端境期をなくし途切れなく野菜を作る
冬の畑が豊かだ。丸々と太ったハクサイが食べきれないほどあり、ホウレンソウも春まで収穫が続きそうだ。ブロッコリーとキャベツは昨年のうちに取りきってしまったが、晩秋に植えた苗が春になれば収穫できる。ナバナのつぼみも膨らんでいるし、ネギやニンジンも寒さにあたって、ものすごく甘くなっている。エンドウとソラマメの苗も順調だ。寒さ対策に防虫ネットをトンネル掛けしてあるので、アブラムシも防げるだろう。ちょっと心配なのはタマネギだ。植えつけた苗が小さすぎて、寒さにやられてしまった。幅広い料理に使える重要な野菜なのだが、今年はあまり収量が期待できそうにない。

寒さにあたってグッと甘みが増すホウレンソウ
1月の終わりには保温栽培で、ダイコンとニンジン、菜っ葉類の種をまいた。冬の野菜が終わったあとで、春から初夏に収穫できる予定だ。年間を通して途切れなく野菜を収穫できるように畑を回していくのが、自給率を高めるコツだ。実際、スーパーなどで野菜を買うことはほとんどない。そもそも安くはないからね。
田引き車とは
そうそう、先日、保温栽培をやるときに新しい道具を作ったんだ。田引き車だ。畝を立てる際に、目印となるひもを張るための道具である。これまでは、その辺に転がっていた竹の棒や折れた支柱にひもを巻いて使っていたのだが、間に合わせのものだったので(恒久化してしまっていたが……)、絡んだり、ねじれたり、スムーズに巻き取れなかったりして、使い勝手が悪かったのである。
そこで、魚釣りをするときに、ライン(糸)を巻き取ったり放出したりするためのリールのように使える、畝立て用の糸巻きを自作したのだ。それを一般的に田引き車という。もともとは田んぼで苗をまっすぐそろえて植えるために使われることが多かったため、田引き車という名前がついているが、機械化が進んだ今の時代、田んぼで使われることはほとんどない。

自作の田引き車。リール式でひもの引き出し、巻き取りがスムーズ
田引き車はネットショップやホームセンターでも手に入る。価格は3500円程度。個人的な感覚としては、用途を考えるとちょっと高い。要は、ひもをスムーズに引き出したり、巻き取ったりできればいいのであって、DIYでも簡単に作れる。
わが家の畑であれば、ひもの長さは20メートルあれば十分。畑の土に挿して固定できるようにし、釣りで使うリールのように、伸ばしたひもを楽に、すばやく巻き取れれば使いやすい。
と、イメージが固まった。材料は家に転がっているもので何とかなりそうだ。設計図は書かない。作りながら調整していけばいい。いつもそんな感じである。では、製作に入ろう。
田引き車の作り方
材料

①平鋼(4.5×38×910ミリ)1本
②ワッシャー(M5)2枚
③袋ナット(M5)1個
④トラスネジ(M5、40ミリ)1本
⑤ワッシャー(M12)2枚
⑥袋ナット(M12)1個
⑦六角ボルト(M12、70ミリ)1本
⑧糸巻き(ボビン)1個
⑨枝(直径20×長さ30ミリ程度)
平鋼(ひらこう)は鉄の長細い平板のこと。今回は自宅にあった上記のサイズを使ったが、板厚3ミリ、幅25ミリのほうが穴開けや曲げ加工がしやすい。
糸巻きは、建築用の水糸が巻いてあったものを使用。釣りのラインが巻かれているものや手芸用の糸巻きなど、何でもOK。
作り方
1. 平鋼をカットする


平鋼のカットにはディスクグラインダー(切断、研磨などができる電動工具)を使う。長さを700ミリにカットし、一方の端を山形に切って地面に挿しやすくする。切り口に出たバリ(細かい突起)は、ディスクグラインダーできれいに削り落としておく。
2. 平鋼に穴を開ける

平鋼の山形にカットした側の端から500ミリのところに、直径12ミリの穴を開ける。まず板の中心にポンチ(目印をつけるための工具)を打ってくぼみをつける。これをすることでドリルが滑るのを防ぎ、狙った位置に正確に穴を開けられる。


平鋼の下に穴が開いてもよい板を敷き、ポンチのくぼみにドリルを当てて一気に穴を開ける。バリはヤスリで削って、きれいに落としておく。
3. 平鋼を曲げる

平鋼の山形にカットしていない側の端を直角に曲げて取っ手にするため、まずは熱を加えて軟らかくする。私は自宅の薪(まき)ストーブの熾火(おきび)に入れたが、たき火や炭火に入れたり、バーナーであぶったりしてもよい。板厚3ミリの平鋼であれば、熱を加えなくてもテコの原理で比較的容易に曲げられる。


平鋼が赤くなったら火床から取り出してバイス(万力)に固定し、ハンマーでたたいて曲げる。曲げる位置は端から100~150ミリ。熱した平鋼は非常に高温になっているので、厚手の皮手袋をして、ヤットコ(高温で熱した鉄などをつかむペンチのような道具)などで扱うこと。
4. リールを作る


糸巻きの側面プレートの、なるべく端のほうに直径5ミリの穴を1つ開ける。

枝は皮を削って、長さ30ミリ程度にカットする。中心に直径5ミリの穴を開ける。今回はアオキという木を使っているが、この木は枝の中心の繊維が柔らかく、細い金属の棒などでつつくと、簡単にきれいな穴が開く。

糸巻きの側面に開けた穴に、内側からトラスネジを入れる。その際、側面のプレートを挟むように、ワッシャー(M5)をかませる。トラスネジには、中心に穴を開けた木の枝を取りつける。

木の枝に通したトラスネジを、袋ナット(M5)で固定する。
5. 平鋼とリールを固定する

平鋼に六角ボルトを通し、ワッシャー(M12)、リール、ワッシャー(M12)の順にはめる。

最後に袋ナット(M12)を締めて、リールを固定する。

平鋼の持ち手には、ひもを巻いて握りやすくした。「アメリカン・ホイッピング」、または「索端止め」と言われるロープワークで、本来はひもの端のほつれを抑えるために使われるが、その応用でナイフのグリップにひもを巻いたりするときにも使われる。ここでは詳しい結び方は割愛するが、興味がある人はネットやロープワークの本で調べてちょうだい。
6. 完成

リールにひもを巻いて完成。ひもは10号(太さ約1.4ミリ)のコットンひも。
田引き車の使い方
田引き車は前述のとおり、畝を立てたり苗を植えつけたりするときに、ひもを張ってまっすぐな目印をつけるための道具。早速使ってみよう。

ひもにはペグ(杭)を結びつけ、目印をつける場所にしっかりと挿す。

ひもを引き出しながら畝のもう一方の端まで行き、田引き車をしっかりと地面に挿す。田引き車の杭は長さが約500ミリあるので、土が柔らかい畑でもしっかり固定できる。直角に曲げたグリップは、杭を抜き差しする際に力を入れやすい。

写真のように、リールの取っ手にひもを絡ませることで、リールの回転が固定される。

リールの取っ手を回せば、スムーズにひもを巻き取れる。ひもがたるまないよう、テンションがかかった状態で巻き取ると、きれいに巻ける。ただ、ここで1つ改良点が見つかった。ときどき、ひもがリールの外側に外れてしまうのだ。ひもがズレないようにガイドを設けてやれば解決できるが(市販品の田引き車はガイドがついている)、気にならなければ、このままでも大した問題ではない。片方の手でサポートしてやれば、ちゃんと巻けるしね。
DIYでは、使ってみて改良点が見つかるのは、しばしばあることだ。でも、完璧を求める必要はない。自分が納得できれば、それでいいのである。その点は、自給用の野菜と一緒。
ともあれ、シンプルだけど、なかなか使える道具ですよ。野菜をうまく作るには、まっすぐな畝に、きれいに苗を植えつけるのが基本。管理しやすいし、そういう畑は見ていて美しい。そのために、田引き車はなくてはならない道具だからね。

田引き車のひもに沿ってジャガイモを植えつけるための溝を掘る。まっすぐって気持ちがいいな



















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