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水やり&洗いにも活躍! ドラム缶で作る雨水タンク【DIY的半農生活Vol.29】

和田 義弥

ライター:

連載企画:DIY的半農生活

水やり&洗いにも活躍! ドラム缶で作る雨水タンク【DIY的半農生活Vol.29】

茨城県筑波山のふもとでセルフビルドした住まいに暮らし、約3.5反(35アール)の田畑でコメや野菜を栽培するフリーライターの和田義弥(わだ・よしひろ)が、実践と経験をもとに教える自給自足的暮らしのノウハウ。今回は、ドラム缶を利用した雨水タンクの作り方を紹介。雨どいと接続することで、屋根に降った雨を効率的にためることができ、作物の水やりや農具を洗うのに活用できる。ドラム缶は廃品を利用してもいいし、ホームセンターでも手に入る。パッキンやシールテープ、コーキングで水漏れを防ぐのがポイント。10年以上使える実用性があり、鉄のドラム缶ならではの風合いも魅力だ。

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10年以上使った初代ドラム缶雨水タンク

10年以上前に作ったドラム缶の雨水タンクが水漏れするようになってしまった。底がさびて小さな穴が開いてしまったのだ。この雨水タンクは廃品業者からタダで譲ってもらったドラム缶を利用してDIYで作ったものだ。ドラム缶は元々食品が入っていたもので、雨水タンクとして衛生的に問題のないものだった。とはいえ、雨水をためて10年以上使っていると、塗装の剥げたところからさびが進んで穴が開いてしまったというわけだ。

10数年使ったドラム缶雨水タンク。さびた鉄の風合いは好きだが、進行して穴が開いてしまった

雨水タンクは家の雨どいとつながっていて、屋根に降った雨がドラム缶に流れ込む仕組みだ。傘が必要な程度の雨であれば、1〜2時間でいっぱいになる。ドラム缶の下部には水栓を取り付け、水道のように蛇口をひねれば水が出る。
たまった雨水は、育苗の水やりや鶏の飲み水、農具や野菜についた泥を落とすなど、水道水を使うほどでもない用途に活用している。子どもが小さかった頃は水遊びにもよく使っていた。たっぷり遊んでも水道代を気にしなくて済むのは助かる。底の穴はコーキングでふさげばもう少し使えそうだったが、全体的にさびが進んでいたため、この機会に作り直すことにした。

農具についた土を落とすときはタンクにためた雨水を利用

作り方の流れとポイント

材料のドラム缶だが、今回は廃品業者から衛生的なものを手に入れることができなかったため、ホームセンターで購入した。ふたが外せるオープンタイプで価格は約8000円。

ホームセンターで購入したオープンドラム缶。ネットでも入手できるが、大きな商品なので送料が高い

水栓はホームセンターで手に入る一般的なものを使用。本当はしゃれた真ちゅう製の水栓を付けたいのだが、ちょっとお高い。
水栓はドラム缶に穴を開けてタンク取付金具で固定する。ボルトとナットの2パーツになっており、ドラム缶を表裏から挟んで固定する仕組みだ。取り付けの際は隙間(すきま)からの水漏れを防ぐため、ゴムパッキンを挟み、さらに取り付け穴の周りにコーキング剤を塗っておけば完璧だ。水栓を取り付ける際はネジ部分にシールテープを巻く。
シールテープは配管のつなぎ目に使うテフロン製のシールで、凹凸面のあるネジ山にも密着して、隙間を防ぐ。

鉄のドラム缶に穴を開ける作業は、ドリルとジグソーで行う。ジグソーは曲線の切断にも対応した電動のこぎりの一種で、鉄板の切断も可能だ。
雨どいからの取水には、雨水タンク用の「取水器」を使用する。これもホームセンターやネットショップで手に入る。
ドラム缶を設置したときにふたの高さより低くなる位置で雨どいをカットし、そこに取水器を取り付ける。ドラム缶には取水用の穴をあけ、水道配管資材の水栓ソケットとバルブソケットを付け、ホースで雨どいの取水器とつなげばOKだ。

屋根から雨どいに流れた雨がドラム缶にたまる

取水器はオーバーフローを防ぐ構造になっており、ドラム缶のふたより低い位置に取り付ければ、それ以上の水はタンクに入らず、そのまま雨どいを通って流れるようになっている。そのためドラム缶の水があふれることはない。
雨水タンクは高さのある台の上に載せて使うと便利だ。今回は、これまで使っていた台をそのまま再利用。高さは40センチ以上あると使いやすい。200キロ以上の重量に耐えられれば、台はどんなものでも構わない。

ドラム缶雨水タンクの作り方

では、具体的な材料や作り方について紹介しよう。

材料

まず主役のドラム缶(200リットル)は、ふたが取り外せるオープンタイプを選ぶこと。水栓の取付金具や雨どいとつなぐソケットを内側から取り付けなくてはいけないからだ。それにふたが開いたほうが、何かと使い勝手もいい。
今回、その他に用意した材料は以下の通りである。いずれもホームセンターで入手しやすい一般的なサイズのものだが、材料をそろえる際は以下の点に注意。
➀ホース、④水栓ソケットおよびバルブソケットは➉取水器の口のサイズに合わせて選ぶ。
③ゴムパッキンは④水栓ソケットおよびバルブソケットの径に合ったものを選ぶ。
⑥ホースバンドはホースの外径に合わせて選ぶ。
⑦タンク取付金具は、水栓の呼び径に合ったものを選ぶ。

➀ホース(内径25ミリ、外径31ミリ、長さ30センチ)
②ゴムパッキン(タンク取付金具に付属のもの)※
③ゴムパッキン(バルブソケットのサイズに合ったもの)×2
④左:水栓ソケット、右:バルブソケット(呼び径20ミリ)
⑤コーキング剤
⑥ホースバンド ×2(ホースの外径に合ったもの)
⑦タンク取付金具(今回はSANEI H35-13を使用)
⑧シールテープ
⑨水栓(呼び径13ミリ)
➉取水器

※タンク取付金具に付属していない場合は、金具のサイズに合ったものを用意。

作り方

➀水栓の位置を決める

ドラム缶の底から5センチ程度上の位置に水栓を取り付ける穴の目印を付ける。タンク取付金具のボルト側のネジ部分をあてがい、現物合わせで穴の大きさを描く。

タンク取付金具。ボルト(左)とナット(右)で挟んで固定する構造になっている

②水栓を付ける穴を開ける

ドリルで直径5~10ミリほどの穴を開け、その穴にジグソーの刃を入れて水栓取り付け口を丸く切り抜く。

③タンク取付金具を付ける

このような構造でタンク取付金具を付ける

タンク取付金具のボルトにゴムパッキンを付け、ドラム缶の内側から挿入して外側からナットをはめて固定する。隙間ができないようにしっかり締める。

タンク取付金具の周囲にコーキング剤を塗って水漏れを防ぐ。

④取水口の穴を開ける

ドラム缶のふたから5~10センチ下に、取水口となるバルブソケットを取り付ける穴を開ける。タンク取付金具を付けたときと同様に現物合わせでネジ径に合ったサイズで印を付け、ドリルとジグソーで丸く切り抜く。

⑤バルブソケットを付ける

このような構造でバルブソケットを付ける

バルブソケットのネジ部分にゴムパッキンをはめ、ドラム缶の内側からねじ込む。外側にもゴムパッキンをはめて水栓ソケットのネジをきつく締める。

⑥水栓を付ける

水栓のネジ部分にシールテープを5~6周巻いてから、タンク取付金具に取り付ける。シールテープを巻く方向はネジを締める向きと同じ「時計回り」(ネジ部分を上に向けて見た場合)。逆に巻くと、水栓のネジを締めた際にテープが緩んでしまうので注意。

⑦雨どいとつなぐ

雨どいに付ける取水器は、ドラム缶の取水口より高く、ふたより低い位置にすること。台にドラム缶を載せ、取水口の高さを基準にして雨どいに印を付けてカットする。雨どいに取水器を取り付け、ドラム缶の水栓ソケットとホースでつなぐ。ホースバンドでしっかり固定したら完成。

雨水タンクは農業用のローリータンクやコンテナボックスなどを利用しても作ることができる。市販品を買えばDIYする必要もないし、ドラム缶のようにさびて穴が開く心配はない。ただ、そういうものは大抵プラスチック素材で、私はそれがどうにもなじめない。風景としてわが家の庭にマッチしないのだ。そこのところ、ちょっと手間がかかってもドラム缶で作るのが私のささやかなこだわりです。

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