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一本の樹と、自分の未来を育てる。伊達水蜜園で未経験から目指す果樹のプロ

一本の樹と、自分の未来を育てる。伊達水蜜園で未経験から目指す果樹のプロ

桃の花が咲き、実が膨らみ、畑に甘い香りが満ちていく。果樹農家の仕事には、収穫という華やかな瞬間があります。一方で、その一日を迎えるまでには、剪定や摘果、土づくりなど、長く地道な作業が続きます。福島県伊達市で桃、ぶどう、りんご、柿を育てる有限会社伊達水蜜園。代表の佐藤佑樹さんは、2011年の就農から15年を迎えました。震災からの復興を目指して走った日々を経て、今、新たに掲げているのが、自ら培った技術を次の世代へ手渡すことです。今回募集するのは1名。求めているのは、単なる作業の担い手ではありません。将来、一つの品目を丸ごと任せられる栽培者。佐藤さんとともに樹を見つめ、自分で考え、自分の果物をつくる人です。

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復興のために走った3年間。その先に見つけた次の目標

伊達水蜜園は、福島県伊達市に約3.8ヘクタールのほ場を持つ果樹園です。「果物は樹創りから」をモットーに、桃、ぶどう、りんご、柿を栽培しています。

佐藤さんが家業に入ったのは、東日本大震災が発生した2011年。それまではアニメ制作会社で制作進行の仕事に携わっていましたが、再就職を考え、実家に戻っている時に震災に見舞われました。原発事故による風評被害で、伊達水蜜園は大手百貨店との取引や海外への販路を失いました。売り上げが激減するなか、「家業だけでなく、地域の果樹農業まで途絶えてしまう」と危機感を抱き、農園を継ぐ決意をします。

就農後の3年間は、地域農業の復興を目標に、文字どおりがむしゃらに走り続けました。少しずつ状況が落ち着き始めたころ、佐藤さんの胸に芽生えたのが、新しい目標でした。

「復興のためにやるべきことへ懸命に取り組んだ3年間でした。一区切りついたとき、次の目標が欲しくなったんです。改めて地域貢献とは何かを考えた時に、地域産業を長く継続していく事が今できる貢献だと考えました。そのためには人を育成して繋いでいく事、次の世代に継承していく事を目標としました。」

2021年の取材でも、佐藤さんは「農業を生業とする以上、担い手を育てることも務め」と話していました。あれから5年。その言葉は今、具体的な人材募集と育成計画へ動き始めています。

必要なのは従業員ではなく、果樹栽培のプロ

現在、伊達水蜜園の栽培を支えているのは、佐藤さんと母親、2人のパートスタッフです。

今回の募集を決めた直接のきっかけは、高齢になった母親が仕事から退くことでした。しかし、空いた一人分を補充したいわけではありません。

「人手が一人足りなくなるから、誰かを雇いたいというだけではないんです。将来、自分と一緒に農園を担ってくれる人を育てたい。栽培の右腕になってくれる人を求めています」

佐藤さんが迎えたいのは、「農業をやりたい人」ではなく「果樹をやりたい人」だといいます。

一見すると、よく似た二つの言葉です。しかし、そこには明確な違いがあります。
農業には、米や野菜、花、畜産など、多様な選択肢があります。そのなかで果樹を選び、長い時間をかけて一本の樹と向き合いたい。その意思を持つ人に来てほしいと佐藤さんは話します。

「農業そのものに興味がある人は、やりたいものをやればいいと思っています。ただ、伊達水蜜園で働くなら、果樹をやりたいという気持ちは持っていてほしい。目標が具体的であれば、必要なことを自分から学ぶようになるからです」

これは、佐藤さん自身が異業種から果樹の世界へ入ったからこその実感でもあります。夢をもってその業界に入るという気持ちは一番理解しています。ただ思いだけでは続けていくには厳しい時もあります。具体的な目標と何をやりたいのかを明確に持つことで身につけるべき知識や技術が見えてくると思っており、果樹栽培も同じです。

「いつかブドウを任されたい」「自分の手で桃を育てたい」。目指すものがはっきりしていれば、地道な作業の一つひとつが、そこへ至るための学びに変わります。

2年で基本を学び、5年後には一つの果樹を任せる

伊達水蜜園では、農業経験のない人も対象にしています。採用後は佐藤さんが栽培の基本から直接指導し、自身が学んできたこと、身につけてきた技術を惜しみなく伝える考えです。ただし、すべてを教わるだけでは、一本の樹を任される栽培者にはなれません。

育成の目安は5年。最初の2年間で果樹栽培の基本を身につけ、3年目からは教わったことを土台に、自ら調べ、考え、試していく段階へ進みます。もちろん、佐藤さんのサポートがなくなるわけではありません。相談には応じ、失敗も一緒に検証しながら、少しずつ本人の判断に委ねる範囲を広げていきます。

「基本を身につけるには、少なくとも2年は必要です。3年目からは、自分でも勉強してほしい。こちらが持っている技術はすべて教えますし、サポートも惜しみません。そのうえで、自分で考えて動ける人になってほしいと思っています」

目指すのは、今回迎える一人が経験を重ね、5年後には桃、ぶどう、柿などのうち、一つの品目を丸ごと任せられる栽培者になることです。本人の希望や適性を見ながら、担当する果樹を決めていきます。剪定や摘果といった作業をこなすだけではありません。樹の状態を観察し、天候や生育に応じて作業を組み立て、果実の品質に責任を持つ。やがては、担当する品目の栽培について、自ら判断できるだけの裁量も委ねます。

果樹は、植えた年に答えが出る作物ではありません。数年先の樹形や収穫を想像しながら、一本ずつ育てていきます。今日の判断が来年、あるいはさらに先の実りを左右するからこそ、任せる側にも任される側にも時間が必要です。

「ゼロから教え、一つの果樹を任せられるまでには、やはり5年ほどかかると思います。だからこそ、長く働きながら技術を身につけたい人に来てほしい。単に作業を手伝ってもらうのではなく、裁量を持って栽培に関わってもらいたいんです」

今回の募集で年齢を35歳未満としているのも、長期的な育成を前提としているためです。経験の有無ではなく、これから果樹のプロとして成長していく意欲を重視しています。

地味な仕事が多い。それでも、収穫の喜びにはかなわない

果樹農家の仕事と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは収穫風景でしょう。しかし、実際の仕事の大半は、その手前にあります。冬の剪定に始まり、春には花やつぼみを整え、実がつけば摘果を行います。枝や葉の状態を見ながら樹勢を管理し、病害虫を防ぎ、収穫まで一つひとつの作業を積み重ねます。

果樹栽培は、想像以上に地味な仕事が多いと佐藤さんは率直に話します。同じ姿勢で作業を続ける日もあれば、暑さや寒さのなかで樹と向き合う日もあります。手をかけたからといって、必ず思い描いたとおりの実がなるとも限りません。それでも、この仕事を続ける理由があります。

「地味な作業は本当に多いです。ただ、それを凌駕するのが収穫の楽しさです。自分が一年かけて育てた果物を、自分の手で収穫する。その喜びは、ほかではなかなか味わえないと思います」

伊達水蜜園では、季節ごとに桃、ぶどう、りんご、柿と扱う果樹が移り変わります。一つの収穫が終われば、別の果樹の管理や収穫が始まり、冬には翌年の実りを左右する剪定が待っています。特定の時期だけ働く季節雇用ではなく、一年を通じて仕事があることも、多品目を栽培する伊達水蜜園の特徴です。オフシーズンはありませんが、それは同時に、果樹に携わりながら通年で安定して働けるということでもあります。

自分で仕事を組み立て、休みも考える

果樹栽培は天候や生育状況に左右されます。収穫適期を迎えた果物を、人間の都合で待たせることはできません。繁忙期には早朝から作業することもあり、予定どおりに進まない日もあります。一方で、年間に必要な作業はおおよそ決まっています。どの時期に何を終わらせるのかが分かるようになれば、自分で作業計画を立て、休暇も含めてスケジュールを調整できるようになります。

「年間の仕事量は見えているので、栽培を任せられるようになれば、自分で計画を立てられます。いつまでにこの作業を終え、どこで休みを取るか。責任を持って管理できるなら、働き方も自分でコントロールしてほしいと思っています」

指示された作業だけを待つのではなく、樹の状態を見て、次に必要なことを判断する。その裁量は責任と一体ですが、自分で仕事を組み立てたい人にとっては、大きなやりがいになるでしょう。

産地の仲間とつながることも、栽培技術の一つ

果樹農家として成長するために必要なのは、園内での経験だけではありません。天候への対応、病害虫の発生、新しい資材や栽培方法。その年、その土地で起きていることを共有できる仲間の存在は、大きな支えになります。佐藤さん自身も、地域の生産者と情報を交換しながら技術を磨いてきました。

「地域の人との交流は大切です。情報交換ができますし、同じ仕事をする仲間がいるのは心強い。新しく入る人が地域の生産者とつながれるよう、橋渡しもしていきます」

伊達市は、桃や柿、りんご、ぶどうなどが育つ全国有数の果樹産地です。周囲に経験豊かな生産者がいる環境は、果樹を本気で学びたい人にとって、教科書だけでは得られない学びの場になります。暮らしの面でも、自然に囲まれながら、福島市街地へアクセスしやすいのが伊達市の特徴です。2026年下期には、東北最大級の規模となる「イオンモール伊達」も開業予定。地方での暮らしに不安を感じる人にとっても、日常の買い物や生活環境を思い描きやすくなっています。

まずは一日、果樹園に立ってみる

果樹栽培の仕事は、求人票や写真だけですべてを理解できるものではありません。樹と樹の間を歩き、枝や葉に触れ、その日の空気を感じる。作業の細かさや畑の広さ、暑さや寒さも含め、実際に現地へ足を運んで初めて分かることがあります。

伊達水蜜園では、応募を検討している人の農園見学を受け入れています。いきなり応募を決める必要はありません。興味を持ったなら、まずは果樹園を訪れ、自分の目で仕事を確かめるところから始められます。

「果樹をやってみたいと思ったら、一度来てほしいですね。実際の仕事を見て、自分がここで働く姿を想像してもらえたらと思います」

一本の樹を任されるまでには、5年かかります。その時間を長いと感じるか、自分の技術を育てるために必要な時間と捉えるか。

伊達水蜜園が探しているのは、最初から何でもできる人ではありません。地味な作業から目をそらさず、分からないことを学び、いつか自分の判断で果物を育てたい人です。収穫の喜びは、そこへ至る時間ごと、自分のものになります。果樹を仕事にしたい。その思いがあるなら、まずは伊達水蜜園の畑に立ち、一本の樹と向き合ってみてはいかがでしょうか。

伊達水蜜園の公式ホームページはこちら

伊達水蜜園への応募フォームはこちら

■問い合わせ■
有限会社伊達水蜜園
〒960-0501 福島県伊達市伏黒上ケ戸28
TEL:024-584-2798
▶お問合せはこちら

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