ブルーベリー栽培に将来性を見出す。貿易会社が開発したブルーベリー栽培システム

「食」を中心に世界と日本を結ぶオーシャン貿易株式会社 代表取締役会長 米田多智夫氏
「ブルーベリーバックカルチャーシステム」を開発したのは、京都に本社を構えるオーシャン貿易株式会社。水産物や畜産物、青果物などの輸入販売をはじめ、日本の鮮魚や種類などの輸出、生花の海外生産と輸入などを手掛けています。売り手、買い手、社会のすべてに良いものを提供するという企業理念「三方よし」で、事業を展開。商品開発に関しては、自社試験場で行うなど、常に生産現場の農家の立場に立って、きめ細やかな対応で新規就農者からの信頼も厚いのが特徴です。
従来、ブルーベリーは酸性の土壌でないと育ちにくいのですが、「バックカルチャーシステム」では水はけと保水性のバランスが良いアクアフォームを培地に、土壌に依存せずに栽培することができます。また、根の環境を最適に維持できるため、収穫量が安定するのも大きなメリットです。さらにコンピューターで灌水、施肥を制御するため、作業に手間がかからず、安定して良質な実ができることから、観光農園に向いているのも特徴です。日本ではまだまだブルーベリーの栽培は一般的ではありませんが、このシステムにより着実にブルーベリーを栽培する農家が増えています。
早期退職で農業に本格参戦。年齢的にブルーベリーが最適
名古屋市から車で約40分。いちごやぶどうの観光農園が点在し、自然豊かな知多半島南部。もともと鳥居さんのお父様がこの地域で米とみかん、キウイフルーツを作っていました。そのため鳥居さんは幼い頃から農作業の手伝いはしていましたが、大学卒業後は食品メーカーへ就職。新規事業の立ち上げなど、やりがいのある仕事を任され、あっという間に30年が過ぎていたといいます。ただ、このまま同じところにいては成長しない。何かを始めるなら今しかない!と、56歳で早期退職を決意。

ブルーベリーの里みはま・オーナーの鳥居哲典さん

鳥居さんは、集客も収益も見込めるいちご栽培も考えたといいますが、設備投資額が大きく、さらに年齢的に50歳以上の場合は補助金が受けられないため断念。オーシャン貿易の「ブルーベリーバックカルチャーシステム」の導入を決め、水田だった約3000㎡を埋め立てて1000本のブルーベリーの栽培を始めました。鳥居さんは早期退職する際に、次に何かを始める時は、“奥様と一緒に”と決めていたそうです。とはいえ、退職は奥様にとっても大きな問題だったはず。


農園では37種類、1000本のブルーベリーを栽培
こうして奥様と二人三脚でのブルーベリー栽培が始まりました。
「ブルーベリーの里みはま」の特徴は、37種類という品種の多さと、6月から8月の開園中は、途切れることなくもっとも美味しいブルーベリーが食べられるということです。

すべてが初めての取り組みで、立ち上げ時には病気に罹ったことも。そんな時でもすぐに写真をLINEで送り、オーシャン貿易の担当者に相談。速やかに対応してもらえたことで、安心して作り続けることができているといいます。
「鳥居さんは、とにかく研究熱心です。害虫や病気など細かく観察して、何か異常があればすぐに対応しています。やはり農業や食に関わってきた経験があるからでしょうね」(オーシャン貿易担当者)
取材時にも、鳥居さんは、猛暑だったこの夏以降の剪定の時期や方法について事細かに質問をしていました。
真夏の集客と農地拡大が課題に
オープンから2年が過ぎ、安定した収穫量が見込めるようになったという鳥居さん。目下の課題は集客とのこと。1年目はInstagramをメインに発信、2年目は道路脇に大きな看板を設置しましたが、やはり望んでいる客数の8割程度にとどまっているといいます。
せっかく大きくて美味しい実がなっても、時期が過ぎてしまえば落ちてしまいます。旬の実をすべてお客さんに食べてほしい。そのための集客に悩んでいるそうです。

夫婦二人三脚で農園の管理・運営を行なう


瞬間冷凍で美味しさを丸ごと保存。あらゆる可能性を模索中
鳥居さんは、今年から限定でのギフト販売や、美浜町のふるさと納税の返礼品提供も始めました。いずれも収穫期に余剰が出た場合のみで、一般販売はしていません。少しでも多くの人に生のブルーベリーを食べてもらいたいとの思いからです。
さらに、今年から瞬間冷凍機を導入。通常の冷凍とは異なり、急速に温度を下げることで細胞膜や組織を破壊することなく凍結するため、解凍後も元の状態に近い品質が保たれます。生で食べるのが一番美味しいのですが、実が落ちそうになる前に収穫して瞬間冷凍することで、販売にもつなげたいとのこと。
実際に瞬間冷凍したものと普通に冷凍したものとを食べ比べると、味の濃厚さの違いに驚くほどです。この美味しさを、年中家庭で味わえるなら、多くのお客さんが買い求めるように思います。


試行錯誤しながらも、楽しそうにブルーベリーと向き合う鳥居さんを見つめる奥様は、
「農家に嫁いできたのに、これまではほとんど農作業はやってきませんでした。初めて二人でやり始めて、とっても楽しいですよ。来てくださったお客様が、ブルーベリーの実の大きさと美味しさに感動したと言ってもらえることが何よりの喜びです」(奥様)
一年の半分はブルーベリーの苗木の剪定を細かく行っているという鳥居さん。いつも奥様と二人で向き合って剪定作業を進めています。剪定場所をお互いに確認するためでもありますが、二人での会話も楽しんでいるようです。


大粒にこだわったブルーベリーを、観光農園で多くの人に食べてもらいたい。さらに一粒も無駄にすることなく、瞬間冷凍で年間販売もしていきたい。あらゆる可能性を模索しながら、夫婦二人で来年も多くのお客様を迎える準備が、すでに始まっています。
商品名
ブルーベリー人工培地養液栽培システム『ブルーベリーバッグカルチャーシステム』
初期導入コストの目安:100万円~600万円(税込)
お問い合わせ
オーシャン貿易株式会社 アグリ課
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