農業の基礎から経営、資格取得まで、体系的に学べる豊富なカリキュラム

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「とやま農業未来カレッジ」は、富山県内の農業の担い手を育成することを目的に2015年に開校した研修機関で、富山県農林水産公社が運営しています。開校から10年間で巣立った卒業生は約150名。その内訳は近年、農家の子弟よりも非農家出身者や、これまでまったく農業に関係したことのない方が多数となっています。
卒業後の進路は、農業法人への就職や、親元を含む独立就農などさまざま。中には、法人で就農した後、数年後に独立就農の夢をかなえた人や、独立就農後に母校のカレッジから後輩を社員として受け入れるまで事業規模を拡大した人もいるのだとか。

とやま農業未来カレッジ 副校長・西村聡さん
同カレッジの副校長を務める西村聡さんによると、「今年度は、夫婦で入学した方や高校からの推薦を受けて入学した方もいます。入学対象者は、県内で就農を希望し、1年間の通学が可能な方。以前は卒業時点で50歳未満という条件でしたが、本年度の研修生から”概ね60歳未満の方”と拡大しています。今年度は22名が入学し、うち16名は農家以外の出身です。年齢は、18歳から58歳までと幅広く、それぞれが就農を目指して熱心に研修を行っています。」とのこと。
1年間の通年研修では、「座学講義」「作物実習」「農業機械演習」「特別研修」の大きく4つの柱で多彩なカリキュラムを用意しています。研修は年間1200時間以上にもおよび、座学講義では作物の栽培から生産・流通・販売に関する幅広い知識の習得、圃場での作物実習や、農家派遣実習では実践的な栽培技術の習得、県外視察研修では先進的な取り組みを学習。このほか、トラクターやドローンなどの運転操作と点検整備も実践で学び、さらには「農耕用大型特殊免許」「刈払機取扱作業者安全衛生教育」「農業簿記3級」など農業現場ですぐに役立つ資格の取得ができます。
「このように、同カレッジでは実際に農業を始めるときに必要なことを体系的に学ぶことができます。また、カレッジでは入学当初から関係機関との就農相談を頻繁に行い、研修生は各自の目標に向けて計画的に準備を進めることができるようサポートしています。さらに通年研修を修了した方を対象に、模擬経営により深く実践的に学べる『園芸経営実践コース』も始めました。」(西村聡副校長)
独立就農をシミュレーションできる新設の「園芸経営実践コース」とは?
同カレッジに新設された「園芸経営実践コース」は、将来、園芸作物で独立就農を目指す方に向けて、より実践的な学びを提供する1年間のコースです。栽培・出荷・販売の一連の流れを実習で学ぶ「模擬経営」を中心に、県内卸売市場や目標とする園芸農家での研修、卒業後の就農計画の作成、事業資金や用地などの具体的な就農準備も進めます。
模擬経営では、カレッジの圃場と実習用園芸ハウスを活用して、就農時の栽培予定作物について、資材の購入から、一連の栽培管理、出荷販売や経営管理を実践し、農家として自立するためのシミュレーションを行います。さらに座学では栽培技術だけでなく、労務管理やマーケティングなど経営者としての観点にたったノウハウを習得することができます。また、定員は5名ということもあり、手厚く体系的にサポートしてもらえるというメリットもあります。
▼特徴的なカリキュラム
①模擬経営 | 就農時の栽培予定作物を園芸ハウスや露地圃場で栽培(通年) 関係機関等と連携した栽培管理検討会(月3回程度) 先輩農業者のほ場見学(随時) |
②座学 | 栽培技術、労務管理、マーケティング、気象災害対策の学習 |
③流通システム研修 | 販売戦略を構築するための市場研修(年2回) |
④経営戦略研修 | 県内外の園芸専作農業者との意見交換(年3回程度) |
⑤就農準備 | 認定新規就農者に向けた青年等就農計画の作成、就農準備実習など |
⑥その他 | 公開講座(年2回)、農業経営塾等への随時参加 |
▼園芸経営実践コースの時間割のイメージ
[就学時間]9:00~16:20/[時間割]1日4時限・週5日
▼年間の主な行事
「園芸経営実践コース」1期生で、トマト栽培で独立就農を目指す松田拓巳さんにお話を伺いました。真新しいハウスの中で、トマトの脇芽摘みに汗を流していた松田さんは、まだ二十代半ばの若者。どのような経緯で「とやま農業未来カレッジ」に進学したのでしょうか。

「園芸経営実践コース」の研修生・松田拓巳さん
「カレッジに入る前は東京で学生生活を送っていました。学部は法学部で、大学進学の時には将来農業を選ぶとは考えていませんでした。夏休みに帰省した時に家庭菜園で農作業の楽しさに触れたことがきっかけで、就活して企業に勤めるよりも地元に帰って農業をやりたいと思うようになったんです。」
非農家出身の松田さんは、まずは農業の基礎知識と技術の習得が必須だと考え、「とやま農業未来カレッジ」への進学を決めました。
「1年目は農業を広く学ぶことができたので、とにかく楽しかったですね。特に印象に残っているのが農家派遣実習です。僕の場合は、農業を仕事にしたいと思った時からトマト農家になろうと決めていたのですが、研修先の先進農家さんがいずれもトマト農家だったので、とても勉強になりました。」


施設栽培をはじめ露地栽培についても学べる
しかし、非農家出身の松田さんにとって、これまでの人生とは全く別方向とも言える農業を選ぶことに不安はなかったのでしょうか。
「自分でやりたいと思ったことなので、特に不安はなかったです。カレッジで研修を受けるうちに、ここで頑張ればなんとかなるだろうと思えてきた部分もあります。とはいえ、1年目の通年研修だけですぐに独立就農できるわけではないので、さらに1年間、園芸経営実践コースで学ぶことに決めました。」
現在は、実習用園芸ハウス2棟でトマトとミニトマト、露地で白ネギを栽培しながら、その合間に県内卸売市場での研修や就農計画の作成などを進める大忙しの毎日。さらに、来春からの独立就農に向けて自ら園芸ハウスを建てるための農地取得の交渉にも動いてきました。
「最初は自分で交渉を始めたのですが、地元の人との繋がりが大事だと痛感しました。結局、カレッジの先生を通じて地域の方に顔をつないでもらい、どうにか54アールの用地取得の目処を立てることができました。将来は、トマトで大規模な農業をしていくことが目標ですが、園芸ハウスの準備が整うまでは、地元特産の”朝日スイカ”と白ネギの露地栽培を行う予定です。特産のスイカを育てることで地域を盛り上げていく一人になれたらと思います。そうして、就農2年目からは、主業となるトマト栽培も始まる計画です。農業経営を始めるのが待ち遠しいです。」
まずはオープンキャンパスへ!「とやま農業未来カレッジ」を勧める理由3選

関係機関との就農相談の様子
非農家でこれまで農業に関わったことのなかったの松田さんが、カレッジ入学後わずか1年余りでここまで具体的な夢を描けるようになったのには、理由があります。
「自分もそうでしたが、農業を始めたいけど始め方がわからない人はいると思います。そんな人には、とやま農業未来カレッジは体系的に学べるのが魅力だと思います。非農家で就農を目指すなら、最初はカレッジで学ぶのが良いですね」(松田さん)
「園芸経営実践コース」の開設によって、「とやま農業未来カレッジ」はさらに幅広い学びを提供できるようになりました。その中でも特徴的な点は3つです。
【理由1】農業に関わる知識・技術・資格を体系的に学べるカリキュラムが充実。
【理由2】独立就農を目指す方には、より深く、実践的に学べる「園芸経営実践コース」がある。
【理由3】地域の生産者や公的機関とのネットワークで就農を多方面からバックアップしてくれる。
いかがでしたか?カレッジの学びや農業についてもっと知りたい方は、ぜひオープンキャンパスに足を運んでみてください。
【オープンキャンパス概要】
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【オープンキャンパスのお申込み】
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【令和8年度通年研修生募集】
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