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5月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」で夏のきざしを楽しむ

sato tomoko

ライター:

5月が旬の果物は? 「走り」「盛り」「名残」で夏のきざしを楽しむ

5月になるとメロンや小玉スイカなど、水分を豊富に含んだ大型フルーツが本格的に出回り、沖縄からは南国フルーツのパイナップルも夏の気分を盛り上げてくれます。イチゴに代わってブルーベリーが店頭に並び始めるのもこの時期。このように農作物には旬があり、旬にはさらに「走り(はしり)」「盛り(さかり)」「名残(なごり)」の三つの時期があります。5月に出回るフルーツを味わい尽くすヒントをお届けします。

旬とは?

果物の旬とは、その果物の味が最も良い食べごろの時期で、栄養価も高くなります。収穫がピークを迎え、スーパーや直売所などに出回る量も多くなるので安い価格で、おいしく栄養価の高い状態の果物を手に入れることができます。また、貯蔵されて食べごろを迎えた果物も、その時期が旬と言えるでしょう。

5月が旬の果物をカット

旬の走りの果物は、みずみずしくフレッシュな味わいを生かして生食や水分を生かした調理法がおすすめです。盛りはベストタイミングさまざまな食べ方で楽しめます。名残の果物は味が凝縮され水分が少なめなので加熱調理に向いています。

5月が「走り」の果物

5月が走りの果物

初夏の訪れを告げる果物が店頭に並び始めます。ブルーベリー、サクランボ、パイナップルをいち早く味わってみませんか。食べ方や調理例をご紹介します。

ブルーベリー

ツツジ科スノキ属の落葉低木とその果実で、熟した果実が色素のアントシアニンで青色に色付くことからブルーベリーと呼ばれます。
国内では1980年代から栽培が始まり、主な産地は茨城、千葉、長野など。近年ではブルーベリー狩り農園も増え、イチゴのシーズンと入れ替わるように6月頃から秋口までオープンしています。

栄養

ビタミンCと食物繊維が多く、目の健康に良いとされるアントシアニンを豊富に含んでいます。

食べ方

そのまま生食する他、ヨーグルトなどのトッピング、ジャムやジュース、洋菓子に利用します。

選び方

新鮮なブルーベリーは果皮にブルームと呼ばれる白い粉が着いています。果皮にハリがあり、色が濃く鮮やかなものを選びましょう。

保存方法

日持ちは2~3日程度と短いので、すぐに食べ切れない場合は、冷凍用保存袋に入れて冷凍保存します。

調理例

ブルーベリー入りグリーンサラダ、ブルーベリーとトマトのカプレーゼ風、ブルーベリーとカッテージチーズのカナッペ

サクランボ

バラ科サクラ属の落葉高木とその果実で、桜桃(おうとう)とも呼ばれます。代表的な初夏の味覚で、紅さやかなどの早生品種が出回り始めます。日本へは明治初期に導入され、山形県で盛んに栽培されています。

栄養

微量ながら各種ビタミンとミネラル、リンゴ酸、クエン酸、ブドウ糖、果糖がバランス良く含まれています。

食べ方

概ね生食しますが、酸味が強い酸果(サワーチェリー)はジャム、ジュース、シロップ漬け、洋菓子などに利用します。

選び方

新鮮なサクランボは皮にツヤとハリがあります。

保存方法

冷蔵に弱いため風通しの良い冷暗所に置き、早めに食べましょう。冷やしたい場合は食べる1~2時間前に冷蔵庫へ入れます。

調理例

サクランボと柑橘のフルーツサラダ、サクランボとブルーベリーのヨーグルトボウル、サクランボと生ハムのピンチョス

パイナップル

アナナス科アナナス属の多年草とその実で、熱帯アメリカが原産です。その名称は、松ぼっくり(パイン)に似た果物(アップル)に由来し、「パインアップル」とも呼ばれています。1830年頃に日本へ伝わり、亜熱帯の沖縄などで栽培されるようになりました。
ちぎって食べられるスナックパインのボゴット(品種:ボゴール)、果肉が乳白色のピーチパイン(品種:ソフトタッチ)などの早生品種が出回ります。輸入品ではフィリピン産の他、完熟収穫の台湾パインが定着しています。

栄養

ビタミンA、B群、C、食物繊維などの栄養成分が含まれ、特にビタミンCが豊富。タンパク質分解酵素が含まれているので肉料理との組み合わせに最適です。

食べ方

生食の他、肉料理の付け合わせ、シロップ漬け、ドライフルーツに利用します。葉と底を切り落として皮をむき、次に芯を切り取り、食べやすい大きさにカットします。スナックパインは、底をカットして一節ずつ手でちぎって食べます。

選び方

葉が濃い緑色で、皮にハリとツヤがあるものが新鮮です。

保存方法

丸ごとであれば新聞紙に包んで、カットしたものはラップに包んで冷蔵庫で保存します。

調理例

パイナップルのハーブマリネ、パイナップルと鶏の串焼き、パイナップルとチーズのホットトースト

5月が「盛り」の果物

5月が盛りの果物

初夏の陽気に包まれる5月は、ビワ、小玉スイカ、メロンが食べ頃を迎えます。旬ならではのみずみずしい甘さを楽しんで。食べ方や調理例をご紹介します。

ビワ

バラ科ビワ属の常緑樹で、初夏を告げる果実です。原産地は日本と中国で、江戸時代に中国から伝わった品種を元に栽培が本格化しました。
茂木と田中が代表的な品種です。茂木は果汁が多くて酸味が弱く、田中は果肉が緻密で甘みが強いのが特徴。長崎県、千葉県が主な産地です。

栄養

カロテンを豊富に含み、マンガンやマグネシウムなどのミネラルも含んでいます。葉はタンニンやビタミン様物質を含み、昔から生薬として利用されてきました。

食べ方

生食がほとんどですが、ジャムやゼリーなどに利用することもあります。皮は、お尻側に切れ目を入れると手できれいにむけます。

選び方

果皮にハリがありうぶ毛が密生しているものが新鮮です。

保存方法

常温で保存し、3~4日で食べ切りましょう。冷やす場合は、食べる2~3時間前に冷蔵庫に入れると良いでしょう。

調理例

ビワと柑橘のゼリー寄せ、ビワの冷製スープ、ビワとイチゴのフルーツサンド

小玉スイカ

夏の風物詩でもあるスイカは、ウリ科スイカ属の一年草で、アフリカ南部のカラハリ砂漠が原産地です。大玉種と小玉種があり、そのうちの小玉種である小玉スイカは5月中旬~8月頃が旬。
皮が薄いため可食部が多く、皮の際まで甘く、すっきりとした後味が特徴です。主な産地は、熊本県、茨城県などです。

栄養

スイカはその90%以上が水分です。水分補給とともに、利尿作用や体を冷やす効果があります。カロテン、カリウム、リコピンを含んでいます。

食べ方

生食が最もおいしいですが、ジュースにもおすすめ。冷やすと甘みが増します。

選び方

果皮にハリとツヤのあるものが新鮮です。見た目よりも重いものを選ぶと、水分と糖分を多く含み、おいしく感じられる可能性が高いです。

保存方法

丸のままなら風通しの良い冷暗所で常温保存、カットしたものは切り口をラップで覆って冷蔵庫で保存します。

調理例

皮を器にしたフルーツポンチ、シャーベット、スイカとキュウリの甘酢和え

メロン

ウリ科キュウリ属のメロンは、古代ギリシャ・ローマ時代には祖先種が栽培されていたと考えられます。日本では明治初期に洋種メロンの栽培が始まりました。
果肉の色から「青肉」「赤肉」「白肉」の3種に分類され、皮に網目のあるものをネットメロンと呼びます。青肉系ネットメロンで温室栽培される「アールス」(マスクメロン)や、赤肉系ネットメロンの「クインシー」などが高級品種です。茨城県、熊本県、静岡県、千葉県などが主な産地です。

栄養

カリウムとビタミンCを比較的多く含み、赤肉系にはカロテンも含まれています。

食べ方

生食が最もおいしいですが、ジュースにもおすすめ。お尻の部分がやわらかくなったら食べ頃です。

選び方

つるが細く枯れているものが良質。青くみずみずしいものは未熟なので追熟が必要です。

保存方法

熟すまでは常温で保存し、食べる直前に冷やします。カットしたものは種とわたを取り除き、ラップをかけて冷蔵庫で保存します。

調理例

皮を器にしたメロンのグラニテ、カルパッチョ風サラダ、メロンと塩昆布の即席和え

5月が「名残」の果物

5月が名残の果物

5月は柑橘類やイチゴなど、冬から続いた果物が終盤を迎える時期。凝縮された味わいを生かして、これまでと違う食べ方にもトライしてみてはいかがでしょう。

晩柑類

春先に出回るミカン以外の柑橘類を晩柑類といいます。5月いっぱい楽しめるのは、デコポン(不知火)、甘夏、河内晩柑、清見、カラマンダリンなど。
名残の晩柑類は、樹上完熟したものや長期貯蔵されたものが多いため、酸味が抜けて甘みが増し、味が凝縮しています。晩柑類が終わると、ハウスミカンが出回り始めます。

栄養

ビタミンCが豊富で、カロテンやクエン酸も含まれています。袋や筋に含まれるビタミンPは、ビタミンCとともに働き、毛細血管を強化するとされています。

選び方

柑橘類は一般的に皮にハリとツヤがあり、ずっしりと重く、皮が浮いていないものが水分を多く含んでジューシーです。

食べ方

生食の他、ジュースやゼリーなどに利用します。皮は砂糖漬けやマーマレードに用いることができます。また、サラダなど塩味のある料理にも使えて重宝します。

保存方法

新聞紙に包んでポリ袋に入れ、風通しの良い冷暗所に置きます。気温が高くなってきたら冷蔵庫の野菜室に入れると良いでしょう。

調理例

晩柑のちらし寿司、晩柑と春キャベツのコールスロー、晩柑と白身魚のホイル焼き

イチゴ

バラ科オランダイチゴ属の多年草で、江戸時代にオランダ船によってもたらされました。
1960年代までは露地栽培が主で旬は5~6月でしたが、現在はハウス栽培が主で1月から5月上旬ごろまで出荷されます。イチゴ狩り園もゴールデンウィーク頃まで営業しているところが多いようです。

栄養

ビタミンC、葉酸、食物繊維が豊富で、名残の時期でも栄養成分は変わりません。

食べ方

名残のイチゴは完熟で店頭に並ぶことが多く、生食する他、ジャムの材料にも適しています。

選び方

全体的に鮮やかな赤色で、ヘタの緑色が濃く乾いていないものが良質です。

保存方法

洗わずにラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。冷凍保存する場合は、洗ってヘタと水気を取って冷凍用保存袋に入れましょう。

調理例

イチゴとブルーベリーのバルサミコマリネ、イチゴの天ぷら、完熟イチゴと甘酒のスムージー

初夏の果物は色とりどり

5月はブルーベリーやサクランボ、パイナップルなど初夏の果物が出始め、ビワや小玉スイカ、メロンが食べ頃を迎える季節です。晩柑類やイチゴなど春から続く果物は名残の甘さが魅力。「走り」と「名残」を組み合わせた旬の味わいもこの時期ならではです。
水分をたっぷり含んだ果物が多く、みずみずしさも格別。ストロベリー、ブルーベリー、サクランボなどベリー類がそろい、彩り豊かなデザートやサラダを楽しめるのもこの季節の醍醐味(だいごみ)です。季節の恵みをたっぷり味わい尽くしましょう。

5月の果物盛り合わせ三段

参考書籍
からだにおいしい野菜の便利帳(板木利隆監修|高橋書店発行)
草土花図鑑シリーズ4 花図鑑 野菜+果物(芦澤正和、内田正宏、小崎格監修|草土出版発行)
新食品成分表FOODS2023(新食品成分表編集委員会編|東京法令出版発行)

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