人材不足が叫ばれて久しい農業。その課題を前に進めるには、「人」との新しい接点が欠かせません
株式会社アグリメディアは2011年の創業以来、「農に関わる人を、より多く、より明るく」をビジョンに掲げ、社会と農をつなぐ取り組みを広げてきました。

同社は、貸農園事業「シェア畑」や都市の屋上を活用した「シェア畑garden」、収穫・里山体験、道の駅・直売所運営や飲食事業など、消費者が農に触れる入口を全国各地で用意してきました。
こうした多様なサービスは、作る人・買う人・学ぶ人の距離を近づけ、農に関わる動線そのものを太くする役割を果たしています。これらは地域の遊休地活用や都市部の暮らしの中での農との接点づくりにもつながり、興味を持つ層の裾野を着実に広げてきました。
その過程で見えてきたのが、生産現場における人材の課題です。単に人数が足りないだけではありません。求人に「届かない」、実務像が「わからない」、働き始めても「続きにくい」――採用の現場には、量・到達・解像度・定着という複数の摩擦が折り重なっています。
人手不足が日々の作業の遅れや規模拡大の断念につながり、結果として遊休地化や離農を招くケースも少なくありません。とりわけ担い手の世代交代や地域の労働力の偏在は、各現場に異なる形で現れており、一律の解決策では届きません。
同社は、事業者に限らず関連企業・自治体・学校との連携を広げ、産業全体で課題に向き合う土台を築いてきました。そのうえで「接点」を広義に捉え、求人の掲載だけでなく、知る→会う→確かめる→決めるという一連の導線をオンライン/対面の両面で拡張しています。
農業特化型求人情報サービス「あぐりナビ」を軸に、各地域での就業イベントやパートナーとの連携へと展開し、入口の数と質を同時に高めてきました。また、現場の声を起点に、情報の届き方や伝え方を見直すことで、求職者が具体的に一歩を踏み出しやすい環境づくりを進めています。重要なのは、単発の施策ではなく、採用における解決の選択肢を積み重ね、解決できる範囲そのものを広げていくこと。
「農業の人材不足は、一つのやり方だけでは解決しきれません。採用における解決できる範囲を広げ、多様な方法を用意することが欠かせない。だからこそ、新しい企画やサービスを増やし続けていきます」
そう話すのは、アグリメディアで「農業×人材」の新事業を考え、推進しているHR事業本部の部長・大塚智也(おおつかともや)さん。

株式会社アグリメディア 大塚智也さん
具体の取り組みや現場での工夫について、この後、現場に最も近い担当者が詳しく紹介します。

9月開催 「あぐりナビ就活FES.」
サービス開始から11年間で大きく成長した「あぐりナビ」。人材採用を窓口に、あらゆる農業の課題解決を目指す
あぐりナビには、北海道から沖縄まで、アルバイトやパート、新卒・中途採用と幅広い求人が掲載されており、農業求人掲載数では国内トップクラスを誇ります。サービス開始からの11年間で、あぐりナビを利用した雇用主・求職者の合計は延べ約18万ユーザー。現在は月間約2400アカウントの新規登録があり、この数は右肩上がりで増えているといいます。
「あぐりナビは、生産者を訪問し、しっかりお話しすることを大切にしています。お話を聴く中で、どんなことに困ってらっしゃるのか課題を見つけます。そして、その解決のために必要なのはどんな人材か、あぐりナビのどのサービスを活用すればどのようにしてその人材を確保できるのか、とことん考えて提案しています」
そう話すのは百瀬亨(ももせとおる)さん。

株式会社アグリメディア 百瀬亨さん
現在アグリメディアには、農業に特化したキャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーが約50名在籍しています。
だから、生産者に必要な人材をお繋ぎできる。そして、求職者の希望に適った農業求人をご案内できる。ミスマッチを生みにくい環境が整っている、と百瀬さん。また、あぐりナビのサービスを充実させる中で、会社として消費者向けだけでなく、生産者向けや企業・行政向けにアグリメディアの事業も大きく広がっていったといいます。
「生産者の抱える課題は様々。話を聞く中で、人材確保よりも優先すべき課題が設備投資や土地活用だとわかることもあります。その課題を私たちの力で解決したいと考え、事業がどんどん広がっていきました。現在では、生産者の課題に最適な方法を多種多様な方向性から提案できるようになっています」

その過程で、機器や資材といった農業関連企業や農業参入を検討している企業、行政・自治体との関係性も多く構築できました。あぐりナビは、そういった農業に関連する企業や自治体の求人も掲載しており、ユーザーは農業をキーワードに多種多様な業種・業務の求人を探し、比べることができます。
「シェア畑などのサービスを通して『農業に興味がある』という声は多く聞いていました。その声はどんどん大きくなっている。昨今は、就職活動であぐりナビを活用する方が増えていて、『正社員として』『一生の仕事として』農業を選択肢に考える人が増えていると感じます」
と話す大塚さんですが「それでもまだまだ学生や非農家の求職者にとって、接点の少ない農業は未知の産業。就業に不安を感じる人は多い」と言います。そこで、求職者と農業との接点を創ろう、と『あぐりナビ就活FES.』が復活したのです。
生産者はもちろん、関連企業や行政・自治体まで、農業のリアルな“仕事”を知ることができる貴重な機会「あぐりナビ就活FES.」
あぐりナビ就活FES.はコロナ禍で中断していましたが、今年約5年ぶりの復活を果たしました。2025年はすでに東京・大阪にて合計4回開催し、多くの参加者で賑わっているといいます。
「メインのターゲットは20~30代を中心とした若手の社会人や新卒で就活中の学生で、正社員として農業関連の企業に就職したい方です。出展するのは、農業法人をはじめ畜産業・農業関連の企業や自治体など。参加者は自由に各ブースを回って質疑応答したり、説明を聞いてもらえるほか、非農家から新規就農した先輩農家や自治体の研修事例紹介などのミニセミナーなどにも参加いただけます」
そう話すのは、百瀬さんと共にあぐりナビ就活FES.の企画を担当している宮部圭(みやべけい)さん。

株式会社アグリメディア 宮部圭さん
宮部さんは、異業種から「農業に関わりたい」と転職を決意。農業法人と農産物のEC事業の仕事を経て、アグリメディアに転職した経歴の持ち主です。
「私自身も『農業関連の仕事に就きたい』と思ったものの、情報収集はじめ転職活動にはかなり苦戦しました。なんとか自力で求人を見つけたものの、どんな仕事か詳細も分からないまま応募。まさに飛びこんだ、という感じで不安もありました。入社後に『農業ってこんな仕事なんだ』『栽培だけでなく営業や商品開発、在庫管理、直売所・EC運営など色んな業務があるんだ』と“農業”という言葉からは想像できていなかった多岐にわたる仕事内容に驚くことも多かった」
と話す宮部さん。

だからこそあぐりナビ就活FES.では、農業に関する不安や疑問を解消し、それぞれの会社での働き方や業務内容を知れるよう、企業の担当者と直接対話することを大切にしているそう。農業のリアルを感じられるあぐりナビ就活FES.は企業にも求職者にも満足度が高いといいます。また、農業関連の企業や行政・自治体の参加も多いのも魅力の一つだと大塚さん。
「農業を仕事にしたい方はもちろん、『農業って面白いのかな』とちょっと興味を持っているという方にもおすすめです。就活FES.に参加すれば、農業は製造や流通、食品などの企業や全国の自治体など、たくさんの業種・職種が関わって成り立っている産業だとわかってもらえる。『経営の知識が活かせる』『人材業界に興味があるけれど、その仕事もある』と気づくことがたくさんあるはずです」

あぐりナビ就活FES. 前回の様子
あぐりナビ就活FES.は農業をキーワードに、未来の選択肢を広げられるチャンス、と大塚さん。次回は2025年9月6日(土)に大阪、9月27日(土)は東京で開催予定。なかなか自分で作れない農業との接点を持てるチャンス。農業が気になっている方は参加してみてはいかがでしょう。
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