チーズは、ミルクの水分を除いた栄養成分が凝縮したものです。
野菜や果物と一緒に食べて、ビタミンCや食物繊維を摂れば、栄養的にはほぼ完全になります。
その原料は、牛乳・羊乳・山羊乳などのミルクです。
羊乳は濃く、それから作られたチーズは香り・コク・余韻などが豊かです。
また、生乳で作るか殺菌乳で作るかによっても香りなどが異なってきます。
チーズといえば、フランス地方が特に有名です。
地方によって様々なチーズがありますが、今回はクロタン・ド・シャヴィニョルについてご紹介します。
クロタン・ド・シャヴィニョルの名前の由来
シャヴィニョル(地名)のクロタンといいます。
クロタンとは、粘土でできたクロ(crot)と呼ばれたランプに形が似ているところから呼ばれるようになりました。
一般には「小さな糞」という、少し残念な名前でとおっていますが、これも形からきたものです。
また、名前にAOCが付いている場合があります。
AOCとは原産地名称管理(原産地統制名称)のことで、その製品がその地方で正しく作られた高品質なものであることが保証するものです。
クロタン・ド・シャヴィニョルの形状や外観
名前の由来にもなっているその形状は小さな太鼓型で、直径4から5cm、高さ2から4cm、重さ60から110gほどのチーズです。
表皮は薄く、白あるいは青色のカビで覆われています。
たまにカビの無いものもあります。
断面は白かアイボリー色で、目が詰まっていて、滑らかで均質です。
できたては白く柔らかいのですが、熟成とともに乾いて、崩れるような固さとシャープな風味を持つようになります。
クロタン・ド・シャヴィニョルの熟成
乾燥と熟成は製造の日から最低10日間、指定地域にて行われます。
低温で風通しの良い部屋で乾かすように熟成させ、期間は通常2週間から1ヶ月ほどです。
クロタン・ド・シャヴィニョルの味わい
熟成させる期間によって味わいが変化していくのも、チーズの魅力の一つです。
熟成2週間目頃のクロタン・ド・シャヴィニョルは、塩味がやや強いものの、それが味の濃さを引き立てています。
ある程度の酸味・甘味・乳臭さのバランスがあります。
熟成3週間頃は乾いて黒くなり、ひとまわり小さくなります。
濃い匂いとともに弾力があり、味にコクがあります。
若い(熟成期間が短い)クロタン・ド・シャヴィニョルには白ワイン、特に酸味のあるサンセールなどがよく合うようです。
完熟の頃にはフルーティーな赤ワインが合います。
完熟かどうかの境界線は熟成3週間を目安にすると良いでしょう。
また、オーブンで熱してワインビネガーを効かせたサラダと合わせると、おいしくいただけます。
ベリー地方のクロタンをコショウ、タイム、ローズマリー、月桂樹、ジュニエーヴル(ネズの実)、ニンニクとともにオリーブオイルに漬けたものもあります。
これはパンに塗ったり、トマトのサラダに使ったりするとよいでしょう。
クロタン・ド・シャヴィニョルの原料
原料は山羊の全乳で、冷凍凝乳の使用も可能です。
シェーブルタイプのチーズです。
シェーブルタイプとは、山羊のミルクを原料として作られたチーズの総称で、小型でバラエティーに富んだ形が多いことも特長です。
クロタン・ド・シャヴィニョルの製造工程
クロタン・ド・シャヴィニョルは熟成フレッシュチーズの部類で、温度や湿度が調節された蔵や熟成庫内で熟成・乾燥させたものです。
凝乳を型に入れて乳清を排出し、型から出した後で熟成・乾燥させます。
この熟成中に、カビや酵母菌によって外皮が形成されます。
クロタン・ド・シャヴィニョルの産地や生産場所
産地についてAOCが指定する地域は、フランスのサントル圏シュール県の大半のロワレ県、ブルゴーニュ圏のニエーブル県、両県の一部ベリー地方です。
酪農場、酪農工場で生産するほか、フェルミエと呼ばれる個人で生産する方法があります。
フェルミエとは、個人が自分の所有する家畜のミルクを絞り、その農場で伝統的の方法によって作っていることを指します。
クロタン・ド・シャヴィニョルは1年中作られており、フェルミエでは春から秋が生産時期です。
クロタン・ド・シャヴィニョルにおけるAOCのその他の規定
AOCの規定はその他にもあり、チーズによって厳重に決められています。
クロタン・ド・シャヴィニョルの規定では、他にも以下のようなものがあります。
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・ミルクの凝固は乳酸菌による。凝乳酵素は少量添加にすること。
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・凝乳をプレエグタージュ(型に入れる前にふきん、袋などでざっと水分を切ること)をしてもよい。
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・冷凍凝乳を使用した場合はフェルミエの表記ができない。
このように、とても厳重に品質が保たれていることがわかりますね。
チーズの買い方、保存、食べ方について
これまでクロタン・ド・シャヴィニョルについてみてきましたが、最後に全てのチーズに共通する買い方や保存方法、食べ方をご紹介します。
【買い方について】
良い店に行く
良い店というのは「良い店主」、「良い店員」、「清潔」であること等が挙げられます。
また、その場で切り分けてくれるのも店を選ぶポイントになります。
品数が多いのが良い店ではありません。
場数をふむ、目を鍛える、目で買って舌で味わう
実際に食べてみなければ、どんなチーズかはわかりません。
よく見て、実際に食べてみて、好みのものを探すのもチーズ選びの楽しみの一つです。
必要量を買う
チーズは熟成が進むことも考慮して、自分が欲しいものを必要量買うことが大切です。
【保存について】
チーズは涼しく暗い場所での保存がよいでしょう。冷蔵庫がオススメです。
パラフィン紙や軽くロウ引きした紙に包んで密閉容器に入れて保存しましょう。
チーズのタイプによって入れる棚を変えて温度帯を合わせると、より良く保存できます。
保存の温度帯は、フレッシュタイプが0から4℃、加熱して圧したものが6から10℃、その他は3から6℃くらいとなっています。
【食べ方について】
食べる30分前には室温へ戻し、塩水で濡らしたふきんをかけて乾燥を防ぎます。
切るときはケーキをカットする要領で切ります。
皮と身、身の外と中心部が公平に行き渡るように切ることを目安にしましょう。
皮は取り除きますが、チーズによっては皮ごと食べるのを好む人もいるでしょう。
フランスでは通常2、3種のタイプの違うものを盛り合わせて食べています。
パンやワインが合にとてもよく合うので、チーズを食べる時にはぜひ一緒に準備してみてください。
最近はチーズ専門店も増えました。様々なチーズが手に入るようになりました。
ぜひ自分好みのチーズを探してみてくださいね。