・協議会長:遠赤青汁株式会社 高岡 照海さん
・場所:愛媛県
・輸出先:台湾
愛媛かんきつ輸出促進協議会について

愛媛かんきつ輸出促進協議会のかんきつ
「愛媛かんきつ輸出促進協議会」は、愛媛県農林水産部、遠赤青汁株式会社、有限会社遠赤有機農園、西南セーフティグループ、清五郎農園から構成されています。
これまで、生産者の高齢化や人口減少により後継者不足が深刻化し、耕作放棄地が増加したり、個々の生産者だけでは人員不足や設備不足などにより大量輸出の実現が困難であるという課題を抱えていました。各生産者では有機栽培に取り組んでいるものの、地域全体での底上げには至っていない状況を打破しようと、2024年に同協議会が発足することに。本プロジェクトを通して有機栽培の生産効率の向上やより価値の高い品種への新植・改植などをこれまでのような農家や企業単体ではなく、構成員で共同して行うことで、輸出用産地のための基盤作りを行っていく体制ができました。
協議会の構成団体の一つ、西南セーフティグループは、有機JAS認定(または今後JAS認定を目指す)柑橘を栽培する9つの農家で構成されており、今回お話をお聞きした菊池農園の菊池正晴さんは、同グループの代表を務めています。自身の農園では8品種ほどの柑橘を有機で栽培しながら、協議会の中の生産者グループの代表として、作業効率向上のための圃場改善、柑橘加工品の開発や販路開拓による輸出拡大に向けて、メンバーとともに事業を活用しながら柑橘栽培を進めてきました。
愛媛かんきつ輸出促進協議会の取組内容
本協議会は、残留農薬基準の厳しい台湾を中心に、海外への輸出拡大を視野に入れ、事業を活用しています。今回のプロジェクトでは、「輸出拡大」を目的の軸としながら、様々な場面でのアップデートに向けた取組を行なっています。もともと輸出をしていませんでしたが、本プロジェクトに参画した1年目は輸出量が2トン、本年度は3.7トンと本プロジェクトを活用し順調に輸出量を増やすことができています。
輸出に向けた地域関係者間の連携体制、新規就農者の受け入れ体制を強化
2024年に設立した同協議会ですが、今年度は今後台湾や米国、中東への輸出を拡大していこうと、まずは外部のサポートチームに協力してもらう体制を作り、事業の推進を図ることとしました。農業分野専門のコンサルティングや海外プロモーション、情報発信や知識・技術のマニュアル化などを有識者の力を得ながら進めていくための組織化を図りました。

愛媛かんきつ輸出促進協議会の実施体制図
また、平均年齢が60〜70歳と、生産者の高齢化による後継者不足を解消するため、新規就農者の受け入れ体制を整えることで、「愛媛有機柑橘」の栽培を今後も継続できる仕組み作りにも取り組んでいます。2025年11月には、株式会社マイファームの農業学校事業の一部カリキュラムを活用し、菊池農園で5人の研修生を受け入れました。「将来は農家になりたい」という希望を持つ社会人の研修生が関東や関西から参加し、1泊2日の行程で菊池さんから柑橘類の有機栽培について話を聞いたり、実際に収穫体験も行いました。
新規就農をめざし、菊池さんの元で研修2年目となる方もいます。中西啓太さん(41)は、「脱サラ」をし、菊池さんの圃場で有機柑橘の栽培を学んでいます。


生産効率の向上のための新植・改植、耕作放棄地の活用により輸出向け栽培面積を拡大

木を斜面に植え直した場所
本プロジェクトを通して菊池農園では、これまで植えられていた柑橘の木を新たに植え直すことにより生産効率の向上に挑戦しました。これまで平地に植えられ、同じ目線にあった木を斜面に植え直すことにより、雑草の手入れや収穫時に木の位置が上にあがることから、作業時に腰を曲げる必要がなくなりました。菊池さんは、「これだと全然違うんです。今までよりも疲れることがないので、生産性がぐんと上がりましたよ」と話します。高齢化が進む生産者グループや、新規就農者にとっても、より作業のしやすい畑作りが進められています。

遠赤有機農園による耕作放棄地の開墾作業
菊池農園を含め、こうした新植や改植による圃場の整備、耕作放棄地の活用などを本事業を活用しながら進めたことにより、事業活用前の2023年度には約14万3千㎡だった栽培面積は、本プロジェクトを活用し2026年時点で約23万9千㎡に、また、その内の輸出向け栽培面積は0㎡から約2万4千㎡にまで拡大しています。
また、その圃場では、より良い品質の柑橘を栽培しようと、「カーボンファーミング(炭素貯留農業)」の導入も行われています。土壌に炭素を取り込むことで、土壌の質を向上させるとともに、温室効果ガスの削減をめざしています。
鮮度保持剤を施用し輸出のための実証試験

実証試験中のみかん
さらには、海外輸出に向けた実証試験も行われています。対象国を台湾と仮定し、収穫した柑橘に鮮度保持剤を使用したもの、使用していないものの2パターンを用意し、時間が経過してからどれだけ傷みがあるのか、そのロス率を測るという実験をしているところです。今後は、実証を繰り返しながら、鮮度保持剤を使用することにより平均2-3割くらいのロスだったのをそのロス率を30%削減することを目標としています。
ひと目で注目を集める「ハート形柑橘」の輸出

ハート形のレモン
海外を視野に入れた新しい挑戦はもう一つ、「ハート型枠」の導入です。試作品として、ハート形の「璃の香レモン」をニューヨークのバイヤーに紹介したところ、反応がとても良く、SNSなどからも広がり10件ほどの問い合わせがあったそう。この反響を受け、本事業を活用してハート形の金型を正式に作りました。
「皮まで安心して食べられる」有機の特徴を活かした加工品開発

菊池さん
その他にも、海外輸出の拡大に向けて加工品の開発にも取り組んでいます。有機栽培の柑橘の特徴は、何と言っても「皮まで安心して食べられる」こと。除草剤や農薬を使用せずに栽培されている有機だからこそ、果肉はもちろん、皮も安心して加工し、市場へ提供することが可能となります。菊池さんが代表を務める西南セーフティグループでは2018年から5年間で、愛媛県の「みかんジュースコンクール」にてみかん・ポンカン・まどんな・はるか・不知火(しらぬい)を使用したジュースが見事金賞・銀賞・銅賞を受賞した実績も(中晩柑類のみ100%部門)。これらのジュースはもちろん、皮ごと使用したドライフルーツ、ゼリーなどの開発も進めています。
海外バイヤー・消費者・新規就農者を意識したSNS の情報発信
新規取引先の開拓に向け、国内の生産者はもちろん、海外のレストランやバーなどの飲食店に向けた情報発信も2024年6月から始めています。アカウント開設から約1年半、現在は約3,400フォロワーを有するアカウントへと成長中。「安心安全で美味しい柑橘を、愛媛から世界へ」をキャッチコピーに、日々の作業や収穫された柑橘の情報などを外部協力者である企業が投稿。ターゲットは国内外の生産者だけではなく、さらには新規就農者となり得る存在の人々だといいます。通年でどんな作業をしているのか、収穫はどんな風に行われているのか、どんな場所で栽培されているのかなどを発信することで、有機柑橘栽培にあらゆる世代の方々が気軽に関心を持ち、未来の生産者獲得の一助となるよう取り組んでいます。このような取り組みをできたのも本プロジェクトを活用できたからです。
愛媛かんきつ輸出推進協議会の今後の展望

農園の様子
本協議会は、輸出額380万円、輸出量4,000kgを2026年度の最終の目標としています。ここまで、輸出拡大に向け、土壌・圃場の整備を行い、栽培面積の拡大や輸送のための実証実験、情報発信の拡大を行ってきました。今後は、実験してきたノウハウを活かし実際の輸出を増やしていくこと、また、加工品開発のための施設整備を進めていくことが課題。生産者や企業が単体で取り組むのではなく、協議会として共同で取り組むからこそ、多ロットでの生産や施設整備を可能にしていきたいと話しています。
柑橘王国・愛媛のさらなる海外展開、そして、視線の奥に海を望む段々畑の景色の中に、若者が加わる未来に。期待が膨らみます。










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