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規格外品「わけあり」の安値販売に待った 売りにくい「親芋」を特殊加工で商品化

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

規格外品「わけあり」の安値販売に待った 売りにくい「親芋」を特殊加工で商品化

農産物を加工して収益化したいと考える農家は多いだろう。だが競争の激しい加工食品の世界で特色を出し、利益を確保するのは簡単なことではない。どうやって商品の魅力を高めるか。農業法人、環境サミット(さいたま市)代表の加倉井聖子(かくらい・せいこ)さんを取材した。

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百貨店の催事で完売

環境サミットがあるのは、さいたま市の東部で緑地と農地が広がる「見沼田んぼ」と呼ばれる地域。この場所の環境を守るためにさまざまなグループが活動しており、環境サミットもその1つ。2021年に設立した。

筆者は加倉井さんの取り組みを数年前からフォローしている。今回の取材は加倉井さんから「新商品ができました」と連絡を受けたことがきっかけだ。

原料はサトイモで、商品名は「OYAOMOI」。自分で育てたサトイモや仲間の農家から仕入れたサトイモを特殊な技術で加熱し、軟らかくてほどよい塩味とうま味のある商品に仕上げた。

加工を委託した先は、埼玉県上里町にある食品メーカーのエルテクノ。農産物をミストで加熱して細胞が壊れるのを防ぐことで、食材のうま味や栄養を最適の状態で保つ「ソフトスチーム」という技術を持つ。

OYAOMOIのお披露目の場となったのは大宮高島屋(さいたま市)。2025年11月に開かれた催事で販売し、用意していた280個を売り切った。これで手応えを得て、すでに追加の製造も完了した。

加倉井さんとエルテクノのつながりについては、エルテクノを紹介したこの連載の記事で以前触れた。今回は農業者である加倉井さんの立場から、加工品ができるまでのプロセスを追ってみたい。

環境サミットが発売した「OYAOMOI」

廃棄される「親芋」を商品化

環境サミットの畑の面積は1ヘクタールで、これまで育ててきた品目はサツマイモとニンニク、シソの実。そこに今回サトイモが加わった。

その多くは加工品にすることで、付加価値を高めて販売している。環境保全の取り組みを持続可能なものにするには、収益の確保が前提と考えているからだ。そのためには加工品の競争力を高めることが必要になる。

OYAOMOIの開発は、大宮高島屋のバイヤーから催事への参加を呼びかける連絡があったことがきっかけだ。「もっと地域に貢献できるデパートにしたい」。そのために白羽の矢を立てたのが、加倉井さんだった。

この提案に、加倉井さんはすぐさま飛びついたりはしなかった。「一度畑を見に来てくれませんか」。商品だけを介したやりとりではなく、取り組みの全体像を理解してほしいと思ったからだ。

本当に来てくれるか自信のないままでの要望だった。これまで畑に来たバイヤーはいなかったからだ。だがこの担当者は迷わず畑を訪ね、加倉井さんの話にじっくり耳を傾けてくれた。

「せっかく参加するなら、目玉となる商品を作ろう」。そう思い、選んだのがサトイモだった。しかも使ったのは、畑で廃棄されることが多い「親芋」だ。普通店に並ぶ「子芋」や「孫芋」とは別の部分だ。

加倉井聖子さん

発売してすぐにつかんだリピーター

親芋は種芋から最初に出た芽が成長して大きくなった部分。繊維質が多くて硬く、食用に向いていないので普通は売りにくい。畑で捨てる農家もいるのを加倉井さんは知っていて、「活用方法はないだろうか」と考えていた。

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