期の定植作型でのリスク分散に成功しました。環境に配慮した栽培方法と機能性活性剤「GAXY(ギャクシー)」の使用で、品質向上と収穫期間の短縮を実現。篠塚和重さんの取り組みを、「ターンオーバー」の品種特性と合わせて詳しく紹介します。気候変動の影響で、年々レタス栽培が難しくなっていると感じている方に、ぜひご覧いただきたい内容です。

レタス「ターンオーバー」とは

第73回全日本野菜品種審査会一等特別賞を受賞。根腐病レース1、2および黒根病に複合耐病性を持ち、形状安定性の高い晩抽性品種です。

温度に敏感に反応するレタスは、気候変動の影響を受け、年々栽培しにくくなっています。レタスは、温度が高いほど生育が進みやすく、高温時期ほど取り遅れのリスクが高く、出荷不能になってしまうこともあります。 既存品種「ブルラッシュ」のような、耐雨性と形状の安定性を持ち、べと病の耐病性を加え、じっくり生育することで取り遅れのリスクを軽減できる品種を目指して育成を進めました。

特性

①形状安定性の高いサリナス系の晩抽性品種。
②根腐病レース1、 2および黒根病に複合耐病性を持つ。
③球色が濃緑でテリがある。
④切り口が小さく、変形球も少ない。
葉は肉厚でかぶりが深く、偏円形で箱詰めが容易である。
⑤べと病にも耐病性がある。
※べと病のレースによっては発病する場合があります。

切り口が小さく、尻の形状が安定している「ターンオーバー」

左の従来品種に対し、右の「ターンオーバー」は、偏円形なので箱詰めがしやすい

島原レタス倶楽部導入事例

長崎県 島原レタス倶楽部概要 (2024年度)

◆生産品目:玉レタス、リーフレタス、キャベツ、ジャガイモ
◆部会員数: 8名の正規メンバー、5~6軒の協力農家
◆栽培面積:玉レタス8ha、レタス全体で約15ha
◆出荷先:関西、関東を中心に出荷
◆出荷期間: 12月から3月までの約4カ月

産地概要と「ターンオーバー」の評価

産地概要

島原半島は長崎県南東部に位置し、雲仙普賢岳を中心とした丘陵地帯と有明海および橘湾の海岸沿いの平野部から成り立っています。温暖な気候と肥沃な土壌を持ち、特に南串地区では段々畑を利用したレタス栽培が盛んです。当地では、露地栽培が主流で、冬場には被覆資材を使用して寒さを防ぎます。島原レタス倶楽部では、環境に配慮し、カキ殻石灰やアミノ酸有機質肥料などをふんだんに使い、レタスなどの作物が育ちやすい土づくりを行って栽培しています。

「ターンオーバー」の評価

「『ターンオーバー』を栽培してみて、高温期の定植作型でのリスク分散が可能になりました。従来作付けしていた『ブルラッシュ』と同様に、水分要求量は多いのが体感ですが、定植時期から定期的な灌水を実施すれば、青果物として間違いのない品質です。また、在圃性も高いので、結球緊度に多少ゆとりのある収穫体系の構築も可能になりました。消費者の皆さんにも喜んでいただけていると思います。」と、篠塚さん。

島原レタス倶楽部 篠塚和重(しのづかかずしげ)さん

機能性バイオスティミュラント(BS)剤「GAXY」の使用実感

今回、島原レタス倶楽部では、「ターンオーバー」の栽培に「GAXY」を葉面散布してみて、こんな効果を実感したといいます。

「『GAXY』を使用したことで、レタスの成長が促進され、収穫までの期間が短縮されました。また、『GAXY』を使用したレタスは品質が向上し、外葉の張りや色合いがよくなったように思います」

フランスのブルターニュ地方に自生する海藻を原料に抽出・調整した機能性活性剤です

今後の展望

「島原半島の温暖な気候と肥沃な土壌を活かし、適切な栽培方法を実践することで、高品質なレタスを安定して収穫できます。これからも私たちは、よりよい野菜を皆さまにお届けするために努力を続けます。どうぞご期待ください!」と力強く語ってくださいました。

レタス「ターンオーバー」栽培のポイント

圃場準備・土づくり

近年、盛夏期の異常高温、局所的な集中豪雨の被害など気候変動の影響を受け、レタス作りが非常に難しくなってきており、このような時だからこそ土づくりの重要性が増しています。改めて基本に立ち返り、連作の回避、堆肥の投入や状況に応じた土壌消毒など、土をしっかり作れているかが、環境変化への対応力向上につながります。

播種・育苗管理

高温期の育苗は、発芽不良や生育のふぞろいのリスクが高くなります。播種してから発芽するまでは、涼しい場所か資材などを利用して育苗場所が高温にならないように注意します。また風通しが悪い場所では、苗が徒長しやすくなるので、徒長を防ぐために循環機扇や扇風機などを利用して空気の循環を試みます。

定植・栽培管理

定植時の高温干ばつは、活着不良を招くことがあります。近年、マルチングの前に乾燥し過ぎていたために定植後の活着が遅れたり、定植後の灌水が不足したために生育がふぞろいになったりする事象が増えています。定植前にしっかり灌水してからマルチングをするなど、定植床に十分な水分を持たせた状態で定植をして、さらに、定植の時間帯や定植後の灌水にも気を付けます。特に高温期の定植時の灌水は活着を促進し、その後の結球までの生育まで関わってくるので積極的に行います。

病害虫防除

斑点細菌病、軟腐病、腐敗病、べと病は、従来品種と同様に早期から予防に努め、病害の侵入を防ぎます。

収穫

じっくり生育するタイプですが、適期を見極めて収穫します。

お問い合わせ
株式会社サカタのタネ 野菜統括部
〒224-0041
神奈川県横浜市都筑区仲町台2-7-1
TEL 045-945-8802

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